ブックタイトルメカトロニクス7月号2013年

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概要

メカトロニクス7月号2013年

MECHATRONICS 2013.7 11所 在 地:U R L:事業内容:大阪府八尾市http://www.mtmk.co.jp精密機械部品・ロボット部品・油圧バルブ・フォークリフト車両部品などのモジュール・サブユニットの設計/機械加工/組立など。睦工業株式会社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ロットが少ないため、大量生産品に比べると高くなりがちですが、お客様から頂いた図面を再度当社の方で検証し、図面を最初から起こし直したりすることで、設計によって工程を工夫したり材質を見直すなど、コスト削減も含めて正確な提案を行っています。 さらに、生産体制についても1個流しセルを基本とした、独自のセル組立方式を採用し、小ロット短納期を実現しています。多様化する製品ニーズに対し、よりスピーディに高品質な製品でお応えするため、必要な作業工程と人員を最も効率的に配置した当社独自の生産体制です(写真4)。特に工場内は、3S(整理/整頓/清潔)を徹底し、高品質な製品づくりに繋げています。製品が売れる速さに合わせて組み立てを行い、組み立ての速さに合わせて部品を加工し、加工の速さに合わせて材料を購入するような流れで作業を行っています。 御社の注力する製品について お聞かせ下さい吉江:当社の製品は、お客様のニーズにより進化しているものがほとんどで、その中で特に注力しているのが、流体を通す管での開閉制御に用いられ、油圧シリンダの停止/伸び/縮みの切り替えなどが行える、『小型電磁(ソレノイド)バルブ』になります(写真5)。この製品は、装着時の突出部分が(L)53.8×(W)34×(H)42.2mmという従来の小型サイズを継承しながら、高性能を実現したカートリッジ式バルブです。シリコンを注入してコーティングすることにより、IP67規格相当の防水力を実現し、降雨時や洗車時の水はもちろん、粉塵にも強い構造になっています。 この製品を用いた応用事例としては、フォークリフトのオペレータが正常な運転位置にいない時に、荷役操作ができないようにする『離席時の安全用ソレノイド』、シリンダをロックすることで、車体の旋回/運搬時の前輪浮上がりや車体の傾き/転倒を防止する『ロックシリンダ』、フォークリフトハンドノブの位置とタイヤの方向が正常になるよう調整する『ハンドル制御バルブ』などが挙げられます。 次に、油圧シリンダで力を保持したい時に用いられ、流体の流れを常に一定方向に保ち、逆流を防止する機能をもつ『ノンリークチェックバルブ』をご紹介します。この製品は、毎分0 滴というリーク量を持続することで、機器の高効率な可動に繋げることができます。5~10MPa 相当の圧力がかかり続けても、シリンダを1日中保持し続けることが可能です。 この製品を用いた応用事例としては、大型荷物の運搬時にアタッチメントを制御し、スムーズに回転しつつも適切な力でしっかりと保持する『ロータリーバルブ』、ペーパーロール荷役用などのフォークリフトアタッチメントで、回転中の荷物を保持する『カウンタバランスバルブ』、フォークリフトの様々なアタッチメントに、1チャックバルブや2チャックバルブとして使用される『パイロット操作チェックバルブ』(写真6)などが挙げられます。 そして、先程も少しお話した大学との産学連携による『可変柔軟ロボット関節』の開発事業についてご紹介します。この開発事業に至った経緯としては、大学でリハビリロボットを研究されている学科の先生が当社のホームページをご覧になって、「機械加工をしてほしい」と依頼されてきたのが最初のきっかけになります。まずは、部品一式を製作して納めていき、その後組み立てまでお願いしたいということで組み立ても行っていきました。この部品が、ロボット関節の部品ということは認識していたのですが、どういう機能をもっているということまでは、まだ分からない状況でした。それから、何度かバージョンアップのお手伝いをしているうちに、経済産業省の推進する「ものづくり中小企業製品開発等支援補助金」という制度に、ロボット関節の一部の機能を要素技術のように汎用化してなにかに転用できないだろうかと考え、デモ機を製作して応募したところ採択され、これにより『可変柔軟ロボット関節』の開発事業にも力を入れていくようになりました(写真7)。 この技術は、「人とロボットの共存」という夢に向け、アームに人が当たっても安全なように、アームにかかる外力とモータの力の差分をバネで吸収する差動機構を採用し、バネの弾性(関節の柔らかさ)をリニアに100倍変えることができるのが、一つの大きな特徴になっています。当社としては、その夢を実現するべく、次世代ロボット、医療/リハビリロボット、サービスロボットなどの関節部に、この技術を採用して共同開発していただける企業を探しています。 今後の展開についてお聞かせ下さい吉江:最近では、「なにわ生産革新研究会」という大阪で開催される研究セミナーに力を入れており、今後はこの研究セミナーで学んだことをもとに、当社の工場をショールーム化していきたいと考えています。当社の強みでもある「小ロット短納期」という生産体制を全面に押し出し、それに対応する強い工場づくりをお客様にご覧になっていただきたいと思っています。そして、当社のような生産体制の仕組みを同じ業界の他の会社でも取り入れていただくことにより、地域ぐるみで連携しながら「小ロット短納期」の工場群をどんどん増やしていき、当社のような中小企業による日本のものづくり力のベースアップに繋がれば楽しいかなと考えています。 工場のショールーム化については、来年をメドに実現できるところまできており、あとは当社の生産体制の仕組みを取り入れて連携していただける会社を探していくことが今後の課題となっています。 それから、人材育成というか社員教育にも力を入れていきたいと考えています。現在も月に2 回、工場の作業を止めて全社員で研修を行っており、品質管理や生産革新についてなどテーマごとに専門の講師を招いたり私が講師になったりしていますが、今後も機械加工や油圧についての専門的なテーマを取り入れながら継続していく予定です。 当社には、「働き甲斐のある職場を目指そう」という標語があるのですが、苦しいというだけでなく、その苦しさを楽しく感じてもらえるようにしたいと考えており、自分が成長しているのを楽しく感じてもらえるように、課題を与えるようにしています。その課題をクリアし、常にレベルアップを目指せる環境づくりとして、社員教育の場を設けている次第です。本日はお忙しい中ありがとうございました。写真4 独自のセル組立方式による生産体制写真5 小型電磁(ソレノイド)バルブ写真6 パイロット操作チェックバルブ写真7 可変柔軟ロボット関節のデモ機