メカトロクス12月号2011年

メカトロクス12月号2011年 page 50/60

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概要:
50 MECHATRONICS 2011.12日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力「国連持続可能な開発のための教育の10 年」?その活動経緯と今後の予定?【第117回】 2011年9月27日付け「環境省・報....

50 MECHATRONICS 2011.12日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力「国連持続可能な開発のための教育の10 年」?その活動経緯と今後の予定?【第117回】 2011年9月27日付け「環境省・報道発表」によると、“「国連持続可能な開発のための教育の10年」の最終年が2014年であり、最終年会合は日本で行うが、その閣僚級会合及び全体の取りまとめ会合は愛知県名古屋市で行う”とのことである1)。 わが国は、“持続可能な社会の実現”についての提案を国際連合に行っていた。それは、“持続可能な社会の実現に向けて、私たち一人ひとりが、世界の人々や将来世代、また環境との関係性の中で生きていることを認識し、行動を変革することが必要であり、そのための教育が「持続可能な開発のための教育」”であるとして、その教育の実践を国際連合に、2002年に提案した。 国際連合は、2002年12月の総会において、2005年から2014年までの10年間を、「国連持続可能な開発のための教育の10年」とすることを決議した、 環境省の今回の発表は、その最終年度の会合の準備のためのものである。今回はこの活動の経緯と今後の予定を紹介する注)。(注)本件については、本シリーズ第115 回において、2011 年版環境白書の紹介を行うときに、特に“持続可能性”に関する活動の一つとして紹介した。■“持続可能な開発のための教育”について 「国連持続可能な開発のための教育の10年」は、英語では“United Nations Decade of Educationfor Sustainable Development”と呼ばれており、その略号は“UNDESD”である。ただし、単にESDと呼称する例も多く、それは中心となる内容“持続可能な開発のための教育”を強調する場合、あるいはこの活動を総称して簡略に呼ぶための表現となっている。(1)そのきっかけ1“. 持続可能な開発”とは 本シリーズの第115回で、“持続可能な開発”に関して詳細に紹介したが、その冒頭を以下に引用する。“「環境と開発に関する世界委員会」(委員長:ブルントラント・ノールウェー首相(当時))が1987年に公表した報告書「Our Common Future」の中心的な考え方として取り上げた概念で、「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」のことをいうとされている。この概念は、環境と開発を互いに反するものではなく共存し得るものとしてとらえ、環境保全を考慮した節度ある開発が重要であるという考えに立つものである3)。”2.その後の経緯 「持続可能な開発」のために教育が極めて重要な役割を担うことについては、すでに1992年に開催されたリオ・サミットの際にも認識されており、同サミット後、国連持続可能な開発委員会(CSD)においてユネスコが中心となって「持続可能な開発」のための教育のあり方について検討が進められてきた。 その後、リオ・サミットから10年を経た節目として、2002年にヨハネスブルグ・サミット(持続可能な開発に関する世界首脳会議、リオ+10)が開催され、「持続可能な開発に関するヨハネスブルグ宣言」、「ヨハネスブルグ実施計画」が採択された。 「ヨハネスブルグ・サミット実施計画」の交渉過程で、わが国は、国内NGOの提言を受けて一つの提案を行った。それは、“2005年から始まる『持続可能な開発のための教育の10年』の採択の検討を国連総会に勧告する”ことで、このわが国の提案は、各国政府や国際機関の賛同を得て実施計画文書にその旨の記述が盛り込まれることとなった。 国際連合は、2002年12月の第57回総会において、わが国の提案を受けて、2005年から2014年までの10年間を、「国連持続可能な開発のための教育の10年」とすることについて、先進国と途上国の双方を含む47ヶ国が共同提案国となり、満場一致で採択することとなった。(2)その目的 「アジェンダ21」、「国連ミレニアム開発目標」及び「ヨハネスブルグ・サミット実施計画」を踏まえ、「持続可能な開発」を進めていくためには、あらゆる国・地域において官民がこぞって取り組みを行う必要があり、これを促進していくためには基礎教育、高等教育、教員教育、環境教育等を充実させ、市民の啓発活動を粘り強く展開していくことが必要であるという認識に立って、国連において、2005年から2014年までを「国連持続可能な開発のための教育の10年」とし、その下で各国政府、国際機関、NGO、団体、企業等あらゆる主体間での連携を図りながら、教育・啓発活動を推進するというものである。(3)国連総会の決議 第57回国連総会の決議は以下のような内容である。 ①2005年1月1日から始まる10年を「国連持  続可能な開発のための教育の10年」(以下、「教  育の10年」)と宣言する。 ②ユネスコをリード・エージェンシーとし、ユネス  コが関連国連機関等と協力して、「教育の10年」  の国際実施計画案を策定する。 ③各国政府はユネスコが作成する国際実施計画を  考慮し、2005年までに「教育の10年」を実施  するための措置をそれぞれの教育戦略及び行動  計画に盛り込むことを検討する。 ④第58回国連総会の仮議題に「教育の10年」を  含むことを決定する。■ESDにおける教育問題 ESDは、教育及び持続可能な開発に関するそれぞれの世界的な取り組みに由来している。教育については、1948年の世界人権宣言において「すべて人は、教育を受ける権利を有する」とされ、1990年の「万人のための教育世界宣言」以降、初等教育の普遍化、教育の場における男女格差の是正、識字率の改善などを目標とした「万人のための教育」(Education for All(EFA))の実現に向け世界的に取り組まれてる。 一方、持続可能な開発については、1987年、ブルントラント・ノルウェー首相(当時)を委員長とする「環境と開発に関する世界委員会」が公表した報告書「われら共有の未来(Our Common Future)」の中心的な考え方として、「将来の世代のニーズを満たしつつ、現在の世代のニーズも満足させるような開発」という「持続可能な開発」の概念が取り上げられました。その後、1992年に開催された国連環境開発会議(地球サミット)においては、持続可能な開発についての国際的な取り組みに関する行動計画である「アジェンダ21」が採択され、この「アジェンダ21」の第36章「教育、人々の認識、訓練の推進」の中で持続可能な開発のための教育の重要性とその取り組みの指針が盛り込まれた。このような教育と持続可能な開発に関する取り組みが世界的に行われる中で、ESDの概念が深められ、国連持続可能な開発委員会において国連教育科学文化機関(以下「ユネスコ」)が中心となり、持続可能な開発のための教育のあり方について検討が進められ。 2002年に開催された持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)の実施計画(以下「持続可能な開発に関する世界首脳会議実施計画」)を交渉する過程で、わが国は、国内のNPOから提言を受け、「持続可能な開発のための教育の10年」を提案し、各国政府や国際機関の賛同を得て持続可能な開発に関する世界首脳会議実施計画に盛り込まれることとなった。 このことを踏まえ、わが国より、2002年の第57回国連総会に、2005年からの10年間を国連持続可能な開発のための10年(以下「国連ESDの10年」)とする旨の決議案を提出し、満場一致で採択された。わが国は、2003年の第58回国連総会、2004年の第59回国連総会においてもESDの10年を推進するための決議案を提出し、それぞれ満場一致で採択されました。これらの国連総会決議に基づき、ESDの10年の推進機関として指定されたユネスコにより国際実施計画が策定され、2005年9月に承認された。 さらに、国際実施計画の作成を要請し、また、各国政府に対しては国内教育戦略等にESDを盛り込むよう呼びかけている。■わが国における組織的動き(1)民間の動き さきに、本問題についての日本政府の提案は国内NGOの提言を受けて行ったであると説明したが、その組織は、現在『特定非営利活動法人「国連持続可能な開発のための教育の10年」推進会議』(ESD-J)として活動を行っている。NGOの活動経緯をたどると以下のような内容である。・2001年11月:「ヨハネスブルグ提言フォーラム」<写真1>「ESD-Jのパンフレット」2)