ブックタイトル実装技術5月号2021年特別編集版

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概要

実装技術5月号2021年特別編集版

18環境関連技術12 3   はじめに 自動車に搭載される電子部品および電子基板に対しては、さまざまな使用環境の変化に起因する結露、湿気、腐食性ガス、埃などからの保護を目的としてコンフォーマルコーティング剤(絶縁・防湿コーティング剤)が使用されている。 そして近年、電気自動車や自動運転化技術などの技術要求が高まるなか、コンフォーマルコーティング剤に対してもさらなる信頼性の向上が求められている。 一方、世界的な低炭素社会実現への要求を受け、自動車産業においてもさまざまな取り組みがなされているが、コンフォーマルコーティング剤との関連からすればトルエンやメチルシクロヘキサン、酢酸ブチルなどのVOC(VolatileOrganic Compounds:揮発性有機化合物)の排出削減対策や熱乾燥硬化型コンフォーマルコーティング剤の熱乾燥工程におけるエネルギー使用量およびCO2排出量の削減対策が求められている。 このような背景において当社では長年培ってきたフッ素樹脂重合技術ならびにコンフォーマルコーティング剤市場における知見を活かし、車載用途として従来の熱乾燥硬化型コンフォーマルコーティング剤よりも優れた性能を示し、かつ熱乾燥硬化工程を必要とせず低炭素社会実現の一助となるフッ素コンフォーマルコーティング剤『AegisCoat XWOP-023』を開発した。   開発の方向性 当社の「フッ素化成品事業」は創業事業であるスクリーン印刷加工事業に用いるスクリーン印刷版に対してインクの版離れを改善するためにフッ素乳剤を開発したことに端を発している。 その後、撥水撥油性をはじめとするフッ素樹脂のユニークな特性に着目し、マイクロモーターの軸受けオイル拡散防止剤(オイルバリア剤)やLEDモジュールの硫化防止コーティング剤、そして電子基板用コンフォーマルコーティング剤などを『AegisCoat(イージスコート)』として開発、販売し、市場で一定の評価を得てきた。 『AegisCoat XWOP-023』はこれらの経験から得られた知見、技術をもとに車載用途を想定し、次にあげる特徴を備えるべく開発したものである。?熱乾燥硬化工程を不要とし、低炭素社会の実現に貢献でき ること。?引火点がなく、高い安全性を実現すること。?さまざまな環境変化に対して高い耐久性をもつこと。?高い耐ガソリン・オイル性をもつこと。?高い生産性を実現するために自動塗布機(マスキングレス ディスペンサ塗布)による優れた塗布性を持つこと。?コンフォーマルコーティング剤の国際標準規格(IPC-CC- 830)に合致していること。?世界的な化学品に対する規制が厳しくなるなか、環境関連 法規に対応していること。   低炭素社会対応型フッ素コンフォー   マルコーティング剤『XWOP-023』   の特徴1. 熱乾燥硬化工程の削減 通常の有機溶剤系のコンフォーマルコーティング剤では、沸点が100℃~130℃の有機溶剤(酢酸ブチルなど)が多く用いられているため熱乾燥硬化工程が必須となる。 また、薄膜化によって指触乾燥時間を早めたとしてもピン低炭素社会対応型車載用フ ッ素コンフォーマルコーティング剤『 AegisCoat XWOP-023』の開発(株)野田スクリーン / 西松 大介