ブックタイトルメカトロニクス10月号2013年

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概要

メカトロニクス10月号2013年

52 MECHATRONICS 2013.10《第54回》2 設計から始めよう(その52)表2-47 拡散板に関する特許事件例(その1) 2-118)5.側射型照明装置(2)充実型側方照明( エッジライト) 方式⑯散乱・拡散シートⅳ 拡散シート(その2) 拡散板に関する特許事件例を出願日の順に前回に継続してみる ( 継続表2-47)。紙面の都合で、主として1990 年代の事件が掲載されているが、拡散シートの固有性質をそのまま活用した事例が目立つ。その中で、導光板の放出素子の敷設分布に回折格子を活用して均等な輝度を演出した発案が、液晶バックライトに関する発明として漸く現れ始めている(特開平09 -325218、特開平11 - 505632)。導光板に本格的に活用されるのはその後の2000 年代になってからのようだ。その諸所で基本を確実に把握した発明に注目される。 これらの中で、ホログラフィック拡散板の光拡散機能を有効に活用して輝度むらを根本から改善した案件に、私は感動を覚えた(図2-195)。2002 年ごろから省エネの光源として汎用され始めたLED は、導光板の入射端面を照射すると、輝点( 俗称は“蛍”)と暗点(俗称“目玉”)がきらめいて輝度むらが甚だしい。そこでこのレポートでは、導光板の入射端面に分岐溝を加工して見事に輝度均等化を図り、さらにホログラムで生成した拡散シートでバックライト放出全面を被覆して放出光の完全均等化を実現している(図2-195(b))。この記述には、点光源としてのLEDの配光分布や導光板に入射した光線束の輝度分布、拡散されたバックライトにおける放出光線束の配光曲線などの実測データが記載されている。 ここで、数理光学を体得する機会として、このレポートを教材に役立てて配光特性を解析してみよう。先ず“Lambert の余弦法則”「完全拡散面から放出される光の強度は面の法線と観測方向とのなす角度の余弦に比例する」を拡張して適用するために、余弦曲線に指向係数u、散乱指数v、指向指数w を付加して光線指向特性を表現してみる(図2-196(b))。  I=I0[cos(u・θ ) v]w  装備されている光源は表面実装型LEDであって、配光曲線は一般に w= 0.5 ~ 1.3 である。この教材例では完全均等性 w=1 であり、球面配光曲線とみなせる。導光板の平面の端面にその照射光線が入射すると、導光板の厚み方向と幅方向とに圧縮される。ここで導光板厚み方向への圧縮は(図2-196(a))、   ∫ ( -π / 2~+π / 2)cos Θ・d Θ  =∫ ( - 90°~ +90°)cos Θ・(d Θ /d θ)・d θ  = 2 ×π/ 180=114.6と計算される。また導光板の幅方向への圧縮u は、Snell の屈折法則により  sin α= n・sin β  → u = ⊿α/⊿β= n・cos β /cos α≒nと推定できるようになる。この計算による導光板の端面に入射した光線束の変形は、実測値と程よく合致している。そして導光板の端面に装備された入光部分岐溝を透過した照射光線の変形を観察すると、分岐溝が与えた機能も解析できる。 有効放出面を点光源から遠隔させると、ある程度は放出面の輝度均等化はできるであろうが、点光源に隣接し間隙に存在する輝点や暗点は、光源の個数を増やしても根本的には解決しない(図2-196(c))。教材の事例はこの入光部分岐溝が挿入され存在してこそ、輝度むらは解消できた。私もこの機能素子を導光板の照射端面に前置して“整向板”と呼称しながら実