ブックタイトルメカトロニクス9月号2016年

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メカトロニクス9月号2016年

42 MECHATRONICS 2016.9日本産業洗浄協議会名誉理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力「2016年版環境白書」が取り上げたトピックス(1)~地球温暖化対策の新たなステージ(1)~【第174回】■同白書の構成及び概要 環境問題を取り上げた3種類の白書からなる「環境問題白書」の全体構成と概要は、図表1のごとく環境省の報道発表で図示されている2)。 同白書は、副題として、“地球温暖化対策の新たなステージ”とうたわれているが、地球温暖化問題が環境白書の副題に取り上げられたものには、過去に以下のようなタイトルがあり、その発表の前後の年度に地球温暖化問題で特筆に値するニュースが存在したことを以下のように物語っている(各年度の説明の中で、括弧(【】)内は「環境問題白書」の副題、括弧(())内は特にその白書で詳細に取り上げられた関連トピックス)。・1997年版:【地球温暖化防止のための新たな対応と責任】(1997年12月、京都議定書を採択)・2005年版:【脱温暖化~“人”と“しくみ”づくりで築く新時代】(2005年2月、京都議定書が発効)・2007 年版:【進行する地球温暖化と対策技術】(2007年2~11月、IPCCが第4次評価報告書を公表)・2010年版:【地球を守る私たちの責任と約束~チャレンジ25~】(2010年1月、「チャレンジ25キャンペーン」を開始)・2016 年版:【地球温暖化対策の新たなステージ】(2016年12月、COP21でパリ協定を採択) 本連載で取り上げたいトピックス(“地球温暖化問題”と“持続可能な開発のための2030アジェンダ”)は、同白書の中で“平成27年度 環境の状況及び環境の保全に関して講じた施策等”の“第1部”の部分の“パート1”及び“パート3”で取り上げられている。その3つのパート(“パート1~パート3”)をまず簡単に以下で紹介する。(1)パート1:「地球温暖化対策の新たなステージ」 2015年度は、地球温暖化対策に関しての国際的協議では大きな前進を示す年となった。毎年開催される国際会議「国連気候変動枠組条約締約国会議」は第21回目となり、COP21として注1)MOP11注2)と共にパリで開催された(2015 年11月30日~12月13日)。(図表1の「第1部・パート1」のタイトル“地球温暖化対策の新たなステージ”は、同白書全体の副題でもある。注1)COP:気候変動枠組条約締約国会議、The Conference ofthe Parties of the United Nations Framework Convention onClimate Change。第1回のCOP1は、気候変動枠組条約が発効した1994年の翌年(1995年3月~4月)にベルリン(ドイツ)で開催、以後毎年1回開催されている。注2)MOP:京都議定書締約国会合、Meeting of the Parties to theKyoto Protocol。京都議定書が2005 年2 月に発効し、第1回のMOP1はCOP11と共に、2005年11~12月にモントリオール(カナダ)で開催、以後毎年1回開催されている。 COP21では、新たな気候変動対策に関する法的文書として、全ての国が参加し、長期目標を位置付け、また、全ての国が温室効果ガス排出削減目標を5年ごとに提出・更新することを義務付けることが定められた。 この取組は、「パリ協定」注3)と命名され、世界共通の温室効果ガス排出削減のための新たな国際枠組みとなり、地球温暖化対策は国際的に新しいステージに入ったと評価されている。 「パリ協定」を中心とした地球温暖化問題の解説(パート1)の目次構成は、<図表2>の通りである。注3)パリ協定:Paris Agreement(2)パート2:「被災地の復興と環境回復の取組」 東日本大震災により発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故によって大量の放射性物質が環境中に放出されたことは、今なお最大の環境問題となっており、東日本大震災からの復興は我が国の最重要課題として、引き続き取り組んでいくことが重要である。パート2では、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故の被災地における環境回復の状況や復興の取組等を紹介している。(3)パート3:「主な課題に関する取組の進展」 持続可能な開発のための2030アジェンダを始めとする新たな目標や国際的な枠組みと、関連する我が国の国際的・地域的取組に焦点を当てている。取り上げられているトピックスは以下の5項目である。 本年度の「環境白書」は、「平成28年版環境白書/循環型社会白書/生物多様性白書」として、環境省から、5月31日付けの「報道発表」で公表され、同日の閣議決定をへて国会に提出された。その全文は、報道発表と同時に環境省のウェブサイトに掲載され、市販版は6月23日付けで発行された(3種類の個別の白書を指すのではなく、3種類の白書全体を意味するときは、「環境問題白書」もしくは「同白書」と略記する場合がある)1)。 今回の環境白書の特徴は、同白書全体の副題にもあるように、“地球温暖化対策の新たなステージ”としていることであり、数ある地球環境問題の中で、特に国際的な対応の展開として2つのトピックスを重点的に取り上げている点にある。すなわち、一つは、「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」で、京都議定書以来18年ぶりとなる法的文書であり、全ての国が参加する「パリ協定」が採択されたことである。 またもう一つは、国連総会で「持続可能な開発」を達成するための世界共通の目標である「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されたことである。 今回は、同白書について、全体の構成を紹介すると共に、国際的な連携の下に討議が進められている地球環境問題を代表して「地球温暖化問題」と「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に関するトピックスを同白書から抜粋して紹介する1)。<図表1>化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律のポイント2)<図表2>平成28年版環境白書における“地球温暖化問題”の目次構成パート1 地球温暖化対策の新たなステージ第1章 地球温暖化に係る新たな国際的枠組み 第1節 新たな地球温暖化対策の枠組み1 パリ協定の概要2 パリ協定への道筋をつけた科学的知見と交渉の経緯3 INDCの意義4 様々なレベル・主体による機運の醸成5 世界の地球温暖化対策の主な動向 第2節 新たな国際枠組みを踏まえた今後の課題1 パリ協定に基づく取組の推進(具体化・実現)地球温暖化対策について2 パリ協定を踏まえた今後の地球温暖化対策について第2章 地球温暖化対策に関する    我が国の新たなステージ 第1節 我が国の地球温暖化対策の経緯と    中期削減目標1 我が国の地球温暖化対策の経緯2 我が国の2030年度の中期削減目標 第2節 新たな枠組みを踏まえた緩和策1 パリ協定及び我が国の約束草案を踏まえた地球温暖化対策の取組2 地球温暖化対策の基本的考え方3 エネルギー起源CO2に関する部門別の緩和策4 分野横断的な施策5 緩和対策に関する近年の傾向 第3節 新たな枠組みの下での適応対策1 気候変動の我が国に対する影響の評価の取りまとめ2 気候変動の影響に対する政府の適応計画の策定3 適応に関する地方公共団体の取組事例 第4節 地球温暖化対策を支える基盤的取組1 気候変動に係る研究の推進、観測・監視体制の強化2 地球温暖化対策技術開発及び実証3 低炭素社会の実現に資する環境金融に関する取組 第5節 長期的な目標を見据えた戦略的取組