ブックタイトル実装技術3月号2021年特別編集版

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概要

実装技術3月号2021年特別編集版

39電極間の距離を小さくするには限度があり、限界を越えると、電極間で短絡事故を起こすことになる。分析する溶液は、ベース材料に吸収されると、活性物質と反応して、定数τを変化させる。このτの変化量を測定することにより、目的とする化学物質の濃度を求めることになる。したがって、信頼性の高い化学センサを作るには、電極における活性物質の反応機構が正確に理解されていることが望ましい。 残念ながら、医療診断やヘルスケアで分析計測する体液は、複雑な多成分構成になっており、その成分の全てを、ひとつのセンサデバイスで、検出、分析することは困難である。しかし、最近の厚膜印刷技術では、複数の化学物質を一つの基材の上にパターン印刷することが可能であり、一つのセンサデバイスのセットで、複数の化学物質を検出分析できるようになってきている(1 回の印刷プロセスで、複数の材料を処理できるということではない)。4. 化学センサのメカニズム 上に述べたように、化学センサ、生化学センサの作用メカニズムは多様であり、センシングメカニズムも複雑である。センサの種類の数だけメカニズムがあるといっても良いくらいである。図1 厚膜印刷プロセスで製作する化学センサ電極の構成■ コラム1 多成分系での計測 食塩(塩化ナトリウム)水溶液の電気伝導度は良く調べられていて、特定の温度での電気伝導度がわかれば、その水溶液中の塩分濃度を高い精度で、推定することができる。 1957年に派遣された南極観測の第一次越冬隊で、昭和基地近辺の海水の濃度を測定するにあたって、然るべき測定装置を持っていなかったので、手作りの水槽に入れた海水の電気伝導度から塩分濃度を推定したそうである。ただし、溶質(溶液に溶けている物質)が1種類の場合であれば、伝導度と濃度の関係は単純な式で表される。しかしながら、溶質が2種類以上の多成分系になると、解析は難しくなる。特に、溶質に塩類のような電解質と、有機化合物のような非電解質との混合物のような場合には、解析が難しく、最終的には試作したセンサデバイスで、実際の測定対象となる体液などで測定を行い、検量線を作ることになる。 残念ながら、ほとんどの体液は、溶液としては、多成分の複雑系であり、信頼性の高い分析装置を作るには、実際のサンプル液での試験が欠かせない。