ブックタイトル実装技術4月号2021年特別編集版

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概要

実装技術4月号2021年特別編集版

401. はじめに 前回は、厚膜印刷回路技術を使って製作する機能部品の中から、圧力センサや化学センサなどのセンサデバイスなどについて紹介した。一口にセンサといっても、その種類と動作メカニズムは実に多様である。また、そこで使われる機能材料も、目的によって違ってくる。ただ、厚膜印刷というプロセス技術のフレキシビリティが、多くの場合に、機能材料を加工する対応できているといえよう。また、目的としているターゲットをいかにして検出するかを考え、コストパフォーマンスの良いセンサデバイスの構成を創出するかが、厚膜印刷回路設計者の腕の見せ所になる。これからも、ユニークな機構もった新しいセンサデバイスの例があれば、随時紹介していく予定である。 今回は、厚膜印刷プロセスで作るメンブレンスイッチについて紹介することにしたい。メンブレンスイッチは、実用化されてから。すでに40 年以上の歴史を持っているが、その機能と低コストから、現在でも用途は広がっており、現在、インク消費量としては、最大の厚膜印刷回路の用途となっている。2. メンブレンスイッチの構造と動作原理 メンブレンスイッチの構成と作動原理は、図1に示されているように、極めて単純である。構造としては上部電極と下部電極から構成されており、間にスペーサーシートをはさんでサンドイッチ構造を作り、電極間のギャップを維持している。メンブレンスイッチの基材や、スペーサには安価なPETが使われることが多い。回路導体た電極は銀インクが使われるのが一般的である。メンブレンスイッチは筐体上に粘着フィルムなどで固定されており、上から指などで押せば、上下の電極が接触し電気が流れ、スイッチングが行われる。指を離せば電流は遮断される。構造、動作原理が 単純であるが故に、スイッチとしての信頼性は極めて高く、一千万回以上のスイッチング寿命を持つとされている。 電極の形態としては、図2のように、上部電極を孤立した形にすることも可能である。下部電極が、いわゆる櫛の歯パターンになっているのに対して、上部電極は円形のベタパターンになっている。この方が、上下の電極層を完全に分離することができ、製造上の難易度は低くなる。ただし、ベタパターンわかりやすい厚膜印刷回路入門~初歩から最新技術まで~第9回 機能回路(その5) 厚膜印刷で製作するメンブレンスイッチDKNリサーチ / 沼倉 研史図1 メンブレンスイッチの基本構成A 図2 メンブレンスイッチの基本構成A