ブックタイトル実装技術4月号2021年特別編集版

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概要

実装技術4月号2021年特別編集版

35する接頭辞で、これに「働く」という意味の「work」を組合せて、”テレワーク”という言葉が作られた。 「情報通信技術(ICT=Information and CommunicationTechnology)を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」というのが厚生労働省のテレワークの定義となっている1)。 つまり、単に離れたところで働くのではなく、インターネットなどのICTを活用している点がポイントとなっている。 さて、テレワークの始まりを調べてみると1970 年代に遡ることになる。 米国のロサンゼルスでは自動車による排気ガスによる大気汚染が大きな問題となり、また、1974 年と1979 年の二度にわたる石油危機も起こったことから、これらの問題解消を目的として、自宅にいながら仕事をするスタイルとして導入されたのがテレワークの始まりといわれている。 さらに1990 年代後半頃になってサンフランシスコのシリコンバレー地区でも交通渋滞の緩和対策で、早朝出勤による時差出勤が実施され、働き方が変わっていった。その後、テレワークがICT企業を中心に広まっていった背景がある。 日本と比較すると米国は国土が広く、時差があり、東海岸と西海岸とでは3時間の時差がある。アラスカ州も含めると米国は4 時間の時差がある。欧州も2 時間の時差がある。 この時差を克服するためにICT 機器の利用があり、普及拡大していった。 日本は時差がなく、時差によるハンディーがない状況である。そのためか、欧米と比較するとICT機器の利用が少ない。 欧米では、早くから企業内で使用するノートPCの持ち出しが可能で、One Time Passwordでセキュリティは万全を期し、外部から企業のデータベースに接続ができるように完備されていた。 国土が広い上に時差があるために米国では全員が参集するのではなく、遠隔地からでも会議に参加ができる「ビデオ会議(テレビ会議)」が普及した。 筆者は2000 年代に外資系企業での勤務経験があり、既に20 年前からビデオ会議が一般化し、Cisco Systems のWebexを使用してのビデオ会議が実施されていた。 米国、アジア、欧州の3 地区参加のビデオ会議では、時差の関係で、どこかが犠牲となり、深夜に参加することになる。 そのため3地区参加のビデオ会議では、当番制にして、ある時は深夜3時頃に参加しなければならなかった。 すべての業務を在宅で実施する「在宅勤務」というよりか、時差の関係で、自宅でビデオ会議に音声のみで参加するスタイルが2000 年代に実施されていた。 2001年9月11日にアメリカ同時多発テロ事件が発生し、一時期、航空機を利用する出張は控えるようになり、その解決策として特にビデオ会議が多用されるようになった。今でいうテレワークの走りではないかと思う。 2000 年代初め頃に実施されたビデオ会議から通信環境が整備されるとともにICT機器の進歩により各段に進化し、写真1のように遠隔地の参加者を大画面で表示できるようにもなった。 テレワークとともに使用されるのに「リモートワーク」がある。英語の「remote」は「遠隔」を意味し、「働く」を意味する「work」を組み合わせた造語である。 「テレワーク」と同様、オフィスではないところで働く形態を表す場合に使用され、主にICT業界やフリーランスなどの個人事業主の間で使われてきた背景がある。 遠隔でおこなう業務全般を指すのが一般的で、企業に属している人がオフィス以外のところで働くのを「テレワーク」、企業に属さない人であれば「リモートワーク」といった使い分け写真1 Webex( Cisco Systems)