ブックタイトル実装技術3月号2021年特別編集版

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概要

実装技術3月号2021年特別編集版

381. はじめに 前回は、厚膜印刷回路技術を使って製作する機能部品の中で、構造とメカニズムが比較的単純な圧力センサ、荷重センサなどについて説明した。 厚膜印刷技術を使えば、プラスチックフィルムの上だけではなく、布地のように、伸縮性があり、かつ通気性もあるような、電気材料としては特殊な素材の上に複雑な機能を持った、センサデバイスを簡単に形成できることがご理解いただけたと思う。しかも、 ワークサイズは極めて大きくすることができ、多数の圧力センサを二次元に配列した大きなセンサモジュールを作ることができる。厚膜印刷技術のプロセスコストは小さく抑えられるので、安価な素材を選べば、センサデバイスやモジュールを極めて低いコストで製作することができ、使い捨て目的にも対応することができる。 ただし、ひとつのセンサ素子で、様々なセンシングができるわけではなく、現実には計測する目的ごとに、それに相応しいセンサ素子の構成を考案しなければならない。 今回は化学的、あるいは生化学的な状態を計測するセンサについて考えてみたい。2. 厚膜印刷技術で構成される化学センサ 近年、医療診断システムには様々なセンサが使われるようになり、そこでは厚膜印刷技術が多用されている。 人体においては、様々な体液が循環しており、その成分を化学分析、生化学分析すれば、体の健康状態を把握できる。身近なものとして、唾液、涙、鼻汁、汗、尿、血液などがある。これらの体液には、さまざまな化学物質が含まれており、その中から特定成分を選択的に検出し、濃度を測定する。 一般的には、体液をデバイスのベースになる紙の基材に吸収させ、厚膜印刷で形成された電極間の電気抵抗を測定する方式を採用している例が多い。体液はだいたい水溶液と任意の比率で混合される。 そこで、センサの電極部は、水溶液と親和性の良い紙を使うことになる。紙といっても、その種類は極めて多く、選ぶのに困るほどである。導体インクやベース材料との相性が良いものを選ぶ。 電極の構成は単純である。ただし、計測しようとする化学成分、あるいは生化学成分を直接測定できるわけではない。まず、基材の上に、スクリーン印刷などで、電極と回路パターンを描く。次いで計測しようとしている化学物質と反応しやすい活性物質を印刷する(図1)。電極部のベース材料の吸湿性は非常に高いので、尿や唾液を電極部にたらすと、短時間のうちに吸収され、固定される。 そこで電極間の電位あるいは電気抵抗を測定、目的とする化学成分を逆算することになる。3. 化学電極の形成 互いに面している電極館の距離が一定であれば、電極間の導体抵抗Rは次のようになる。 R = τ ×T/S S : 対向する電極の面積 T : 対抗する電極間の距離 τ :デ バイスの定数 これは、印刷キャパシタンスの容量を求める式に似ている。ただし、このようなセンサ素子の場合には、電極面積が大きいほど、また電極間の距離が大きいほど、また定数τが大きいほど抵抗値Rは大きくなる。 センサとしての感度を上げるには、電極間の面積を大きく、電極間の距離を小さくすることによって達成できる。ただし、わかりやすい厚膜印刷回路入門~初歩から最新技術まで~第8回 機能回路(その4) 厚膜印刷で製作する化学センサDKNリサーチ / 沼倉 研史