メカトロニクス11月号2012年

メカトロニクス11月号2012年 page 9/72

電子ブックを開く

このページは メカトロニクス11月号2012年 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
MECHATRONICS 2012.11 9所 在 地:U R L:事業内容:川崎市中原区http://www.tydo.co.jp/通信、音響、映像、無線、環境部門のシステムおよび機器の設計/製造/現地調査/取り扱い指導に至る一貫作業、など。太陽電....

MECHATRONICS 2012.11 9所 在 地:U R L:事業内容:川崎市中原区http://www.tydo.co.jp/通信、音響、映像、無線、環境部門のシステムおよび機器の設計/製造/現地調査/取り扱い指導に至る一貫作業、など。太陽電音株式会社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・備をもつ大学に協力を依頼する事にしました。 風力発電機の試作では、まず図面を書くことよりも材料を加工して形にすることを優先し、当初は試作品が完成したら、風洞実験装置をもつ足利工業大学に協力を依頼して検証を行い、大学の先生からも様々なアドバイスなどを頂きました。さらに、そういったアドバイスを活かしながら羽根の強度を上げていくにつれ、風速20m以上の風洞設備をもつ三重大学にも協力を依頼するようになり、1 年に2 回ほど出張していました。製品化するまでは、試行錯誤の繰り返しで何度も試作と試験を行っていました。そうして製品化した小型風力発電機は、風力/太陽光発電利用の小型風力ハイブリッド発電システムとして、現在では学校や市町村などに設置され、学校においては地球温暖化といった環境問題を考える教材としても活用されています。 御社の風力発電に関連する 製品の特徴と導入事例などについて お聞かせ下さい木村:「川崎ものづくりブランド」にも認定された小型風力発電機『WINTEX-880A』は、安全設計、高効率設計、流線型の斬新なデザインが特徴で、当社の主力製品になっています(写真2)。主な仕様としては、外観構造:水平軸式防雨構造、外形寸法:約1,280mm(ブレード径)、質量:約14kg、ブレード材質:GFRP 製、最大出力:880W(風速 約17m / s)、ブレーキ制御:風速12mくらいで作動、などが挙げられます。 この製品を使用した小型風力発電システム『WINTEXシリーズ』は、風力と太陽光を利用して電気を起こし、発電した電力はバッテリーに溜める独立電源型のシステムです。システム構成としては、風力発電機、太陽電池、充電制御器、バッテリー、無線機、アンテナ、電力増幅器、スピーカ、監視カメラなどから成り立ちます(一部オプション)(写真3)。山間部、離島での利用はもちろん、防災/警報放送、気象監視、ダム監視、離島発電、交通情報システムなどに力を発揮するほか、バイオトイレ、音声案内、夜間照明などにも利用されています。 主な導入事例としては、2010 年2月に川崎市中原区役所の看板LED 照明電源として設置、2010 年10月には川崎市幸区役所日吉出張所の図書館蛍光灯スタンドとフォトフレームの電源として設置しています(写真4、5)。その他にも、川崎市内だけでなく観光地のメモリアル機器の電源として利用も含め日本各地に設置され、クリーンエネルギーを活用した地球環境保護に貢献しています。 また、風力発電用発電機『TYG880 / 3000』は、単体でも販売しており、回転するものに接続すればすぐに発電することが可能です(写真6)。特徴としては、①定格出力:450W、②コアレス構造で回転時のコキングがなく、低風速から発電できる、③強力なネオジウム磁石を使用し、高効率を実現できる、④三相発電機を両面に実装し、高出力を実現できる、などが挙げられます。すでに、専修大学/(有)伊藤工業と共同で、自転車発電に応用する取り組みにより、自転車型発電シテムを開発しています。このシステムは、人がペダルをこぐことにより、自転車の後輪軸に装着した発電機を回し、発電した電気を蓄電池にためていくという仕組みになっています。ギア付きの自転車なので自分の体力に合わせた発電量を出せ、またフライホイールを実装しているので、スムーズにペダルを踏むことができます。川崎市が推進する「かわさき環境ショーウインドウ・モデル事業2011」の一環として、2012 年2月に川崎市幸区の夢見が崎動物公園へ、風力発電システムとともに子供用の人力発電車を納入しています(写真7)。 今後の展開についてお聞かせ下さい木村:まずは、営業面の強化を図って行きたいと考えています。今までの当社の業態は、OEMを中心とした事業展開だった事もあり、今までの技術力を活用した注文が入るのを待つことが多く、年間の売り上げもある程度想定できていました。それ以上の売り上げのプラスは、営業部門も確立されていなかったことと販売できるオリジナル製品がなかったため、見込めない状況でした。しかし、当社が開発したオリジナル製品の小型風力発電機が「川崎ものづくりブランド」に認定されたことで問い合わせも増え、このチャンスを確実にビジネスに繋げていかなくてはいけないと考えました。まずは、私が先頭に立って小型風力発電機をきっかけに、当社のコアとなる音を伝える技術を融合させて、お客様に様々な提案ができるような営業体制を整えています。 すでに、小型風力発電システムの中に緊急地震速報のシステムを組み込むといった提案なども進めています。これは、停電になると緊急地震速報は音が出なくなってしまうため、常に音を出せる状態にするために小型風力発電システムの中に組み込むという提案です。そのほかにも、当社の技術を活かした様々な提案を検討している状況です。 また事業を展開する分野では、新エネルギー関連だけでなく当社の技術を活かせる分野の活用でチャレンジしていこうと考えています。 今までは、当社は製造会社という言い方をしてきたのですが、今後は技術提案から、製品になるまでのトータルシステム提案営業ができる会社にして行きたいと考えています。中小企業においては、「ものをつくるだけ」「ものを設計するだけ」「ソフトを開発するだけ」といった会社は多いのですが、当社はこれらすべてのノウハウをもっているので、お客様の要望に最終段階まで対応していくことができると自負しています。ただ、営業力を強化するには、営業力を含めた技術のレベルアップも必要かと思われるので、営業に繋げる技術革新は今後の課題となってきます。今までは、当社のもつ技術を要望されるお客様に提供していましたが、今後はお客様に提案できる営業力を含めた技術にレベルアップすることで、様々な事業に展開していけると考えています。本日はお忙しい中ありがとうございました。写真4 川崎市中原区役所に設置した看板LED 照明電源写真7 川崎市幸区夢見が崎動物公園に設置した風力発電システムと子供用人力発電車写真5 川崎市幸区役所日吉出張所に設置した図書館蛍光灯スタンドとフォトフレームの電源写真3 風力発電システム構成図写真6 風力発電用発電機『TYG880』