ブックタイトル実装技術1月号2021年特別編集版

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概要

実装技術1月号2021年特別編集版

37リフロー時のフラックス飛散についてはんだ関連技術546が、その時に多くのフラックスを取り込む形となる。取り込まれたフラックスは、揮発しながらはんだの外に押し出される形となり、この挙動で、フラックスの飛散が多量に発生する。   リフロープロファイルによる   飛散発生状況 予熱条件を変更したリフロープロファイルにて飛散の発生状況を確認した(図4)。 予熱温度が低いほど、飛散が発生しやすい傾向を確認した。予熱時に溶剤の揮発が進まないことではんだ溶融時に多くの溶剤分が、はんだ内に取り込まれ、気化することで、溶融初期に多くの飛散が発生しているものと推察する。これは予熱温度を高くすることで、飛散が抑制される傾向でも確認できる。 飛散を抑えるためには、予熱中に溶剤などの揮発性物質の揮発を進め、本加熱時の残留揮発物を抑えることで、対応が可能となる。しかし、予熱温度を上げると、予熱時のフラックス活性成分の劣化やはんだ粉、電極部の再酸化が進み、溶融性不良が発生する可能性があるため、注意が必要となる。   フラックス組成による   フラックス飛散 ソルダペーストフラックスの飛散は、リフロープロファイルによってある程度抑えることが可能であるが、リフロープロファイルを変更することは、実装ラインを多数もつお客様にとって大きな負担となる。また上記のように、予熱温度を上げることは、基板やPKGの反りや、電極部及びソルダペーストの劣化につながるため、低温の予熱でもフラックス飛散を抑えたソルダペーストを開発する必要がある。 これまでの評価より、フラックス飛散は、はんだ溶融時に多くの揮発物が含まれていることが原因である。ロジンなどの樹脂成分や、添加剤については、本加熱時の揮発を抑える設計は可能となるが、もっとも揮発量が多い溶剤分については、揮発性を高め過ぎると、常温でも溶剤の揮発が進んでしまい、ペーストの渇きや、粘度上昇などの問題点が多く、対応が難しい。そこで当社では、フラックス残渣の挙動に着目し、下記手法にてフラックス飛散を抑えることに成功した。   フラックスによるキャップ効果 はんだ溶融後にガスの発生を抑えることは、上記のように背反が多くあることを確認した。はんだ溶融後にフラックス飛散の原因となるガスの排出が発生しても、フラックスの飛散を抑えるため、はんだ溶融時に粘性のあるフラックスをはんだ表面に残し、フラックス 飛散を抑える方法(キャップ効果)を採用した新製品『S3X58-HF912』を開発した(図5)。(株)弘輝図5 フラックスによるキャップ効果図4 リフロープロファイルとフラックス飛散数