ブックタイトルメカトロニクス3月2021年

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概要

メカトロニクス3月2021年

MECHATRONICS 2021.3 45維持に貢献した。今や物流は社会インフラの一つと認識されているが、その実態は労働集約型産業であるが故に人手不足が他業界より深刻であり、近年その課題が浮き彫りになっている。 それを解決する一手段として現在、注目を集めているのが、「物流MaaS(Mobility as a Service)」という考え方である。 公共交通の分野で提唱されてきたMaaS(乗り物のサービス化)を物流業界に展開するもので、例えば、限定地域内自動運転、ダブル連結トラック、積替え拠点でのスワップ輸送、共同輸送/混載輸送、パレット・梱包資材の標準化・共通化、荷役自動化、倉庫現場における物流ロボットの導入などの検討である。2) 今までのように全ての作業を人が担うには限界があり、様々な作業工程の機械化をし、効率化を図るためにロボットの導入の実証実験が進められてい日本最古の工作機械 江戸時代末期の1857 年(安政4 年)8月、蒸気軍艦ヤパン(Japan)号で長崎港に到着した。この船は“ 宝船”でもあった。 実は徳川幕府がオランダに発注していた艦船補修及び造船・造機に使用するオランダ製の各種工作機械18 台の他、駆動用蒸気機関、機械部品、切削工具など当時欧州の最高水準の工場用機械器具一式が同艦には積み込まれていたのである。これらの設備は長崎製鉄所建設のためにオランダから購入したものであった。そのため関係技術者にとっては心待ちにしていた“ 宝船”であった。この時に持ち込まれた設備はオランダ汽船会社(NSBM) 製で、日本における最古の歯車方式スロッターの堅削盤の工作機械であった。 長崎鎔鐵所で稼働していたが、1914年に彦島造船所の設立とともに長崎から下関に移設され、通算で約100年間、我が国の造船工業の発展に尽くした工作機械であった。現在は、この最古の工作機械は国の重要文化財に指定され、三菱重工長崎造船所史料館に展示され、余生をおくっている。 また、1863 年にもオランダNSBM 社から同様の工作機械が輸入され、旧集成館に導入され、薩摩藩が薩英戦争で破壊した集成館の修復に使用された。日本機械学会認定の「機械遺産」 日本機械学会は2007年6月に創立110周年を迎え、その記念事業の一環として2005年から検討されたのが「機械遺産」の認定制度である。 この機械遺産を知ったのは国立科学博物館を見学した時に東芝の創業者の一人でもある田中久重が制作した「万年自鳴鐘」が機械遺産として紹介されていたことからである。同じく田中久重作のからくり人形の「弓曳き童子」も機械遺産として認定されている。 日本機械学会では、日本の誇る歴史的遺産の認定を行うため、機械遺産小委員会を2005 年7月に設置して検討を開始した。趣旨は歴史に残る機械技術関連遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的に認定する制度が創設された。日本国内の機械技術面で歴史的意義のある機械類を「機械遺産」(MechanicalEngineeringHeritage)として認定しており、日本機械学会のホームページには、過去に認定された機械遺産が報告されている。https://www.jsme.or.jp/kikaiisan/heritage_list_jp.html<メカトロニクス関連の歴史遺産3><メカトロニクス関連の歴史遺産4>図2 物流システム機器の市場推移オランダNSBM社製工作機械(1856年製作)1 パレット用自動倉庫(ビル式・ユニット式)一般的にパレット積みされユニット化された荷を、多段高層の棚及びスタッカークレーン等を使用して自動的に搬入・搬送・搬出できる保管庫をいう。2 バケット用自動倉庫(ユニット式) 通箱、バケット、カートンを単位としたもの3 天井走行台車天井空間に設置し、軌道ないし台車に駆動力を持つもの基数は台車の数量とする。金額には軌道・制御装置を含む4 有軌道台車システム軌道ないし台車に駆動力を持つもの5 無軌道台車システム各種センサにより誘導される無人搬送台車6 仕分機自動にて荷の仕分けを行うもの7 パレット搬送用コンベヤパレットを被搬送物とするコンベヤ8 ケース搬送用コンベヤバケット及びカートンケースを対象としたコンベヤ9 ハンガー式コンベヤ天井空間に設置し、ハンガー商品を吊下げて搬送するコンベヤ10 デジタルピッキング表示器コンピュータの指示によりピッキングする品物の位置と数量を表示する装置11 ピッキング台車ピッキングする品物の位置と数量を表示する装置を取り付けているピッキング用の台車12 回転棚(垂直式・水平式) 荷の軽重、制御レベルを問わない。垂直、水平両方式の回転する棚13 移動棚(電動式・手動式) 電動、手動にて移動する機構を備えた棚14 重量棚パレット単位のユニットロードを格納する棚。(ネスティングパレットを含む)15 中軽量棚カートン単位、またはバケット単位などを格納する棚で、1棚当りの重量が約500kg以下のもの16 流動棚カートン単位またはバケット単位のものを、傾斜の付いた棚に置き、前面での取り出しを容易にさせたもの17 パレタイザ/デパレタイザバケット、カートンケース、袋物等の物品を自動にてパレット上に整列集積(あるいは分離)する装置18 パレット搬送用垂直搬送機複数の搬入出装置を備え、連続で搬送物を垂直搬送する装置(パレットを被搬送物とする)19 ケース・ピース搬送用垂直搬送機複数の搬入出装置を備え、連続で搬送物を垂直搬送する装置(バケット及びカートンケースを対象とする)20 コンピュータ(ハード・ソフト) 物流機器の情報処理と在庫監視を同期化して行うコンピュータシステムのハード・ソフト21倉庫管理システムWMS = WarehouseManagement System物流センター・倉庫等で入荷から出荷までの一連の作業を支援するコンピュータシステム(ハード・ソフト)22 その他以上1~21 の分類に該当しないもの表1 物流システム機器る。物流業界は人手不足が深刻化しているため自動化や効率化に向けた技術開発も加速している。 以上、物流搬送の市場動向を理解して頂くと幸いです。<参考資料>1)日本ロジスティクスシステム協会 https://www1.logistics.or.jp/data/manufacture.  html2)“ニューノーマル時代をリードする生産・物流革命 モノづく  りスマート化”日刊工業新聞 2020-07-31