メカトロニクス7月号2012年

メカトロニクス7月号2012年 page 10/60

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概要:
10 MECHATRONICS 2012.7 御社の概要についてお聞かせ下さい高村:当社は、ドイツに本社をもつエンクロージャー(筐体)のサプライヤーであるリタール社の日本法人です。リタール社は、世界12ヶ所にハイテク生産拠点....

10 MECHATRONICS 2012.7 御社の概要についてお聞かせ下さい高村:当社は、ドイツに本社をもつエンクロージャー(筐体)のサプライヤーであるリタール社の日本法人です。リタール社は、世界12ヶ所にハイテク生産拠点と62ヶ国に現地法人の子会社があり、グローバルで10,000人以上のスタッフがいます。リタール社は、昨年50周年の節目を迎え、日本法人の当社も来年25 周年を迎えます。私は、昨年の9月に日本法人の社長に就任しました。 主な事業としては、産業用ラックをコアに、筐体関連製品の製造/販売を進めています。グローバルでは、自動車/工作機械/鉄道/プラント分野などに強みをもち、また食品機械や風力発電などの分野にも大きなシェアをもつメーカーです。リタール社のロゴは、左から右へ広がるように段々大きく5 色で色分けしており、これは小さいボックスのような筐体から産業用ラックのような大きい筐体、それに伴う関連機器までを含めたトータルソリューションで事業を拡大していき、会社を成長させてきたということを表現しています。 近年では、筐体内に高密度な状態でシーケンサやインバータ、制御機器などが入るようになり、以前に比べて発熱量の問題がより生じるようになったので、筐体だけでなく温度管理に関連する製品についても開発を進め、製品群の充実を図っています。また、筐体の技術と 昨年で50周年を迎えたドイツ リタール社の日本法人となるリタール株式会社。エンクロージャー(筐体)のサプライヤーとして、産業分野からIT分野へと事業展開を進めながら、筐体に装備する温度管理システムに力を入れる同社の取り組みと製品の概要などについて、代表取締役社長 高村 徳明 氏にお話しを伺った。リタール株式会社代表取締役社長高 村 徳 明 氏制御盤内の電力消費量を効率的に抑える温度管理システム~筐体からクーラ、ファンなど、独自性の高い製品をラインアップ~温度管理の技術の確立により、産業関連だけでなく、更なる発展を遂げるデーターセンター等のIT 分野にも数年前から参入しています。筐体技術の評価は高く、19インチのサーバーラックをIBM、HP、DELL、NetApp、CISCOなどの大手サーバー・ネットワーク機器メーカーに、グローバルでOEM 供給しています。 このように、産業分野で培ったノウハウをIT分野に活かしながら、「産業」と「IT」の2つの大きな柱で事業展開しています。 貴社の筐体内で使用する温度管理シス テムに関する製品と技術などについて お聞かせ下さい高村:当社の温度管理システムには、外気を使用する「フィルターファンユニット」や「空冷式熱交換器」、コンプレッサを使用する「盤用クーリングユニット」、「水冷式冷却機器」、「IT用冷却機器」、「屋外筐体用温度管理機器」、「盤用ヒータ」があります。これらの製品は、高性能かつ高効率で環境に優しく、ユーザーの多様な用途に対応が可能で、単独またはラックなどと組み合わせシステムとして提供しています。 今回は、この中でも特に注力している製品をいくつかご紹介させていただきます。 「トップサームフィルターファンユニット」は、盤面に取り付け、外気を使用して温度管理を行う製品です(写真1)。外側のルーバとファンが一体化しているのが特徴で、一般的にはファンを購入して、ルーバに関してはユーザーサイドで自作するケースが多く、このような一体型の製品を製造しているメーカーは、多くありません。またデザイン性に優れており、さらに空気を吸うときにオイルミストや粉塵などの対策でルーバにフィルタマットを取り付けますが、工具がなくてもフィルタ交換が簡単にできるといった、当社独自の特徴をもっています。当社のフィルターファンユニットは、斜流ファンという空気を斜めに流すファンで、一般的に使用されている軸流ファンと異なり、ラック内で拡散して空気を散らす効率の良い仕組みになっています。製品自体標準でIP54 の保護等級を実現し、オプションの防水フードを付ければIP56まで上がる耐環境性に優れた製品です。 「サーモエレクトリッククーラ」は、冷却にペルチェ素子を利用したクーラです(写真2)。通常クーラは、空冷のコンプレッサを使うか水冷のチラーを使って冷やしますが、この製品はペルチェ素子という半導体を使って冷やします。一般の空冷タイプのクーラと比べて、コンプレッサを使用しないため非常にコンパクトな設計であり、他社の製品と比べて大きさは約半分ぐらいになっています。さらに、振動や騒音が少なく、前面のカバーはプラスチックを採用しているため、軽量化を実現写真1 トップサームフィルターファンユニット写真2 サーモエレクトリッククーラ写真3 ルーフ型クーリングユニット