ブックタイトル実装技術5月号2021年特別編集版

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概要

実装技術5月号2021年特別編集版

37等体積のままの形状変化に伴う形状弾性によって生ずる波で、S 波という。縦波よりも伝達が遅く、約半分の伝達速度となり、固体の中だけに伝搬し、液体や気体の中は伝わらない。これまでのAE 技術において検出できる波は30[kHz]~10[MHz]付近の横波や縦波が主体である。 AEは音の一種であることが分かったので、音についてみてみる。(※ 1)弾性波(elastic wave)は、弾性体中を伝わる変形波で、弾性応力波、弾性ひずみ波とも呼ばれる。体積変化を伴う「体積波」と、形状変化は生じるが体積変化を伴わない「等体積波」とに大別される。一次元物体中の圧縮波、引張り波は前者に対応し、剪断波、あるいはねじり波は後者に対応する。弾性波の伝わる速度は弾性係数、ポアソン比と密度に依存する。2. 音とは 音(sound)とは、一般に物体(媒質)中を縦波(疎密波:longitudinal wave)として伝わる力学的エネルギーの変動(波動:wave motion)であり、波動としては周波数・波長・周期・振幅・速度などの特徴を持つ音波(sound wave)である。音波を伝える速さ、音速(sound velocity)は媒質によって異なる。空気中では15[℃ ]で約340[m/s]、海水中では約1500[m/s]、地面中ではP波で5000 ? 7000[m/s]である。図1における音の媒体は割箸、茶碗、たくわんの場合は空気で、地震は地面となる。また、図2に示したように音には粗密の音圧の要素と波動としての振動の要素の二面性がある。つまり、音を計測するということは、一筋縄ではゆかない厄介なものとご理解いただきたい。 さて、図3に示すようにヒトの耳で聴ける音の範囲、つまり可聴周波数帯域(audio frequency band)(※2)は、ほぼ20[Hz]~20[kHz]であり、ヒトの耳で聞こえない20[Hz]以下の低い周波数帯域の音波を低周波(low frequency)(※ 3)という。 逆に、20[kHz] 以上の高い周波数帯域の音波を超音波(ultrasound、ultrasonic)という(※ 4)。AEは、一般に人間の耳で聴ける可聴周波数帯域と聴けない20[kHz]以上の超音波の音をさす。(※ 2)可聴周波数帯域とは、聴覚で音として感知することができる周波数帯域。人間、犬、コウモリなど、動物の種類によって可聴域は大幅に異なる。これを可聴範囲(audiblerange)ともいう。(※ 3)低周波とは、波動や振動の周波数(振動数)が低い(小さい)こと。厳密には、音での低周波の定義では、100[Hz]以下は低周波音と呼ばれ、20[Hz] 以下は超低周波音と呼ばれる。後者は工場や高速道路橋の周辺でよく発生し、人体の健康に悪影響を与えるという報告があり、代表的な例として船酔いがある。(※ 4)超音波とは、人間の耳には聞こえない高い振動数をもつ弾性振動波(音波)。3. AE(音)に関連する単位としての音圧とは ここでは、AE(音)に関連する単位としての音圧についてみてみる。一般に、音は大気圧の微小な圧力変化であるところから物理量を音圧(sound pressure)といい、単位はパスカル[Pa]である。音の強さは、次式(1)に示すように音圧レベ図3 種々の周波数可聴範囲1)図2 弾性波の縦波と横波1)