ブックタイトル実装技術6月号2021年特別編集版

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概要

実装技術6月号2021年特別編集版

これあれ塾前田真一の最新実装技術連 載第123回 メタマテリアルと5G(以降)1. メタマテリアルによる  意識変化 メタマテリアルが現実となったことによって、「光」と「電波」の壁が取り払われました。 もちろん、これまでも「光」は波長が短い電磁波で、「電波(電磁波)」と同じ理論でアプローチできることは、当然の基本としてありました。しかし、「光」を専門とする人々と、「電磁波による通信、情報」を専門とする人々の研究分野は異なり、別々に研究し、アプローチも異なり、お互いの交流もあまりありませんでした。 たとえば、通信の分野では、「光通信」もありますが、「電気 ? 光」の変換や、搬送波としての光を見るだけで、「光」自体についてはそれほど深くは探求してませんでした。 逆に「光」の方から見ると、「電波望望遠鏡」などもありますが、「屈折」や「反射」という「光(電磁波)」の性質を利用したアプローチが多くありました。学問的にも「光学」と「光としての性質」からのアプローチも多くあります。 しかし、メタマテリアルの実現で、ミリ波などの「電波」から「光」の領域まで、「周波数に関係なく」まったく同じ電磁波の理論で「メタマテリアル」が実現でき、「メタマテリアル」による効果が応用できることが改めて認識されました。 ここで、「メタマテリアル」を介して、「光」の専門家と「電波」の専門家の交流や意識改革が急激に進みました。2. メタマテリアルと通信 メタマテリアルの特性を利用すると無線通信の分野で、これまでにない特性がを持った素子が実現できます。このような新しい特性の部品や素子はミリ波を使った5G通信や5G 以降の次世代通信に新しい可能性を拓きます。 これまでのアンテナやフィルタ、伝送線路などの通信技術の分野に「メタマテリアル」の技術を適用することによる特性、性能向上は当然のことして、アプローチされています。 しかし、まったく新しいアプローチとして、メタマテリアルを利用して「光学」のアプローチを「電磁波通信」に対して行うことが可能になりました。 具体的には「レンズ」と「鏡(ミラー)」です(図1)。 光学分野ではレンズに対するメタマテリアルの応用として、これまで波長の短い電子顕微鏡などでしか見ることができなかった微小な物質でも可視光で見流ことができる「完全レンズ」が考えられています(図2)。しかし、メタマテリアルを使うことにより、ミリ波など、通信領域で使う電磁波に対しても、「レンズ」で収束させたり、「ミラー」で反射させたりすることが可能となり、「電波」のコントロールがより自由に行えられるようになりました。これまでは、主にアンテナの設計によって、行ってきた電波の反射(図3)や放出方向のコントロール(指向性)(図4)がメタマテリアルを使うことにより非常に高性能な特性が得られるようになりました。3. アンテナへの応用 メタマテリアルはターゲット周波数の誘電率を「負」の値にして、電流の向きを逆にする左手系の領域を作ることができます(図5)。アンテナは、基本的にはアンテナ長の波長の2倍の波長の信号に対して、感度を持ってい図1 代表的な光学(CCsnnon HP) 図3 アンテナでの反射図2 完全レンズ図4 アンテナの指向性(NTT DoCoMoテクニカルジャーナルより)62