ブックタイトルメカトロニクス4月号2015年

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概要

メカトロニクス4月号2015年

MECHATRONICS 2015.4 431997 年4 月に改訂。・1994 年:環境庁が高圧線の鉄塔における電磁波問題対策に予算を計上。・1995 年:医療機器の誤作動 岡山県の病院で、携帯電話によって輸液ポンプ等の医療機器が誤作動を起こした。・1996 年:欧州におけるEMC指令 欧州においてEMC 指令が発効、CE マーキング制度がスタート注3)。注3)EC域内に製品を輸出、販売しようとする企業は、自社の製品が電磁波を発生せず、また外部の電磁波によって誤作動を起こさないことを証明して、その製品にCEのマークを貼ること。・1996 年4 月:「医用電気機器への電波の影響を防止するための携電話等の使用に関する調査報告書」 郵政省・厚生省・携帯電話会社・医療機器メーカーからなる不要電波問題対策協議会・医用電気機器作業部会が「医用電気機器への電波の影響を防止するための携電話等の使用に関する調査報告書」を作成。・1996 年6 月:WHO の「国際EMFプロジェクト」 WHO が「国際EMF注4)プロジェクト」を発足注4)EMF:Electromagnetic Field、電磁界・1996 年7 月:携帯電話の累計加入台数 携帯電話の累計加入台数は、日本国民10人に1台を超えた。・1998 年:「電離界曝露に関するガイドライン」 国際非電離放射線防護委員会注5)が電離界曝露に関するガイドラインを提唱。注5)国際非電離放射線防護委員会:(International Commissionon Non-Ionizing Radiation Protection、ICNIRP)非政府系組織の学術専門家グループ。非電離放射線と呼ばれる電磁界のパートにおける人体影響に関して国際的な提案を行っている。・1993 年:NIEHS のRAPID 計画 国立環境健康科学研究所(NIEHS、NationalInstitute of Environmental Health Sciences、アメリカ)は「電界と磁界に関する研究と公衆への情報普及計画(RAPID 計画)」を開始。1999 年、「電磁界が絶対に安全であるとは認めることはできない」と述べながらも、「健康に有害であるとする根拠は弱く、実験的な証拠がないことからも有害であるという考え方は科学的に支持されない」と結論づけた。・1995 年12月:電気学会の「電磁界生体影響問題調査特別委員会」 電気学会(日本)は1995 年12 月に「電磁界生体影響問題調査特別委員会」を発足。1998年に「電磁界の生体影響に関する現状評価と今後の課題」を、また2003 年に「電磁界の生体影響に関する現状評価と今後の課題 第Ⅱ期報告書」を発表。(2015.2.16 記)<参考資料>1)日外アソシエーツ編集部:「環境問題情報事典(第2 版)」日外アソシエーツ(2001.3)2)「現代用語の基礎知識(2007 年版)」自由国民社(2007.1)その他各年度版を参照3)ザミール・P・シャリタ著、加藤やすこ訳、荻野晃也・出村守・山手智夫監修:「電磁波汚染と健康」緑川出版(2004.5 初版、2014.7 増補改訂版)(備考)参考資料は、市販の出版物、組織の調査報告書、公的組織の委員会活動資料等があり、次回にまとめて紹介する。関連資料についての検索は、最近のインターネットはでは固有名詞検索が容易になったので、改めての紹介を省略することがある。検討が不可避であるとされており、現在、日本などで一部の市民運動家が主張しているような、なんら科学的なリスクの特定が行われない状況で予防原則を適用することは、単なる間違いでしかない。電磁波の場合には、起こりうる被害としては小児白血病が、そして、電磁波としては、電源用交流である50/60 ヘルツが特定されている。携帯電話などの電磁波は、周波数が違うためまったく別の問題である。”③「2009 年版現代用語」2):“電磁波対策/ 環境保健基準” 世界保健機関(WMO)は、電磁波対策の必要性を明記した環境保健基準をまとめた。電磁波に関する初の本格的基準で、2007年6月に公表し、加盟各国に勧告した。 日本政府は、電磁波について、健康被害との因果関係が認められないとしているが、基準公表を受け、関係各省で作業班を設置して検討を開始した。具体的な規制値は示さなかったものの、電磁波による健康被害の直接の因果関係は「認められない」としながらも、「30 センチメートル離れたテレビから受ける最大電磁波の5分の1程度に当たる0.3~0.4マイクロテスラ以上の電磁波に常時さらされていると、小児白血病の発症率が2 倍になる」とするアメリカや日本の研究者の研究結果を支持し、予防的な対策が必要だと結論づけた。(以上の解説は、安井至(JST 研究開発戦略センター上席フェロー)が担当する部門「環境」の一項目「くらしと環境」の中のグループ「環境汚染と環境保全」の22 項目の一つとして掲載されている。)④「2011 年版現代用語」2):“電磁波過敏症(ES、Electrical Sensitivity)” “いまだ認められていないものに「電磁波過敏症(ES)」がある。電磁波への反応は個人差が大きく、波長の短い携帯電話の電波から長波の家庭内電源に反応する人まであり、頭痛や疲労感など化学物質過敏症と同様の反応を示す。WHO(世界保健機構)元事務局長のブルントラント女史が2003 年、自分が「電磁波過敏症」であると公表し、携帯電話を隠し持たせて言い当てるテストで実証している。電磁波は国際的に規制されているが、日本だけは規制が著しく甘いので、注意が必要。”(以上の解説は、田中優(未来バンク事業組合理事長)が担当する部門「環境」の一項目「環境と社会」の中のグループ「森林・住まい」の8項目の一つとして掲載されている。現在の最新版(2015年版)まで同じ内容の解説を踏襲している。)■電磁波過敏症の症状 電磁波過敏症(EHS、Electromagnetic hypersensitivity)の典型的な症状の説明の一例として、シャリタ博士の記述を以下に紹介する。“EHS の知識や自覚がなくても、たびたび発生する徴候として①普通でない熱さや、日焼けのような熱さを顔に感じたり、炎症が起きたり、顔に赤みが出る②顔から始まって体の他の部分へ移る、くすぐったさやかゆみ、刺すような痛みを感じる③呼吸器上部の乾き、呼吸困難④目の乾きと炎症⑤集中力の欠如や、めまい、記憶や方向感覚の喪失⑥粘膜が膨張し(感染性ではない)、鼻、のど、副鼻腔、耳が腫れる⑦インフルエンザに感染していないのに、症状が始まったかのような感覚⑧自己免疫疾患に関係するリウマチ性の反応に似た症状頻発しないがもっと深刻な症状として①頭痛、吐き気、疲労感②皮膚の感覚喪失③歯や顎の痛み④筋肉痛や関節痛⑤腹部への圧迫感や痛み⑥頻脈や不整脈さらに深刻な症状として①意識の喪失②脳溢血 EHSは人によって症状が異なる。症状が一つしかない患者もいれば、複数の症状に苦しむ患者もいる。症状の強さも、軽いものから重いものまでさまざまである。3)”■EHSを起こす要因ここでもシャリタ博士の著作を中心としてEHSを起こす要因を紹介する。 “家電製品や電気コやードを取り巻く電場と磁場は、その周辺の空気を確実にイオン化している。室内には、電子レンジやパソコンのモニタ(VDT、VDU)、テレビ、コピー機、プリンタ、ノートブック型パソコン、コードレスや携帯を含む電話器、ファックス、エアコン、扇風機、洗濯機、乾燥機、冷蔵庫、冷凍庫、電気オーブン、掃除機、蛍光灯、電気ひげ剃り器などの電気製品や、電気製品のコード、室内配線などがあり、電磁場を発生させている。 屋外には、頭上や地中に伸びる電力線、「変電所や鉄塔の側には変圧器、ラジオやテレビのアンテナ、レーダ、携帯電話の中継アンテナがある。自動車内の電場と磁場は足下にあり、ダッシュボードやタクシーの無線設備も電磁場を発生させている。電車やバスの中には、モータや動力設備があり、乗客は気づかないうちに高いバックグラウンンドに曝されている。職場には主に電力線やアンテナ、線路の電線、スイッチボードによる高い電磁場、溶接機械、ミシンなどがあるだろうし、交通レーダや、空港や海上を監視するレーダ、その他のマイクロ波発生源に囲まれて働く人もいるだろう。 また庭やプールで、消毒剤や漂白剤、洗剤、イモ虫やゴキブリ、ノミを退治するための殺虫剤、じゅうたん用接着剤、木材用接着剤、ニスなどを使用すると、化学物質過敏症や中枢神経機能障害を起こす可能性がある。 ■電磁波過敏症への対応の経緯 電磁波過敏症が新しい環境問題ではないかという指摘も生まれ、この問題をとりあげる市民団体の動きも紹介されている。ここでは、関係組織が人体への影響を医学的に研究する動き、行政的な対応などの歴史的な経緯を紹介する。調査にかかわる組織名、発表された報告書の表題などをできるだけ取り上げたので、情報の詳細は用語に基づいてインターネットで検索して頂きたい。・1970 年代:電磁波過敏症の紹介 電磁波過敏症が話題になりはじめ、各種の症例が一般出版物でも紹介されるようになる。・1987 年9 月:不要電波問題対策協議会の設立 電波による電子機器等への障害を防止・除去するための対策を協議するために「不要電波問題対策協議会」が設立された。2002年5月に「電波環境協議会」と名称を変更。・1990 年代:電磁波の人体への悪影響の指摘 下記の事項が問題視されるようになる。・携帯電話のための高周波電波の中継塔・心臓ペースメーカーへの携帯電話の影響・1990 年:「電波防護指針」の策定 総務省は、人体に影響を及ぼさない電波の強さの指針として「電波防護指針」を1990 年に策定。