ブックタイトル実装技術1月号2021年特別編集版

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概要

実装技術1月号2021年特別編集版

501. はじめに 近年、次世代パワーデバイスの研究開発が進み、現在最も普及しているSiに加え、次世代パワー半導体SiCがすでに実用化されている。さらに、もう一つの次世代パワー半導体として、高速スイッチング特性を有するGaNが脚光を浴びている。一方で、デバイスの構造や材料が変わることによる信頼性の課題も生じている。特に、横型GaNは2チップ構造をとり、結果として実装構造が小型化、複雑化する傾向がある。構造が複雑化することにより、これまでのデバイス以上にはんだ接合部の熱応力による劣化因子が多岐に亘ることが懸念される。チップをワイドバンドギャップであるGaN、SiCに変更することで、高温環境下での使用が可能となるが、実装面での耐久性が追い付かず、故障につながることが予測される 1)。故障原因を究明するためには、予め非破壊解析を実施し、故障箇所を特定した上で、物理解析を行うことが重要である。非破壊解析の際に詳細なデータが得られれば、全体の構造と劣化の様子を推定することができる 2)3)。 そこで、本稿では、気槽熱衝撃試験に曝したGaN-FET(パッケージ:TO247)を対象として、超音波顕微鏡とX 線CTによる非破壊解析の有効性を示す事例を紹介する。その中で、X 線CTと超音波顕微鏡のおのおのの特徴を活かしたデータの解析結果、及び断面観察との比較による、非破壊解析の有効性の検証結果を示す。2. GaN-FETの構造と試験方法1. GaN-FETの構造 試料は市販のGaN-FETであり、図1の構造をとる。セラミック基板を中心として、上側はチップが二階建て構造になっており、チップ同士はAgペースト、GaNチップ(チップ下層のSi層含む)はその下のCuと高温はんだで接続されている。下側は放熱経路となっており、Cuを介してセラミック基板(AlN)とリードフレームが高温はんだで接続されている。2. 試験方法  市場の加速試験を想定した気槽熱衝撃試験を実施した(表1)。温度条件は、JEITA ED4701_105や技術資料を参考に決定した 1)。サンプルは4個とし、初期(0cyc)解析を実施後に試験を行った。1000cyc 試験後、サンプルを取り出して解析を行った。3. 使用装置 使用した非破壊解析装置は、超音波顕微鏡とX 線CTである。図2に各装置の外観、表2に各装置の特徴を示す。4. 解析箇所と劣化の定義  熱衝撃試験を実施することにより、サンプルの接合部に熱応力による劣化が生じると考えられる。今回用いたGaNFETの構造より、特に、電気的静特性の試験前後比較にて異GaNデバイス熱衝撃品を用いた非破壊解析の有効性の検証(株)クオルテック / 藤澤 雄介図1 GaN-FETの外観(左)と構造(右)表1 試験方法