メカトロニクス4月号2012年

メカトロニクス4月号2012年 page 10/60

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概要:
10 MECHATRONICS 2012.4 御社の概要についてお聞かせ下さい桑原:当社は、私が大手家電メーカー関連会社より独立し、1974 年5月にサイシン工業株式会社という社名でスタートしました。創業当初は、空調設備の設計施....

10 MECHATRONICS 2012.4 御社の概要についてお聞かせ下さい桑原:当社は、私が大手家電メーカー関連会社より独立し、1974 年5月にサイシン工業株式会社という社名でスタートしました。創業当初は、空調設備の設計施工やサービス管理といった事業をメインに行っていましたが、約10 年の間に空調設備、給排水工事、電気工事まで行える会社へと成長していきました。グループ企業も3社設立し、大手ゼネコン、地方ゼネコン、役所の仕事なども請け負うようなところまでいきましたが、当時の私は設計/施工という設備業より、ものづくりを行う製造業に魅力を感じるようになっていました。 そのような中、給排水の仕事を通して水の悪化を知り、当時はまだ浄水器などなかった時代だったので、水道水を自然水のようにきれいにする『人工岩清水製造機』の開発を、従来の設備業と平行して行うことにしました。私の生まれた新潟県中魚沼郡津南町は、水のきれいな町で知られ私もその水を飲んで育ったこともあり、水へのこだわりは人一倍もっているつもりでした。そのようなことから、まずは私を含め3人のチームで水の研究からスタートさせました。 3 年間ほど水の研究に没頭し、ようやく天然水に近い分析結果の出るところまでいったのですが、実際に水道水や市販されはじめの天然水などと飲み比べるテストを行うと人それぞれで、人間の舌では判断がつかないという結果が出ました。このような状況では、製品化 省エネ/環境機器である排熱回収型ヒートポンプと、ろ過装置の製造販売を行うサイエンス株式会社。水の研究を機に、設備業から製造業へと事業転換した同社の概要と技術/製品などについて、代表取締役桑原 克己 氏にお話しを伺った。サイエンス株式会社代表取締役桑原 克己 氏水を活かすものづくり技術を省エネ/環境機器に応用?ユーザーごとに省エネ設備を設計提案?できないと判断し、開発の中止を決断しました。しかし、ここまで研究した成果を無駄にしたくないという気持ちから発想の転換をして、お風呂の浴水に人工岩清水をつかった24 時間風呂の『人工岩清水温泉機』を、最初の当社オリジナル品として製品化することができました。 当時は、従来の設備業と平行して行っていたため、製造は友人の紹介の委託工場で行っていましたが、コピー製品を販売されるなど色々と問題があったため、1988年11月、新潟県三条市に自社の第一工場を竣工し、『人工岩清水温泉機』の製造から発送までの一貫体制を築き上げました。その後、大手メーカーなどからのOEM供給の依頼などもあり、第一工場だけでは手狭になったため、1991年10月、私の故郷である新潟県中魚沼郡津南町に第二工場を竣工しました(写真1)。 その時期から、家庭用はOEM供給で対応するようにして、自社ブランドとしては業務用にシフトすることで、業務用の製品開発を急遽進めることになりました。ちょうど当時の厚生省(現厚生労働省)が推進するゴールドプラン(高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略)とタイミングが合ったために、全国の特別養護老人ホームなどに当社の業務用製品がかなりの台数納入されました。 1994 年12月には、新本社ビルを現在のさいたま市北区宮原町に竣工しました。また、グループ企業も一つにまとめ会社名も現在のサイエンス株式会社に変更し、本格的に設備業から製造業にシフトしていきました。その後、風評などで家庭用のOEM製品がまったく売れなくなるなど、会社経営が厳しい時期もありましたが、24 時間風呂の家庭用と業務用ろ過装置のメンテナンスを扱っていたおかげで何とか危機を乗り越えてきました。また、ヒートポンプで給湯と冷却を同時に作れる製品開発は、当初製品開発と事業化を含め5年ほどで開始する予定でしたが、実際には製品化と実績つくりに約15年の期間を要し、昨年6機種目の製品を完成させてようやく市場でも認知されるようになった状況です。現在では、省エネ/環境機器である排熱回収型ヒートポンプとろ過装置を製造しているメーカーとして、ユーザーごとにオリジナルの省エネ設備を設計提案しています。さらに、開発から生産、営業、メンテナンスまで一貫して自社対応を行い、次の省エネ機器の開発に役立てています。 2010年には、このような当社の技術が評価され、さいたま市が技術の独創性/革新性に優れた市内の研究開発型企業を認証する「さいたま市テクニカルブランド企業」にも選定されました。この制度は、「認証企業のさらなる競争力向上支援を通じて、さいたま市産業全体の活性化やイメージアップを図る」目的で行われています。 御社のコアとなる技術についてお聞か せ下さい桑原:ろ過装置に関しては、浄化と殺菌がポイントになってきます。当社の技術としては、物理浄化、バイオ浄化、電気分解浄化といった3つの浄化方法を、独自の技術で行っています。今までは、砂ろ過などの応用で何枚ものフィルタの層にごみなどを引っ掛ける浄化方法で、私自身物理浄化といっている手法や、バクテリアに人間の出す汗や不純物などを食べさせるバイオ浄化が中心でしたが、最近では殺菌と浄化を同時に行う電気分解浄化を開発し、製品化しました。 このような3つの浄化技術を採用して、ろ過装置の製品開発を行っています。 ヒートポンプに関しては、冷却時(冷房)の排熱を利用して70?80℃の温水(給湯)を瞬時につくり出すことが可能な排熱回収型になっています。工場排水や温泉排水から熱回収を行い、熱の再利用をすることも可能です。このヒートポンプを利用したシステム設計により、省エネとCO2排出量の削減が実現できます。特に、食品工場などのプロセス冷却の排熱を利用し、殺菌洗浄写真1 新潟津南工場などを行うことで大幅なCO2削減効果が得られます。