ブックタイトル実装技術1月号2021年特別編集版

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概要

実装技術1月号2021年特別編集版

30はんだ関連技術1234   ロボット化の現状   ~結局、うまくいっていない~ 前回論文((※)本誌20年8月号【“手直し不要”を実現するはんだ付け専用ロボット メイコー“真”理論2.0】)の発表後、読者の方々より大きな反響をいただいた。また、ロボット導入のご検討をいただき、はんだ付け実験の機会も数多くいただいた。その結果、様々なワークに対してメイコーロボットの性能を実証することができた。 なおかつロボット化を諦めていたワークでさえもご満足をいただくことができた。そして他社ロボットのユーザーである生産現場の方々ともお話する機会が増えた。 やはり、ロボット化はうまくいっていない。「今日は付いたが、明日は付くかどうかわからない」など、不安定な品質に苦しまれている方々は多い。   ロボット化への需要   ~手付けのリスク~  一方、ロボット化の需要は増加している。ロボット化の理由は品質管理の確立である。作業者による手付けでは品質がバラついてしまい量産には耐えられない、という声が多い。 下記、手付けによりバラつく動作の一例である。 ?こてを当てる : 速さ、位置、角度、時間 ?はんだを送る : 速さ、位置、角度、量 人間(作業者)である限り、例えば±0.1mmの繰返し精度を実現するのは不可能である。また、バラつきは“職人技”という美名の盲点になっている。 はんだ付け職人は手首を器用に返してこての当て方(角度・位置)を変えるなどノウハウを駆使する。盲点とは、本来除外すべきワーク(酸化などが進行した部品・基板)に対しても一見、仕上げてしまう。その結果、フィレットの外観検査はパスしても接合面(合金層)にはリスクが内在している。これも手付けによる品質管理の危うさである。そして、こて先などにおいては手付けのバラつきを補う工夫が施されている。これを手付けノウハウと呼び、一例を以下に記す。○ 手付けノウハウの一例とその役割(理由) ?こての形状 余分なはんだを吸う(過剰なはんだ量が送られるため)  ?高熱容量のヒーター 温度復帰性を高める(こてを当てる時間が過少のため) ?頻繁なこて先のクリーニング 残留はんだを落とす(余分はんだが残留・酸化するため)   当論の主旨   ~メイコー独自性~ 前述の実験後、当社に興味を持っていただいたお客様から様々なご質問をいただいた。内容はロボットの仕様をはじめとして、ノウハウ面や当社の沿革・ルーツにまで渡った。そして、それら質疑応答のなかで奇しくも大きな発見をすることができた。その発見とは、「数十年前のメーカーの生い立ち(ルーツ)の違いが、現在においてロボットとノウハウの独自性の差となって現れる」というものである。 今回はメイコーの独自性をまとめる良いきっかけと考え、他社メーカーとの比較を用いて解説することにした。不安定な品質に苦しむ生産現場をひとつでもなくし、業界の底上げを図るべくペンをとった次第である。 なお本論の内容は、【はんだ後付け・こて工法編】としてご承知おきいただきたい。   チェックシート   ~ひとつでも当てはまると危険~“手直し不要”を実現するはんだ付け専用ロボット【 メイコー“真”理論3.0】(株)メイコー / 伊東 薫