ブックタイトル実装技術6月号2021年特別編集版

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概要

実装技術6月号2021年特別編集版

295G対応高周波基板材料とAiP(Antenna in Package)の動向プリント配線板製造の動向を探る 1979年、世界に先駆けて日本でセルラー方式の自動車電話のサービスが開始された。アナログ方式で音声電話のみのサービスであったが、電話機自体は容積が6リットル程度の大きさがあり、本体は自動車のトランクルームに積んで利用していた。その後電子部品の小型化や電池の小型化・高性能化が実現できたために携帯電話の小型化競争が始まり、なんとかショルダーバッグ程度(ショルダーホン)の大きさまで小型化が進み、さらに掌に乗るサイズへと小型化と高性能化が進んだ。(1) 1G 片手で持ち運びできるタイプの現在の携帯電話の原型ができたのは1987 年にNTT大容量方式と呼ばれるアナログ方式の携帯電話である。これが後に第一世代と呼ばれる携帯電話であり、音声通話専用機であった。(2) 2G 携帯電話が普及するにつれ、使用している電波が逼迫し携帯電話の使用に不自由さが増してきた。そのため世界的にデジタル化が進み欧州が中心となり第二世代(2G)の開発が始まった。 アナログからデジタルへの変化は無線通信にとって100年に一度の大革新といってよい技術革新であった。欧州ではGSM(global system for mobile communications)と呼ばれる世界標準の移動体通信規格を作って標準化を進めた。しかし日本はその仲間入りをせず独自の方向でデジタル方式の携帯電話を開発した。1993 年に出現したその方式はPDC(Personal Digital Cellular)と呼ばれ世界に技術情報を開放しなかったため国内のみの利用となり、後にガラパゴスと呼ばれた。 デジタル方式はアナログ方式に比べ音声品質が格段に向上しただけでなくデータ通信を可能とし、携帯電話でメールなどデータ通信が可能となった。電波の利用効率を上げるための通信方式は「時間分割多元接続(TDMA:Time DivisionMultiple Access)」という技術が考案され採用された。ここから携帯電話は音声電話のみならず携帯端末として認識されるようになった。(3) 3G 1998年に世界各国の移動体通信規格に係る団体が集まり3GPP(Third Generation Partnership Project)と呼ぶプロジェクトを発足させ、第三世代世界標準の移動体通信規格作りが始まった。2001 年にCDMA(Code DivisionMultiple Access:符号分割多元接続)と呼ばれる新システムの方式が始まった。データ通信に重みを置いたCDMA方式では3Mbpsから14Mbpsでのデータ通信が可能となったため、携帯電話でWEB検索や画像の送受が可能となった。現在のスマホの基礎が作られたのが3Gといえる。CDMAの出現はユーザーにデータ通信の利便性や重要性を広く認識させた。日本国内では携帯電話普及率が人口比で80%を超えて通信トラフィックの混雑が深刻な状況が増え、必要な通信速度が保証できなくなることがあり、通信速度不足が目立ってきた。そのため次世代通信規格の検討が進められた。(4) 4G 次なる第四世代(4G)は2010 年を目途に開発が進められてきたが、技術的に規格を満たすことがなかなかできず2010年に3.9Gと呼ばれるLTE(LongTerm Evolution)規格の携帯電話が出現した。携帯電話利用者として4Gは2Gから3Gへと変化した時ほど目立った変化は認められなかった。その後LTEが広く普及し現在ではLTE=4Gとみなされている。ほとんどのスマホはLTE規格となり若者を中心にYouTubeなど動画を観たり個人で撮影した動画や静止画のアップロードが頻繁に行われ、通信NPOサーキットネットワーク図2 携帯電話の通信速度の推移(出典 : 総務省 ローカル5G検討会)