メカトロニクス11月号2012年

メカトロニクス11月号2012年 page 8/72

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概要:
8 MECHATRONICS 2012.11 御社の概要についてお聞かせ下さい木村:当社は、主に業務用音響機器の開発/設計/製造を行う企業として、1964 年東京オリンピックの年に創立、大手電機メーカーからの依頼で、公共施設な....

8 MECHATRONICS 2012.11 御社の概要についてお聞かせ下さい木村:当社は、主に業務用音響機器の開発/設計/製造を行う企業として、1964 年東京オリンピックの年に創立、大手電機メーカーからの依頼で、公共施設などの放送設備の技術協力を含めたOEM 供給したのが事業の始まりになります。その後、音響という部門だけでは当社の業態では事業が限られてしまうため、通信や無線などの情報通信分野にも参入することで、事業を拡大させていきました。 1977 年には、それまで事業の柱としていた業務用音響機器の設計/製造から業態を発展させ、駅案内放送/デパート・大型スーパー自動放送/球場放送/空港などの案内放送システムの開発/設計/製造/現地据付調整までの一環作業を行うようになるまで事業拡大した中で、翌年の1978 年には、成田空港の開港に向けて整備工場向け放送システムの開発/設計/製造/現地調整を依頼され、この大規模なプロジェクトに加わったことにより大変苦労もしましたが、新しい事業への自信にも繋がっていきました。 当社は、OEM 供給を中心に事業展開してきたためオリジナルブランドというものがなかったのですが、1984 年に大型スーパー向け自動放送装置を開発/設計/製造し、この製品をOEM 供給と平行して当社初のオリジナルブランドとして展開していきました(写真1)。ただ、当社の営業部門の確立があまり進んでいなかったためPRなどもあまり出来ず、その後も衛星放送関連機器の設計/製造や非常放送装置(音声警報タイプ)の開発/設計/製造などを行ってきましたが、OEM 供給での展開になっています。 そのような中、2001 年に新たな事業展開として小型風力発電機の開発/設計/製造を開始しました。きっかけとしては、東北地方の火山活動が活発化し、その監視/連絡用に当社の情報通信機器を使用する場合に、設置場所が山岳地帯のため電源がなく、この問題をクリアするため風力発電によって電源を確保していくという提案で、小型風力発電機の開発を行うことになりました。しかし、製品化まであと少しというところで火山活動が沈静化し、この案件は取り止めになりました。その際、社内では「やめるべき」との声も上がったのですが、ここまで進めたのだから最後までやり遂げるべきということで製品として完成させました。 そして2006 年に、この製品を「第2 回 川崎ものづくりブランド」という川崎市の応援で川崎商工会議所が “音”をキーワードに、通信部門/映像部門/音響部門/無線部門/環境部門といった5つの部門で事業を展開する太陽電音株式会社。OEM供給を柱にしていた業態から、オリジナルブランドとなる小型風力発電機の開発をきっかけに業態が変わり始めた同社の概要と技術/製品などについて、代表取締役 木村 康廣 氏にお話を伺った。太陽電音株式会社代表取締役木 村 康 廣 氏情報通信技術を融合した小型風力発電システム~情報通信分野から環境分野へ事業展開~主催する“ 高い技術・技能から生まれた製品を顕彰・PRしていこう”という制度に応募して認定されました。これは、「独創的な技術・品質・将来性・環境配慮・社会貢献等を兼ね備えた製品」と公的に認められたことになり、認定委員からは「環境をキーワードとした製品」「企業蓄積を活かした自社製品」「環境産業発展の製品」といった高い評価を頂きました。「川崎ものづくりブランド」に認定されたことが追い風となり、当社オリジナルブランドとして世間に対して大きくPRできるような環境が整っていきました。ただ、まだまだ当社の営業部門の確立や量産に向けた取り組みなど現状の課題があり、対策が必要とされている状況です。 また、私は1971 年に入社して、主に製造現場に携わりながら現地据付調整も含めた当社のものづくりの移り変わりを見てきました。社長に就任したのは2005 年10月で、現在は小型風力発電機など自然エネルギーの開発に力を入れながら、創業当時から培った情報通信に関するノウハウを融合させ、お客さまの様々なニーズに対応する、通信部門/映像部門/音響部門/無線部門/環境部門といった5つの部門で事業を展開しています。 貴社の技術に関してお聞かせ下さい木村:当社の技術は、音がキーワードになっています。音を伝えるオーディオ技術、AM / FMラジオ技術、無線技術、インターネット技術から、音を伝える技術を活用するための小型発電機/小型風力発電システム技術、筐体設計技術を保有しています。コアとなるのはオーディオ技術で、電力増幅器/音声合成機(ROM/CF・SDカード対応)/音声遅延放送装置/スーパー用自動放送システムといった製品に活かされ、またその他保有する技術にも応用されています。 ただ、小型風力発電機を開発する際に、自然に対しての安全性をどのようにして検証していくのかということだけは、当社が今まで経験した技術にはありませんでした。風車の羽根が何回まわれば、何ワットの電力が得られるかということは、当社の保有する技術により検討できますが、風車の羽根や発電ブレーキなどが風速何mまで耐えられるか、という安全性については、検証設写真1 大型スーパー向け自動放送装置写真2 小型風力発電機『WINTEX-880A』