ブックタイトル実装技術1月号2021年特別編集版

ページ
41/48

このページは 実装技術1月号2021年特別編集版 の電子ブックに掲載されている41ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

実装技術1月号2021年特別編集版

55 従って、発生した熱を、基板の面方向に放熱する実装構造の場合は面方向の熱抵抗が重要となり、基板の裏面側に放熱する実装構造の場合は厚み方向の熱抵抗が重要となるため、両パラメータを区別して評価すべき、という理念に基づく。 大電力を扱うパワーデバイスの場合は、冷却機構を片面もしくは両面に設置して運用することが多く、JPCA 熱抵抗測定法の厚み方向の測定状況と良く合致している。 面方向の熱抵抗測定は、図2に示すように、密閉容器内でサンプルを宙に浮かせた状態で行う。この場合、チップで発生した熱は、サンプルの表面を伝導し、表面全体から空中に放熱されると仮定される。 厚み方向の熱抵抗の測定は、図3に示すように、水冷ブロックにサンプルを密着させた状態で行う。この場合、「チップで発生した熱は、チップ直下のサンプルを貫通し、最短距離で水冷ブロックに伝導する」と仮定される。 つまり、「チップ面積×サンプル厚み」で表されるチップ直下の空間のみを通過して熱が伝導すると考える。少々極端な仮定に思えるが、発生した熱が、十分に短い時間で水冷ブロックに伝導するようなサンプル性状と実装状態の場合は、有効な仮定であることが実験的に明らかにされている。2. JPCA熱抵抗測定結果 使用するサンプルはパターン銅箔付きCEM3 基板とし、厚みを1.0mmと1.6mmとした。また、表面の銅箔厚みを35μmと18μmとした。 2種類のサンプルをそれぞれの基材厚みと銅箔厚みを以って、①CEM3(1.0/35)および②CEM3(1.6/18)と識別する。両サンプル名の括弧内の数字は(基材厚mm/銅箔厚μm)を意味する。サンプルの構造概略図と写真を図4に示す。測定結果を表1に示す。 JPCA 熱抵抗測定の規格には代表的な基板および基板材料のリファレンス値が収載されており、表1の結果はリファレンス値に良く合致した数値となっている。リファレンス値については規格を参照されたい。 後述するJEDEC過渡熱抵抗測定法は、JPCA熱抵抗の厚み方向の測定法と原理が類似している。従って、両測定法の比較を行う上で、ここでは表1 の厚み方向の熱抵抗の値に注目する。 ①CEM3(1.0/35)の方が、②CEM3(1.6/18)よりも熱抵抗が大きいことが判る。 JPCA 熱抵抗の厚み方向の測定によって、同一材質のサンプルの厚みの違いに応じた異なる結果が得られることが示された。 次の章では、JEDEC過渡熱抵抗測定法について説明する。図3  JPCA熱抵抗厚み方向の測定の様子図2  JPCA熱抵抗面方向の測定の様子表1 JPCA熱抵抗測定結果図4 使用したサンプルの構造概略図と写真(上:構造概略図、下左:①CEM3(1.0/35)、下右:②CEM3(1.6/18))