ブックタイトルメカトロニクス1月2021年

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概要

メカトロニクス1月2021年

42 MECHATRONICS 2021.1第31回 <博覧会で登場した電気製品> 様々な物品を集めて展示する博覧会のルーツは1798年まで遡り、フランス革命の時期のパリで、初めて開催された。そして1849 年までにパリで11回開催され、徐々にその規模も大きくなっていくと同時にフランスのみならず同様の国内博覧会がオランダやベルギーなど各国でも開催されるようになった。 日本で最初の博覧会は、明治時代の初め、1871年に開催された「京都博覧会」だといわれている。1872 年には、東京で文部省主催の「湯島聖堂博覧会」が開催されている。1. 万国博覧会の開催 フランスで盛んであった国内博覧会に関して1849年、フランスの首相が国際博覧会を提唱し1851年に第1 回 国際博覧会がロンドンで開催される運びとなった。これが国際博覧会の設立された背景であり、初期の頃は、国内博覧会であったが、各国が参加する形式の国際博覧会として拡大していった。以降、表1に示すように開催国を変えて万国博覧会は開催されるに至った。特定非営利活動法人 日本環境技術推進機構 青木 正光 万国博覧会の開催国は、何か特徴のあるものを出すようになり、出展する製品は話題となるものを選び、さらに、博覧会の会場に特徴をもたせることも実施された。1851 年にロンドンのハイド・パークで開かれた第1回万国博覧会の会場として建てられた建造物は、“ 水晶宮(クリスタル・パレス)”と言われ、巨大なガラスの建物は幅約563m、奥行き約138m の大きさであった。 また、パリでは何度か博覧会が開催されたが、4回目の1889年のパリ万国博覧会にあわせて“エッフェル塔”が建設され、後にこれはパリのシンボルとなったことでも有名で誰でも知っている塔である。1-1. シカゴ万博博覧会 エッフェル塔が建設された年に開催されたパリ万国博覧会の次に開催されたのが、米国のシカゴ万国博覧会(World's Columbian Exposition、Expo1893)である。ミシガン湖の湖岸の未開発地域に博覧会会場として建設された「ホワイト・シティ」は、それまでのシカゴのイメージを一新し、その後の都市開発計画の手本となったともいわれる。 コロンブスのアメリカ大陸発見400周年を記念して会期は、1893 年5 月1日から10 月3日までで、中心テーマは「科学技術の発展と工業への応用」であった。この博覧会はシカゴ・コロンブス万国博覧会とも呼ばれ、19ヵ国が参加し、会期中2,048万人が来場した。開会式では、クリーブランド大統領がボタンを押すと電気館の蒸気機関「アリスエンジン」が始動して発電機をまわし、会場内に電力を供給し電力で作動する噴水が動き出すという演出で開幕した。 この万国博覧会の特徴を記すと9万の白熱灯と5000のアーク灯による照明もおこなわれ、まだ米国では一般化していなかった電気がこれによって、いよいよ「電気の時代」が来たということを実感させるものでもあった。「工芸館」、「美術館」、「機械館」に加え「電気館」も設けての博覧会となった。電気館内部では、エディソン(T. A. Edison)が社長を勤めるゼネラル・エレクトリック(General Electric)社の電気の塔(エディソンタワー)(写真1)1)や直流式発電機、そしてウェスティングハウス(Westinghouse)社の交流式発電機も展示された。 この頃の時代の背景を紹介すると、米国ではエジソンが日本の竹をフィラメントに使用した電球を発明したのが1882 年のことで、電気を使って電灯を灯す時代となり、そして3 年後には、アーク灯に代わって日本初の白熱電灯が東京銀行集会所開業式で点灯されたのが1885 年である。 シカゴ万博博覧会が開催される1893年までの間に電気に関係する出来事を時系列に体系化すると表2 のようになる。これをみても分かるように1885年以降、日本でも多くの電灯会社が設立され、開催年国際博覧会の名称開催地開催日数入場者概数1851年ロンドン万国博覧会141日604 万人1853年ニューヨーク万国博覧会150日125 万人1855年パリ万国博覧会200日516 万人1862年ロンドン万国博覧会171日621 万人1867年パリ万国博覧会210日1,020万人1873年ウィーン万国博覧会186日726 万人1876年米国独立百年記念万国博覧会159日986 万人1878年パリ万国博覧会190日1,610万人1889年パリ万国博覧会180日3,235万人1893年シカゴ万国博覧会183日2,048万人1900年パリ万国博覧会210日4,768万人1904年セントルイス万国博覧会185日1,970万人1915年パナマ太平洋万国博覧会288日1,883万人1926年米国独立150 周年記念万国博覧会184日650 万人1933年シカゴ万国博覧会170日2,257万人1935年ブリュッセル万国博覧会150日2,000万人1937年パリ万国博覧会93日870 万人1939年ニューヨーク万国博覧会340日4,500万人1949年ポルトープランス万国博覧会   ポルトープランス183日25 万人1958年ブリュッセル万国博覧会186日4,150万人1962年シアトル万国博覧会184日964 万人1964年ニューヨーク万国博覧会360日5,167万人1967年モントリオール万国博覧会185日5,031万人1970年日本万国博覧会183日6,422万人1992年セビリア万国博覧会176日4,181万人2000年ハノーヴァー万国博覧会152日1,800万人2000 年に開催されたのが旧条約における最後の一般博表1 万国博覧会の開催一覧写真1 電気の塔(エディソンタワー)   ニューヨーク   パリ   ブリュッセル   シカゴ   フィラデルフィア   サンフランシスコ   セントルイス   パリ   シカゴ   パリ   パリ   フィラデルフィア   ウィーン   パリ   ロンドン   パリ   ニューヨーク   ハノーヴァー   セビリア   大阪   モントリオール   ニューヨーク   シアトル   ブリュッセル   ロンドン