ブックタイトルメカトロニクス1月2021年

ページ
45/52

このページは メカトロニクス1月2021年 の電子ブックに掲載されている45ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

メカトロニクス1月2021年

MECHATRONICS 2021.1 45 米国は1973 年に旧ソ連を抜いて世界最大の粗鋼生産国となり、1980 年には日本が米国を抜いて世界一の鉄鋼生産国になった。その後、中国が世界一の座につき、2013 年には中国>日本>米国>インドの順になり、その後、トップは中国で世界の53 %を占めており、2 位はインドで、3 位が日本で、日本は今も生産量で世界3位の鉄鋼大国でもある。 このような生産推移の中で、次に国別の粗鋼生産量について最も生産規模の多い中国の推移を示すと図2 のようになる。2000 年代以降、中国で鉄鋼需要が急増し、急激に生産規模を拡大し、一国で10億トンに迫るほどの生産する国に変貌した。 中国最大の製鉄産業の集積地は河北省で、中国の鉄鋼メーカーは180社にもなり、国有企業改革で103社が整理対象となったり、年産50万トン以下の非効率な製鉄所が120社ほどあったりし、中国で「作れば売れる」体験があだとなり、国内の経済成長が減速し、鉄鋼需要が停滞したため、過剰生産となっている時期もあった。例えば、2012年末の鉄鋼生産能力は9.7億トンまでになり、中国国内の需要を2億トン程度上回る生産能力となった。つまり、日本の生産量の2倍が中国で余っている時期もあった。2. 日本の鉄鋼産業 日本の鉄鋼メーカーが苦境に立たされている要因としては、中国の鉄鋼メーカーによる「過剰生産」が大きい。日本の鉄鋼業界はここ40 年近くの間、再編や合理化を進めてきたが、もう一段の再編や合理化が必要になりつつある。 日本の鉄は品質の良さにも定評があり、確かに国内市場の伸びは期待できないので、日本は規模を追わず培ってきた高級鋼材技術で差別化するスタンスを貫いている。図3は日本の粗鋼生産量の推移を示したものである。リーマンショック後を除き、ほぼ、フラットの状態で推移している。 2019年から鋼材の国際価格が下がって国内の鉄鋼メーカーは赤字基調に転落してしまった。鉄鋼業界では、「卵と鉄は30年来、同じ値段だ」と表現されるぐらいだ。 さらにコロナ禍の影響で、鋼材需要が冷え込み、リーマンショック以来の生産の減少率となり、消費面の回復がまだ不透明である上に鉄鉱石などの原料高は懸念材料である。厳しい事業環境の中で低空飛行は暫く続きそうである。 鉄鋼業界は、“ 景況感”、“ 資源高”、“ 二酸化炭素の排出削減” の三つの問題に直面している。地球温暖化対策として日本の鉄鋼メーカーは排出削減の規制のない国へ脱出も想定しているが、問題は、1kgの鉄鋼を生産するのに1.5kgの二酸化炭素を排出することである。 一方、1kg のセメントを生産するのに0.8kgの二酸化炭素を排出すると言われ、「鉄鋼」と「セメント」の生産だけで世界の二酸化炭素排出量の15%を占めるとも言われている。 粗鋼1トン当たりの石炭の消費量の推移を示すと3トン→ 1.5トン(中国)→ 1.0トン前後(先進国)→ 0.6トン(日本)と推移しており、ここでも日本の技術力の高さを示しているが、さらなる高効率の生産確立が必要なのは言うまでもない。 以上、鉄鋼産業の動向について理解して頂ければ幸いである。<参考資料>1)杉江英司、“日本の鉄鋼技術の発展と若き研究者に  望むこと” 公益財団法人 名古屋産業科学研究所  科学技術振興の在り方研究会小論文集(2011)  http://www.nisri.jp/dor/proposal/Sugie_2.  pdf2)一般社団法人 日本鉄鋼連盟 統計資料 https://www.jisf.or.jp/data/iisi/index.html図3 日本の粗鋼生産の推移(IISI)図2 中国の粗鋼生産量の推移(IISI)図1 世界の粗鋼生産量の推移(IISI)コラム :「 鐵」の由来 中国最古の字体( 古文)では「鉄」は、「銕」であったが、秦・漢以降は「鐵」に変わっていった。日本の常用漢字では「鉄」と簡略化されている。この形は最古の「銕」に由来するらしい。 “製鉄”は、以前は“製鐵”が使用されていたが、現在は、“製鉄”となっている。製鉄会社の関係者の話しとして「鉄」は「金を失う」という意味に通じ、この「鉄」を使うのは忌み嫌われ、書き難い字であるものの「鐵」の方を好んで使用したという。 鉄冷えが長く続いたので、「鐵」を使ったのも納得である。