ブックタイトルメカトロニクス9月号2015年

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概要

メカトロニクス9月号2015年

42 MECHATRONICS 2015.9日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力2015年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書~環境とともに創る地域社会・地域経済~【第162回】■同白書の副題の趣旨 今回の環境白書の副題については、望月義夫環境大臣の名前で記された冒頭の“刊行に当たって”において以下のような説明が付されており、種々の環境問題に囲まれている日本の現状の特殊性がうかがわれる。 “・・・持続可能な社会の実現に向けて、地球温暖化対策の一層の強化、生物多様性の保全や廃棄物の発生抑制などの環境問題への対応が重要であることは論を待たないところですが、その一方で今日の我が国においては、急速な少子高齢化の進展と東京圏の人口の過度な集中が進む中で、小さな村落から大都市まで、各地域がそれぞれの特性を生かした自立的で持続可能な社会を創生していくことが重要な課題となっています。このため、政府においては、平成26年(2014年)9月に「まち・ひと・しごと創生本部」を設置するとともに、同年11月に成立した「まち・ひと・しごと創生法」などに基づき政府一体となった取組を進めているところです。 こうした状況を踏まえ、今年の環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書では、「環境とともに創る地域社会・地域経済」をテーマとして掲げました。環境問題を解決する取組が、地域社会、地域経済の問題解決につながることを明らかにするとの観点から、東日本大震災の被災地における環境再生や環境対策を基礎とした地域における復興の取組について最新の状況を紹介するとともに、国内で展開されている環境対策による地域経済活性化や防災等への貢献、自然資源等の地域資源や地域の特性を生かした地域づくり、持続可能な社会の担い手となる個人に着目した取組について、具体的な事例を交えて取り上げています。”■白書の全体構成 同白書は、3種類の関連基本法に基づいて作成されるものであり、その3種類の法律に基づいて、表1のように、“昨年度(2014年度)の状況報告”を2部に分けて記述し、次いで“新年度(2015年度)に計画している施策の説明”を記述している(図表1)。 環境省のホームページに掲載された同白書を紹介する“報道発表”には、同白書のテーマとメッセージを要約して図示した資料が<図表2>のように紹介されている。■“まち・ひと・しごと創生法”の紹介 先に環境大臣の刊行に当たっての挨拶文に“まち・ひと・しごと創生法”に触れた一節があった。この法律については、同白書の本文では、「第1部 総合的な施策等に関する報告」の「はじめに」(同書の2ページ)で、以下のような文章がある。 “我が国は現在、世界に先駆けて人口減少・超高齢社会を迎えています。さらに、経済のグローバル化の進展に伴う社会経済情勢の変化や財政制約の中で、様々な経済・社会的課題に直面しています。特に、過疎化が進行する地域、脆弱な産業基盤を有する地域においては、地方自治体の財政力の弱さも相まって、その状況は深刻なものとなっています。 そこで、急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくべく、我が国では平成26年にまち・ひと・しごと創生法が成立し、地域活性化に向けた施策が行われています。” この説明を読むと、今回の白書のテーマである“環境とともに創る地域社会・地域経済”に深く関わるものであり、今後、この件は具体的な動きとして紹介されることが期待される。■まち・ひと・しごと創生法”の概要 同法は、2014 年11月28日に、法律第136号として成立した。その目的、内容等については、以下のように記されている。(1)目的(第1条) “この法律は、我が国における急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくためには、国民一人一人が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して営むことができる地域社会の形成、地域社会を担う個性豊かで多様な人材の確保及び地域における魅力ある多様な就業の機会の創出を一体的に推進すること(以下「まち・ひと・しごと創生」という。)が重要となっていることに鑑み、まち・ひと・しごと創生について、基本理念、国等の責務、政府が講ずべきまち・ひと・しごと創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための計画(以下「まち・ひと・しごと創生総合戦略」という。)の作成等について定めるとともに、まち・ひと・しごと創生本部を設置することにより、まち・ひと・しごと創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施することを目的とする。”(2)基本理念(第2条) “まち・ひと・しごと創生は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。①国民が個性豊かで魅力ある地域社会において潤いのある豊かな生活を営むことができるよう、それぞれの地域の実情に応じて環境の整備を図ること。②日常生活及び社会生活を営む基盤となるサービスについて、その需要及び供給を長期的に見通しつつ、かつ、地域における住民の負担の程度を考慮して、事業者及び地域住民の理解と協力を得ながら、現在及び将来におけるその提供の確保を図ること。③結婚や出産は個人の決定に基づくものであることを基本としつつ、結婚、出産又は育児についての希望を持つことができる社会が形成されるよう環境の整備を図ること。④仕事と生活の調和を図ることができるよう環境の整備を図ること。⑤地域の特性を生かした創業の促進や事業活動の活性化により、魅力ある就業の機会の創出を図ること。⑥前各号に掲げる事項が行われるに当たっては、地域の実情に応じ、地方公共団体相互の連携協力による効率的かつ効果的な行政運営の確保を図ること。⑦前各号に掲げる事項が行われるに当たっては、国、地方公共団体及び事業者が相互に連携を図りながら協力するよう努めること。 「2015年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」は、2015年6月5日(金)に閣議決定され、同日の国会提出を経て公表された1()以下、“同白書”あるいは“同環境白書”と略す)。 今回の白書について、環境省の報道発表では、“本年の白書は「環境とともに創る地域社会・地域経済」をテーマとし、東日本大震災の被災地における復興に向けた取組に加え、環境問題への取組が地域経済や地域社会の課題解決につながるとの観点から、環境対策による地域経済活性化や自然資源等をいかした地域づくり等について紹介している”と記されている2)。 今回は、本白書の中から、副題となったテーマである“環境とともに創る地域社会・地域経済”に関連したトピックスを重点的に紹介する。<写真1>2014年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」の表紙1)<図表1>「2015年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」の目次2014年度 環境の状況2014年度 循環型社会の形成の状況2014年度 生物多様性の状況第1部 総合的な施策等に関する報告 はじめに 第1章 環境・経済・社会の現状と持続可能な地域     づくりに向けて 第2 章 被災地の復興と持続可能な地域づくり 第3章 地域経済・社会的課題の解決に資する持続     可能な地域づくり 第4章 地域・国・世界をつくる国民一人一人の持     続可能性 むすび第2部 各分野の施策等に関する報告 第1 章 低炭素社会の構築 第2章 生物多様性の保全及び持続可能な利用~     豊かな自然共生社会の実現に向けて 第3 章 循環型社会の形成 第4 章 大気環境、水環境、土壌環境等の保全 第5 章 化学物質の環境リスクの評価・管理 第6 章 各種施策の基盤、各主体の参加及び国際協     力に係る施策2015年度 環境の保全に関する施策2015年度 循環型社会の形成に関する施策2015 年度 生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策 第1 章 低炭素社会の構築 第2 章 生物多様性の保全及び持続可能な利用     ~豊かな自然共生社会の実現に向けて 第3 章 循環型社会の形成 第4 章 大気環境、水環境、土壌環境等の保全 第5 章 化学物質の環境リスクの評価・管理 第6 章 各種施策の基盤、各主体の参加及び国際協     力に係る施策 資料