ブックタイトルメカトロニクス5月号2020年

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概要

メカトロニクス5月号2020年

MECHATRONICS 2020.5 11 独自の手法を採用した製品についても お聞かせください丸山 : 当社のシリコンラバーヒータは、用途に合わせて特徴的な材料を使ったり、形状をある程度自由に設計したりすることができます。 その中で、主力製品でありスタンダードな『標準タイプ』を、まずは紹介させていただきます(写真1)。この製品は、丸型、三角、台形、穴あきなど複雑な形状も、安価で1 枚から製作でき、短納期にも対応します。ヒータの厚みは、わずか1.5mmなので熱応答性に優れており、シートを積層することにより厚みの調整も可能です。シリコンラバーの柔軟性を活かし、筒型、円錐など被加熱物のどんな形状にも完全にフィットし、低温度から200℃まで使用できます。また、低電圧から100V、200V、240Vなど、各種電圧設計に対応し、色々なオプションを用意しているのも1つの特徴になっています。 また、当社でもエッチングを採用したシリコンラバーヒータを提供しており、それが『Eタイプ』になります(写真2)。この製品は、従来のシリコンラバーヒータがニッケル合金の丸線をパターン化しているのを、ニッケル合金箔をエッチング加工してパターン化したものです。初期費用は必要となりますが、パターンの正確さ、量産などの一定化が要求される場合に適しています。 次に、連続使用250℃の熱に対応した耐熱タイプのシリコンラバーヒータ『Hタイプ』を紹介させていただきます(写真3)。この製品は、シリコンラバーヒータの中でも高温(連続使用温度250℃)での使用を考慮して製作されています。標準タイプに比べ、高いワット密度の設定ができるため、急速加熱が必要な個所に適しています。 それから、当社ならではのユニークな製品で、シリコンラバーヒータにマグネットの機能を付けた『MGタイプ』を紹介させていただきます(写真4)。この製品は、アメリカの材料メーカーと共同で開発しており、シリコンラバーヒータの片面をネオジムの粉を使ったマグネットシートで作製しています。そのため、磁石の付く場所であれば簡単に設置や、貼り付け保温加熱ができます。メンテナンス時や、ヒータの位置合わせ時などの着脱を非常に簡単に行うことが可能です。 次は、あらゆる曲面に対して柔軟に密着可能な、フレキシブル性を向上したシリコンラバーヒータ『ストレッチタイプ』を紹介させていただきます(写真5)。この製品は、ガラス繊維を含まないシリコンゴムを採用し、柔軟度を確保しています。また、導電部にニクロム線ではなく炭素繊維を採用することで、発熱線の折れを防止しています。通常のラバーヒータに比べ3次元曲面に対し、被加熱物への密着性が大幅に向上します。真空バッグ内での使用では曲面/形状に追従し、被加熱物に隙間なく密着することで優れた熱応答性を実現します。特に、海外のお客様からの引き合いが多く、航空機補修時の加温/複合材成型時の加温・予熱などの応用分野にも活用可能です。 最後に、水がかかっても大丈夫な素材を使用したシリコンラバーヒータ『防滴タイプ』を紹介させていただきます(写真6)。この製品は、「ヒータを屋外で使用したい」といった多くのお客様のニーズから開発を行い、材料から見直しを図り、防滴素材を採用することにより屋外での使用を実現しています。防滴素材を使用することで、結露による絶縁抵抗値を保つことが可能です。まだ、リリースしたばかりの製品なので、これから主力製品になっていくことを期待しています。 これら6タイプの製品が、当社の基本的なラインアップとなっており、『標準タイプ』以外もすべて1 枚からのオーダーに対応し、防滴を除くシリコンラバーヒータの材料はUL規格ファイルNo.E54153を使用しています。また、この基本的なラインアップを応用した製品の提供なども行っています。 今後の展開についてお聞かせください丸山 : 製品に関しては、先程紹介させていただいた6タイプをラインアップし、新しいものもいくつかリリースしていますが、次のステップとしては、まだテーマというか方向性がしっかりと固まっていない状況です。そのため、市場でどのようなニーズがあるのかしっかりと捉えつつ、それに対応できるようなシリコンラバーヒータの開発を進めたいと考えています。 当社としては、今後もシリコンラバーヒータの専業メーカーを継続していく方針にゆらぎはないので、次のステップに関連する新製品をリリースすることが1つの課題になっています。その中で、医療分野もそうですが、航空/宇宙分野でのニーズにしっかりと対応し、シェア拡大を目指していきます。特に航空/宇宙分野では、国内よりも海外とのパイプがきっかけで広がってきたので、より海外に目を向けながら展開していきたいと思っています。 また、国内についても、専業メーカーとしての強みを活かしながら事業展開していきますが、自動化を図れる部分については積極的に行っていきたいと考えています。ただ、ほとんどが専用機として開発しなくてはならないと思いますので、それについてのパートナー先や対応できる会社を探していく予定です。 あとは、人材育成にも力を入れていきます。技術の継承もそうですが、長い期間勤めてもらえるような体制や環境づくりにも目を向けていきたいと思っています。本日はお忙しい中ありがとうございました。所在地 :U R L :事業内容 :名古屋市天白区http://www.om-heater.jpシリコンラバーヒータ、温度調節器、各種ヒータ関連製品の開発/製造/販売。オーエムヒーター株式会社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・写真2 シリコンラバーヒータ『Eタイプ』 写真4 シリコンラバーヒータ『MGタイプ』写真5 シリコンラバーヒータ『ストレッチタイプ』写真6 シリコンラバーヒータ『防滴タイプ』写真1 シリコンラバーヒータ『標準タイプ』写真3 シリコンラバーヒータ『Hタイプ』