ブックタイトル実装技術3月号2021年特別編集版

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概要

実装技術3月号2021年特別編集版

22プリント配線板技術1 三次元立体構造体に、直に電子回路を描くことは、長い間電子回路技術者の夢であった。フレキシブル基板やMID(Molded Interconnect Device)は、その夢の一部を実現したが、制約条件が多く、汎用性のある量産技術とはならなかった。一方、厚膜印刷回路技術と、プラスチック熱成形技術とを組み合わせた新しい回路形成技術、モノコック厚膜印刷回路は、採用できるプラスチック材料の選択肢が多く、加工プロセスも単純であり、加工コストも低く抑えることができる。部品実装や他の回路との接続技術などの関連技術も開発されてきており、今後、硬質基板、フレキシブル基板に続く、第3の回路技術として立ち上ってくることが期待される。   モノコック印刷回路の基本概念 初期の電子機器においては、電子部品間の配線は、もっぱら電線のはんだ付けによって行われていた。しかし、電子機器の機能が高度になるに従って、回路は複雑になり、3次元の高密度配線技術が必要になってきた。このような需要を満足させるために、硬質プリント基板やフレキシブル基板が実用化され、主に部品実装は硬質基板が、3次元配線はフレキシブル基板が担うと言う役割分担が一般的になっている。しかしながら、このような役割分担では、電子機器の小型化には限界があり、コストダウンの要求にも応え切れない部分がある。このような限界を打破するために考案されたのがMIDであるが、基本構成や加工プロセスに制約が多く、適用できる範囲が限られている。 一方、厚膜印刷回路技術は独自の発展を遂げてきており、ひとつの印刷回路技術として、実用に供されている。モノコック回路とは、厚膜印刷回路に熱成形プロセスを組み合わせ、電子機器筐体などの上に直接電子回路を形成し、3次元高密度回路を実現しようというものである。モノコック構造とは、自動車や航空機、船舶などの設計において使われる用語で、外壁にボディとしてだけでなく、荷重を支える役割も担わせて、構造を簡単にすると同時に、筐体内部のスペースを広げ、コストダウンを実現している。モノコック厚膜印刷回路の場合、電子機器筐体上に直接電子回路を形成し、配線スペースを削減し、合わせてコストダウンを図ろうとするものである。もともとモノコック(MONOCOQUE)とはフランス語で貝のことで、筐体が荷重を支えると同時に、外力から本体を守る機能を持つことから使われるようになったものである。メーカーによっては加工プロセスに重きをおいて、熱成形印刷回路と呼んでいる。モノコック厚膜印刷回路“三次元配線のための新しい回路技術”DKNリサーチ / 沼倉 研史図1 モノコック厚膜印刷回路の基本加工プロセス図2 モノコック回路の基本概念(片面構成)