ブックタイトル実装技術8月号2020年特別編集版

ページ
24/38

このページは 実装技術8月号2020年特別編集版 の電子ブックに掲載されている24ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

実装技術8月号2020年特別編集版

28はんだ接合技術 1  リフローにおける   熱量のコントロール方法1. 温度プロファイルにおけるコンベア速度の影響 SMT実装における部品・基板への熱供給量はヒータ温度よりコンベア速度の方が大きな影響を与える。 図1 中の破線はコンベア速度0.5m/m、実線はコンベア速度0.7m/mである。トップで約30 秒の時間差が発生しているが、温度差は小さい。現場での熱量(ぬれ性)やサイドボールなどはコンベア速度での調整がもっとも簡単で安全な方法である。2. 下部ヒータの効果 基板下部のはんだ付け面の部品リードの温度は、すべてはんだの融点以上を確保できていると同時に、基板上面の部品リードの温度もはんだ付け可能な温度に達している。基板下面の部品(ボディー)表面温度は約234 度部品耐熱性範囲で問題はない。 従来の部品リードの温度管理(ΔT)とは異なる概念ではあるが、3D(MID)基板実装と同様に基板のランドの熱ではんだ付けを行いつつ、熱量管理はヒータのトップ温度よりコンベア速度(時間)で調整し、部品への熱影響を抑えながら温度差の大きい部品のはんだ付けが可能となる。 図2のとおり、下部ヒータを活用し基板ランドの熱ではんだ付けを行うことで、ディスクリート部品もリフロー化することができる。特に、多層基板のスルーホール内部の温度は低くなり、ぬれ不足や過熱によるボイド及び飛散などの原因になるのでヒータ温度を上げずに必要な熱量は時間で供給することで改善できる。 また耐熱性の低い部品は断熱・放熱を組み込んだ治具を用いて対応するが、部品は温度プロファイルのトップ温度を過ぎても徐々に温度が上がり続ける(図2 のAとE/Fのトップ温度到達には時間差がある)ため、この緩やかな温度上昇を許容範囲内に抑えるのが一番難しい。 条件設定にもよるが、基本的には部品のトップ温度はヒータのトップ温度で決まるもののこのトップ温度が極端に高くても部品の耐熱性やはんだ溶融に大きな熱影響を与えるわけではない。問題は、その時間である。部品やはんだ溶融に必要な熱量 = 温度 × 時間(潜熱)が重要である。 はんだこての設定温度はおおむね360 度±20 度と部品の耐熱温度を遙かに超えているがこてを当てている時間は2~3 秒程度と短く、かつ、こてのあたる面積も非常に小さくはんだを溶かす程度の熱量しか伝わっていない。 コンベア速度や下部ヒータでの調整は、ぬれ性やはんだボールの改善にも効果がある。量産現場における鉛フリーはんだ付けの熱量のコントロール実装技術アドバイザー / 河合 一男図2 フロー基板のリフロープロファイル事例図1