ブックタイトルメカトロニクス9月号2015年

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概要

メカトロニクス9月号2015年

12 MECHATRONICS 2015.9 御社の概要についてお聞かせ下さい中谷:当社は、2002 年1月に設立し、骨伝導に特化した事業展開を行っています。骨伝導の良さは、「騒音の中でも音が聞こえる」、「耳栓をした状態でも音が聞こえる」といったことが挙げられますが、その中で当社は、1つの振動素子で「聞く」ことと「音をピックアップ」することができるという独自の技術を開発し、特許も取得しています。 元々は、夫と「世の中のためになるような仕事をやりたい」と常々話していた時に、たまたま東京にある通信用の骨伝導製品を専門に取り扱うメーカーとの出会いがきっかけで、そのメーカーの販売店としてスタートしたのが当社設立の経緯であり、現在も「人に喜ばれるものづくり、社会に貢献できるものづくり」という基本理念を掲げています。また社名の由来ですが、会社を設立することで色々と苦労などもあるけれど、それを1つ1つ乗り越えていき人生の最後は金メダルをもらえるような人生にしていきたいという思いと、会社を設立しようとした当時はシルバー産業が注目され始めた時期でもあり、事業的に間違われないようにするためということもありましたが、やはり銀より金という気持ちからの“ゴールド”。そして、仕事は楽しくやっていかないと長続きしないという思いから“ダンス”を掛け合わせて決めました。ちょっと変った社名ということもあり、骨伝導製品を取り扱う会社とはイメージしづらいほどイ 骨の振動で音を聞く“骨伝導”で事業を展開するゴールデンダンス株式会社。「人に喜ばれるものづくりをやりたい」という思いで、販売店からオリジナル製品を開発するメーカーへと変貌を遂げ、コンシューマ分野から産業分野、最近では医療分野と幅広い分野にチャレンジする同社の概要と技術、製品などについて、代表取締役 中谷 明子 氏にお話しを伺った。ゴールデンダンス株式会社代表取締役中谷 明子 氏独自の骨伝導技術により安全で安心できる社会づくりに貢献~「聞く」だけでなく「音をピックアップ」することもできる振動素子を開発~ンパクトが強いので、ほとんどの方が一度聞いたら覚えて頂けます。 設立当初の仕事では、販売店としての営業を行いながらお客様と接する中で色々な声を聞いていき、そこでよく耳にしたのが騒音性難聴やヘッドフォン難聴に関する問題でした。この問題をクリアにしていくには、骨伝導を音楽用ヘッドフォンや補聴器などにも取り入れていくのが良いと考え、メーカーの方に提案をしましたが、通信用をメインに事業展開していることもあり、音楽用での事業展開は考えていないようでした。 そのため、1 年程かけて夫がアイデアをまとめていき、メーカーからも了承を得て独自に骨伝導製品の開発を行う会社へと成長を遂げていきました。そして、当社オリジナル製品の第1号となる音楽が聞ける骨伝導式のヘッドフォン(50~1 万Hz)を開発し、製造に関しては当時取り引きのあった韓国の会社にお願いをして製品化に漕ぎつけました。ただ、販売に関しては、開発をメインにしていたため営業活動を行っていなかったので、当初はインターネットショッピングを利用した販売を行っていました。販売を開始した時には、どうなるものかと思っていましたが、今までにないような製品だったこともあり、そのインターネットショッピングサイトの売り上げランキング上位に継続してランクインするような好調ぶりを見せてくれました。 その後、メディアなどに取り上げて頂き、大手量販店にもお客様からの問い合わせがあったことから、そちらの店舗でも取り引きを開始することができ、量産化も行っていきました。さらに、大手電機メーカーからOEM供給を依頼されるなど、売り上げも順調に伸びていきました。 そして、音楽用ヘッドフォンから今度は通信用ヘッドフォンの開発にも着手していきました。通信用では、以前販売店を行っていたメーカーと競合してしまいますが、その辺は徐々にご理解を頂き、製品に関しても、先程お話した1つの振動素子で「聞く」ことと「音をピックアップ」することができる当社独自の技術を活かし、他社にないような製品をラインアップしています。 そして、2009 年1月には米国家電協会が主催する「インターナショナルCES 2009イノベーションアワード」に入賞、2010 年2月には日本経済新聞社主催の「日経優秀製品・サービス賞 審査委員特別賞」を受賞、2014 年2月には近畿経済産業局主催の「関西ものづくり新撰2014」に選定、2015 年3 月には経済産業省「がんばる中小企業・小規模事業者300社」に選定されました(写真1)。また、大学などの研究機関と連携し、経済産業省の推進する支援事業にも参画しています。 さらに最近では、海外の大手通信メーカーと代理店契約を締結したり、医療機器分野での事業を開始するなど、幅広い分野で事業展開を行っています。 骨伝導のしくみや特徴などについて もう少し詳しくお聞かせ下さい中谷:通常、音の伝わりとしては、耳の穴を通って鼓膜に振動を送り、その振動が蝸牛という聴覚器官に伝わり、そこからは信号で脳に伝えられ音として認識されます。これが空気伝導で、聞こえる音を「気道音」と呼びます。それに対し骨伝導は、鼓膜を振動させず骨から直接蝸牛に音を振動として送ります。それにより聞こえる音を「骨導音」と呼びます(写真2)。骨導音を確認するのは簡単で、耳をふさいで声を出してみると耳から音が聴こえるはずがないのに、自分の声が聞こえてきます。それが骨導音で、自分の声が頭蓋骨を震わせ、その振動が蝸牛に伝わって音が聞こえているのです。 また、テープやレコーダ、映像などに記録された自分の声が、普段感じている自分の声と違っているという経写真1 「インターナショナルCES 2009イノベーションアワード」の受賞盾など写真2 空気伝導と骨伝導のしくみ