ブックタイトル実装技術8月号2020年特別編集版

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概要

実装技術8月号2020年特別編集版

35 有機TFTやセンサを製作する上で、検討すべきテーマの一例を上げると、 ① 粘度の調整 : スクリーン印刷などは非常に高い粘度であるが、反転オフセットやインクジェットでは、10mPa・s 程度の低粘度である。粘度の調整には、各種の溶媒を用いる必要がある。多層の印刷の場合、下層の印刷膜を溶媒で溶解してしまう恐れがあり、材料の選択に留意しなければならない。 ② 有機半導体は、溶媒に対する溶解度が低い場合が多く、インクの99%は溶媒という場合すらある。溶媒の開発が重要である。 ③ 圧電センサや温度センサなど、各種のセンサをTFTとともに貼り付ける場合が多いが、①、②と同様の検討が必要である。 ④ 焼成温度は150℃以下にしたいが、その温度でも変質する材料は使えない場合がある。 ⑤ 下地がガラスなどの平坦とは限らず、プラスチックなどは凸凹がある曲面へ印刷する場合もある。(これは次項で取り上げる)3. 曲面印刷技術 従来は平面に限られてきたエレクトロニクスデバイス作製のためのパターニング技術を、曲面・立体物表面へも可能にさせる、次世代印刷技術を開発している。従来は、あらかじめパターニングされた配線層をフレキシブル基板に転写する方法などがあるが、接着力が弱くて断線の危険があり、自由な曲面への対応は不可能であった。 時任研で開発されている技術には、次の3つのテーマがある。それは、 (1) 曲面に超微細パターンを印刷する   ソフトブランケットグラビア印刷(SBG) (2) 立体物表面に配線ができる   全方向インクジェット印刷(OIJ) (3) 幅広パターンの印刷ができる   ソフトブランケットリバースオフセット印刷(SBR)である。1. ソフトブランケットグラビア印刷技術(SBG) まず、図3にSBG のプロセスフローを示す。通常のグラビア印刷と同様に、充填、受理、転写により印刷が行われる。金属製の芯金の上にソフトブランケットを設けたロールで、材料はポリジメチルシロキサンを主成分としたシリコン樹脂を、直径100mm、厚さ20mm、幅140mm 巻いたものである。図4は、通常のブランケットと今回用いたソフトブランケットの厚さに差を示した。 図5は市販されている印刷用銀粒子を用いてガラスビンの表面に印刷された例である。ソフトブランケットが溶剤を吸収するため、印刷されたパターンはある程度乾燥が進んだ状態図3 SBGのプロセスフロー(資料は時任研のご提供による) 図5 ガラスビンに印刷(資料は時任研のご提供による)図4 ブランケットの厚さ