ブックタイトルメカトロニクス10月号2020年

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概要

メカトロニクス10月号2020年

MECHATRONICS 2020.10 47図1 金型企業の規模(2017年)(従業員数で比較) 図4 金型の生産額推移図3 金型に従事する従業員数推移図2 金型の事業所数の推移あったが、現在は約7,000 事業所数となっている。そして金型事業に従事する従業員数は、図3 のように約12 万人から8 万人の規模となっている。 「金型」は日本では素材別、または成型方法によってプレス型、鋳造型、鍛造型、ダイカスト型、粉末合金型など金属用とプラスチック型、ゴム型、ガラス型、窯業用型の非金属用型の9 分類となっている。2. 金型産業の市場規模 経済産業省の機械統計は、比較的大手の金型事業所のサンプル調査なので日本の金型業界全体の約3分の1程度しかカバーしてないため、ここでは、よりカバー率の高い工業統計(産業別統計表)の数値を紹介する。 市場規模は世界で8.5 兆円/ 年(2016 年)で、日本の金型生産額のピークは1991年で1.96 兆円/ 年で、現在は1.45 兆円(2018 年)のレベルの市場規模となっている。2) 日本の製造業、特に「金型」の主要な需要業界である組立加工産業は急速に海外移転をはじめ、1985 年当時の工業の海外生産比率は4%であったものが2018年は36 %に達し、国内での受注の低下及び後継者問題から金型企業の廃業が発生しているのが現状である。 生産合理化のため部品共通化にともない金型発注の減少が受注減にもなっている。これからはコスト競争力と差異化がポイントで金型の高能率製造技術の確立と高性能、高品位の金型製作が重要となってくる。図4からも分かるように1991 年が金型の生産額のピークにあたる。自動車の国内生産ピークが1991 年であったので、それ以降は少なからず自動車産業の影響を受けていることになる。 2008年9月、大手投資会社リーマン・ブラザーズが経営破綻したことで起きた世界的な経済危機「リーマンショック」が起きた。米国市場のみならず世界市場に大きく混乱をきたすとともに株価が急落した。リーマンショック(米国ではThe FinancialCrisisと呼称)以降、円ドルの為替相場も変動し、円高が進展した。 そしてこのような経済情勢の中で「金型」の内製化が進展するとともに海外進出に伴って、自社内で量産を行なわずに製造委託企業(EMS)を活用する方法を選ぶ企業も現れ、受注減となっていった。 現在は、図4に示すように4つの成長の山があり、リーマンショック後の2009 年以降、徐々に回復しつつあるものの過去のピークの生産額を超すまでには至っていない。3. 日本の金型産業の特徴 金型産業には以下のような特徴が挙げられる。3)(1)金型製品は、料理に例えるならば「一品料理品」  である(2)量産用マザーツール(転写母型)のため、高い精  度の金型が要求される(3)仕様変更が多い上に設計期間が短い(4)設備集約型で投資負担が大きい(5)仕事の領域が広い(6)中小企業が多く下請形態が約80%を占める 以上、「金型」の発展状況と市場動向を理解して頂ければ幸いである。       (次号は休載させていただきます。)<参考資料>1)黒田彰一、“ 世界の金型産業の概況”  電気加工学会誌 Vol.36 No.83pp2~pp8(2002)2)藤川 健、“日本の金型産業の競争力”中小企業季報 2016 No.1pp10~pp25(2016)3)堀 信夫、“日本の金型産業に何が起きているのか”経済産業研究所議事録(2002)