ブックタイトルメカトロニクス6月号2021年

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概要

メカトロニクス6月号2021年

MECHATRONICS 2021.6 9基地局/データセンター向け電源の低消費電力化や小型化に貢献する完全自動運転の実現に必須のC-V2X機能を搭載した150V GaN HEMTにおいて8Vまで高めたゲート耐圧技術を開発車載用5G NRモジュールを開発、サンプル出荷を開始 ローム(株)は、産業機器や通信機器をはじめとする各種電源回路向けに、150V耐圧のGaN HEMT(以下、GaNデバイス)において8V高ゲート耐圧(ゲート/ソース定格電圧)技術を開発した。 GaNデバイスは、シリコンデバイスと比較して低いオン抵抗値と高速スイッチング性能に優れていることから、基地局やデータセンターなど各種スイッチング電源の低消費電力化や小型化に貢献するデバイスとして活用が期待されている。しかしながら、ゲート/ソース定格電圧が低く、スイッチング時に定格を超えるオーバーシュート電圧が発生することがあり、デバイスの信頼性に大きな課題があった。こうした中、今回同社は、独自の構造によりゲート/ソース定格電圧を一般的な6Vから8Vまで高めることに成功。これにより高効率を求めるGaNデバイス採用 アルプスアルパイン(株)は、車載用の5G NRモジュール『UMNZ1シリーズ』を開発し、自動車における5Gソリューションの社会実装を加速させるべく2021年3月よりサンプル出荷を開始した。 本製品は、3GPP(Third Generation PartnershipProject)Rel.15規格に準拠した製品。自己発熱を抑えるとともに実装後のセット内部での放熱性能も考慮した独自構造を採用することで、常に最大限の製品パフォーマンスを発揮することができる。また、独自設計によりモジュールの平坦度を制御することで、車載品質に適合した製品設計を実現し、ユーザー側での安定した実装を可能とする。その他、グローバル各地域ごとで規格の異なる周波数帯に対応したコンパチタイプであるため、ユーザーの開発工数削減に貢献できる。電源回路の設計マージン向上および高信頼化が可能になる。また、低寄生インダクタンスでデバイスの性能を引き出しつつ、基板実装しやすく放熱性にも優れる専用パッケージも合わせて開発しており、既存シリコンデバイスからの置き換えや実装工程でのハンドリングを容易にする。 近年、IoT機器の増加で需要が拡大しているサーバーシステムなどにおいて、電力変換効率の向上や装置の小型化が重要な社会的課題のひとつとなっており、パワーデバイスにさらなる進化が求められている。同社は、業界をリードするSiCデバイスや特徴ある各種シリコンデバイスの開発/量産を進めるとともに、中耐圧領域での高周波動作に優れるGaNデバイスの開発も行ってきた。今回、既存GaNデバイスの長年の課題であったゲート/ソース定格電圧を高める技術を開発したことで、各種アプリケーション 昨今、V2Xシステムと5Gを応用した新たな車載通信システムの早期確立が求められている。その一方で、これを実現するためには従来の4G:LTEに対する通信機能の高度化とV2X対応による多機能化で複雑な処理が必要となるため、自己発熱でモジュールが高温化してしまい、本来の製品パフォーマンスが発揮できなくなる課題があった。さらに、多機能化に伴うモジュールの大型化に対して、顧客基板への実装を考慮したモジュール設計の最適化も求められている。その開発難易度の高さや必要な開発リソースの大きさから、製品化には高いハードルがあった。 同社では、C-V2Xの導入で世界をリードする中国地域における取り組みを中心に、業界に先駆けて技術開発を進めているが、本製品は中国以外のグローバル用途を目的としており、各国の周波数バラエティ対応、並びにDSDA(Dual SIM Dual Active)対応をオプションとして幅広い用途に対応できる設計にしている。2021.6に対して、より幅広いパワーソリューションの提案が可能となった。 同社では、今後、本技術を用いたGaNデバイスの開発を加速し、2021年9月の製品サンプル出荷を予定している。請求番号F5004請求番号F5003請求番号F0005