メカトロクス12月号2011年

メカトロクス12月号2011年 page 12/60

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概要:
12 MECHATRONICS 2011.12  御社の概要についてお聞かせ下さい村山:当社は2007 年6月27日に設立し、設立当初は主に直流PLC(Power Line Communication)に関する研究を進めていました。PLCとは、電力線を電気の配....

12 MECHATRONICS 2011.12  御社の概要についてお聞かせ下さい村山:当社は2007 年6月27日に設立し、設立当初は主に直流PLC(Power Line Communication)に関する研究を進めていました。PLCとは、電力線を電気の配電以外に通信回線としても利用する電力線通信のことで、最近ではインターネットの普及により、一般のご家庭などでも使用されています。 当社のPLCは、電源の供給においてロスの少ない直流を用いたもので、一般的な交流を用いた電力線通信と異なり、自社開発のケーブル1 本で、インターネット接続だけでなく直流電流に信号を適切な方法で付加することにより、電気の配電とともに様々な情報の伝送を行うことができます。また、電子機器の動作を一元的に制御することも可能です。 なぜ当社は、交流ではなく直流のPLCを選択したかといいますと、電気をロスなく遠くに飛ばすにはどちらの方式がいいのかというエジソンとニコラ・テスラの論争にいきつくのですが、当時の技術では交流がよいとされていました。しかし今の時代では、技術の進歩で交流のメリットよりもデメリットの方が大きくなり、ロスも直流の方が少なくなっています。さらに、最近注目されている太陽光/風力発電/燃料電池などの新エ 目で見える唯一の通信技術といわれる可視光通信。その中でも、難易度の高い高輝度白色LEDを用いた照明通信技術を柱に可視光通信分野へ事業展開する株式会社アウトスタンディングテクノロジー。近い将来の通信インフラとして注目される同社の可視光通信技術などについて、代表取締役 村山 文孝 氏にお話を伺った。株式会社アウトスタンディングテクノロジー代表取締役 村山 文孝 氏近未来の通信インフラに貢献する可視光通信~目で見える唯一の通信技術~ネルギーシステムも直流が基本なので、当社としては直流PLCという仕組みの研究を進めていました。 しかし、ここで一つの問題がありました。それは、配線できるところはいいのですが、配線できない空中はどうしたらいいのかということでした。私達は“ 室内のラスト3m”といっていますが、例えばパーソナルユースやモバイルなどの環境では、どうしても信号などを無線で飛ばさなくてはいけません。当初は、BluetoothやZigBeeといった一般の電波を使ったシステムを検討していましたが、室内には必ず設置されている照明に目をつけ、この照明の光を使えば空中に信号を飛ばせるのではないかと考えて、照明光通信の研究をスタートさせました。 照明光通信とは、高輝度白色LEDを用いた難易度の高い可視光通信のことで、ちらつかない自然な発色を保証し、間接/散乱光で遮蔽物越しの通信も実現できます。この照明光通信の研究が、現在当社の主力事業となっている可視光通信の基礎となっています(写真1)。 御社の可視光通信技術について お聞かせ下さい村山:当社の可視光通信の特徴としては、通信状態が見える/エリア制御が容易/漏洩の完全防止が可能/電磁ノイズを出さない・受けない/安全/配線不要/非接触スイッチング/法規制がない、などが挙げられます。また応用例としては、電波を使用できない環境下の通信/産業機械・装置・部品間の移動やすれ違い通信/照明通信/水中通信/デジタルサイネージ/アミューズメント/ロボットや電動車椅子の誘導・位置決め/車車間や車路間通信などが挙げられます。 可視光通信を簡単に説明しますと、目に見える光を使ってデータ通信を行う技術です。基本的に目に見える光(可視光)とは、JIS規格でおよそ360~830nmの波長をもつ電磁波と定められていますので、この範囲の電磁波を使った通信であれば、須らく可視光通信といえることになります。目に見える光では、波長の長い赤色を使えば一番効率の良い通信を行えるため、可視光通信だけを考えるなら赤色を使用するのが最適だと思われます。しかし、照明光通信として使用するには、赤色は照明として使用できませんし、ちらつかない/色合いや光量が変わらないという安定した光源でなくてはならないため、白色が基本となってきます。 先程もお話ししましたが、可視光通信の中で照明光通信は非常に難易度の高い通信技術で、当社はこの照明光通信からスタートして独自の照明光通信技術を基礎に可視光通信技術へと展開しているため、世界に誇れる可視光通信の地位を築けたと考えています。それにより、可視光通信分野ではハードルの高い市場展開を行っています。また、照明自体も蛍光灯などからLED へと移り変わってきているため、当社の提唱する写真1 直流PLC と可視光通信技術がもたらすエネルギー/照明/通信の統合写真2 低静電容量反射集光型受光器『LEC-RP』