メカトロニクス11月号2012年

メカトロニクス11月号2012年 page 64/72

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64 MECHATRONICS 2012.11日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力「国連持続可能な開発会議(リオ+ 20)」~(2)「成果文書」に見る“持続可能な開発”の具体化~【第128回】 前回....

64 MECHATRONICS 2012.11日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力「国連持続可能な開発会議(リオ+ 20)」~(2)「成果文書」に見る“持続可能な開発”の具体化~【第128回】 前回の本シリーズ「国連持続可能な開発会議(リオ+20)(1)」では、「“持続可能性”の検討の軌跡」の副題で、「リオ+20」に至る環境問題を巡る国際的な動きを、1972年から今年の「リオ+20」までの期間における16項目のトピックスを年代に従って紹介した。 17番目のトピックスは、本年6月に開催された「リオ+20」であり、今回はその会議の内容を紹介する。■「リオ+20」について 前回に紹介したような経緯を経て、2012 年は、1992年に開催された「環境と開発に関する国連会議(地球サミット、UNCED)」注1)から数えてちょうど20年目であり、持続可能な開発を実現するための世界の取り組みについて議論を行うことが企画された。注1)環境と開発に関する国連会議:United Nations Conferenceon Environment and Development 、UNCED。(「国連環境開発会議」、「地球サミット(The Earth Summit)」、「リオ会議」とも呼ばれている。) その会議では、持続可能な開発の実現に関するこれまでの取り組みや目標達成状況について総括を行うとともに、新たに取り組むべき課題や今後達成すべき目標について認識を共有し、今後の取り組みに向けた国際的合意を結ぶための政治的文書を作成することを目標としている(同文書は、最終日に各国代表の合意により採択された「成果文書」である。)(1)「リオ+20」における“持続可能な開発”の意味 今回の会議の名称には、“持続可能な開発(Sustainable Development)”という用語が使用されている。この用語が広く一般に認識されるようになったきっかけは、1987年に国連の「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」注2)が公表した報告書「我ら共有の未来 (Our CommonFuture)」であるといわれている。注2)環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会):World Commission on Environment and Development、WCED (Brundtland Commission) 同報告書では、「持続可能な開発」を“将来世代のニーズを損なうことなく現在の世代のニーズを満たすこと”と定義しており、成長の回復と質の改善、人間の基本的ニーズの充足、雇用、食糧、エネルギー、水、衛生の必要不可欠なニーズへの対応、人口の抑制、資源基盤の保全、技術の方向転換とリスクの管理、政策決定における環境と経済の統合を主要な政策目標として位置づけた。これがきっかけとなって「持続可能性」に関する認識が共有されるようになり、後の「環境と開発に関する国連会議(地球サミット、UNCED)」(1992年)の開催へとつながった。さらに2002年の「リオ+10」では、この用語を取り入れて「持続可能な開発に関する世界首脳会議」注3)と命名された。注3)持続可能な開発に関する世界首脳会議(リオ+ 10、ヨハネスブルグ・サミット2002):World Summit on Sustaina bleDevelopment、WSSD(Rio+10、Johannesburg Summit2002)(2)「リオ+20」の準備 ブラジル政府は、2007年9月に国連総会において、1992年の地球サミットから20年目となる2012年に、同会合のフォローアップ会合をリオデジャネイロで開催することを提案した。これを受けて、2009年「国連決議64/236」が採択され、国連持続可能な開発会議(リオ+20)をリオデジャネイロで開催することが決定した。 「リオ+20」の目的について、同決議では、“持続可能な開発に関する新たな政治的約束を確保し、持続可能な開発に関する主要な会議の成果の実施における現在までの進展及び残された課題を評価し、新しい又は出現しつつある課題を扱うこと”としている。さらに「リオ+20」では、前述の通り、①持続可能な開発及び貧困根絶の文脈におけるおけ るグリーン経済(Green Economy)及び、②持続可能な開発のための制度的枠組みについて、 実効性のある成果が求められている。 これを踏まえ、「リオ+20」においては、グリーン経済に関する具体的な政策論を展開し、持続可能な開発の実現に向けた諸課題を解決するための合意を得ることを目標としている。また、持続可能な開発のための制度的枠組みについては、環境問題を総合的に取り扱う国際機関の設立や、環境に関する多国間条約の統合・連携等が議論されることとなる。(3)「リオ+20」の概要2) 「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」は、6月20日から22日までリオデジャネイロ(ブラジル)で開催され、国連加盟188ヵ国及び3オブザーバー(EU、パレスチナ、バチカン)から97名の首脳及び多数の閣僚級(政府代表としての閣僚は78名)が参加したほか、各国政府関係者、国会議員、地方自治体、国際機関、企業及び市民社会から約3万人が参加した。(4)「リオ+20」における主な議題 「リオ+20」における主な議題は以下の通りであった。①持続可能な開発及び貧困根絶の文脈におけるグリーン経済:「成果文書」に関する具体的政策論を展開することで、持続可能な開発の実現に向けた諸問題を解決する上で実効性のある合意を得ることを目標とする。②持続可能な開発のための制度的枠組み:環境問題を総合的に取り扱う強力な国際機関の設立や、多国間環境条約(MEASs)注4)の連携の強化などを重要課題として議論する。注4)多国間環境条約:Multilateral Environmental Agreements、MEASs■成果文書 「リオ+20」では、持続可能な開発の実現に向けた歩みを着実に進めるため、実効性のある文書の策定を予定した。この文書は「The Outcome Document(成果文書)」と呼ばれ、副題には“The Future WeWant”と付されている注5)。注5)“The Future We Want”の日本語訳には、現在“我々が望む未来”と“我々の求める未来”の二つが使われている。 本文書の策定には、各国政府、国際機関、その他の非政府組織から、それぞれの問題意識や知見等を集約し、会議の成果に反映させることが重要であると考えられた。(1)成果文書へのインプット 国際連合のリオ+20事務局は、幅広く意見を集約するための公平かつ透明なプロセスとして、各参加主体に対し、成果文書へのインプット(意見)を事前に募集した。 これらのインプットは、その後の検討過程に於いて反映され、成果文書の素案であるゼロドラフト「我々が望む未来」の基礎となった注6)。注6)成果文書へのインプットを提出した組織・団体の総数は677 となった(国連加盟国100、国連機関・政府間組織74、政治団体5、地域<表1>「リオ+20 成果文書“我々が望む未来”」目次(Rio+20 Outcome Document“ The Future We Want”) 準備会合5、その他の主要団体493)。Ⅰ.われら共有の展望Ⅱ . 政治的コミットメントの更新A.リオ原則と過去の行動計画の再確認B.進歩する統合、実施および一貫性:持続可能な開発に関する主要サミットの成果の実施におけるこれまでの前進及び残されたギャップの評価並びにたな課題への対応C.主要グループおよびその他の利害関係者の関与C.行動のための枠組みⅢ . 持続可能な開発及び  貧困撲滅に関連するグリーン経済Ⅳ . 持続可能な開発のための制度的枠組みA.持続可能な開発の3 つの特質の強化B.持続可能な開発のための政府間協定の強化  ・総会(GA)  ・経済社会理事会(ECOSOC)  ・ハイレベル政治フォーラムC.持続可能な開発に関連する環境上の標柱D.国際的な財政制度および国際連合の業務活動 E.地域的、国家的、準国家的および地方的な水準Ⅴ.行動とフォローアップのための枠組みA.主題の分野および横断的な問題  ・貧困撲滅  ・食糧安全保障、栄養、および持続可能な農業  ・水および下水処理  ・エネルギー  ・持続可能な観光事業  ・持続可能な輸送  ・持続可能な都市および人間のセツルメント  ・健康及び人口  ・万人のため、並びに社会保護のための完全かつ   生産的な雇用および適切な作業の促進  ・海洋および海  ・小島嶼開発途上国(SIDS)  ・後発開発途上国(LDC)  ・陸地に囲まれた開発途上国(LLDC)  ・アフリカ  ・地域的な努力  ・災害のリスク削減  ・気候変動  ・森林  ・生物多様性  ・砂漠化、土地劣化および干ばつ  ・山岳  ・化学物質および廃棄物  ・持続可能な消費と生産(SCP)  ・鉱業  ・教育  ・性の平等および女性への権利付与B.持続可能な開発目標(SDG s)Ⅵ.実施方法A.資金B.技術C. 能力開発D.貿易E.コミットメントの登録