ブックタイトル実装技術7月号2020年特別編集版

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概要

実装技術7月号2020年特別編集版

401. はじめに 前回は、厚膜印刷回路の長所と短所を、銅箔をエッチング加工して作るフレキシブル基板と比較しながら説明した。両者の得意な分野は違っており、目的に応じて、それに相応しい回路技術を選択することが必要である。また、用途によっては、厚膜印刷回路だけでなく、銅箔回路、薄膜回路などを組み合わせたハイブリッド構成の印刷回路も検討すべきである(銅箔回路、薄膜回路との関係は章末コラムを参照のこと)。 今回からは、改めて厚膜印刷回路の基本となる片面回路、両面回路について説明することにする。2. 片面回路の形成 電子回路を設計するうえで、もっとも基本となるのは片面回路である。これは厚膜印刷回路の場合も変わりはないので、まず片面回路について、基本的なことから説明することにしたい。 通常、銅箔をエッチング加工して作られるプリント基板を設計するに際しては、導体部が相当に長いような場合を除いて、回路の導体抵抗について考慮することは、ほとんどないであろう。現実に、多くの場合、導体抵抗を無視しても回路設計の大勢に影響はほとんどない。ところが、厚膜印刷回路の場合には、もっとも導電性の高い銀インクを使っても、その導体抵抗は無視できないレベルなのである。これまでに説明してきたように、もっとも導電率が高いナノパウダー銀インクを使っても、同じ断面積の銅箔導体に比べて、導体抵抗は10 倍以上になってしまう。汎用の銀インクであれば、導体抵抗は、さらに一桁以上上がってしまう。これでは、まるで抵抗器を直列に繋いで回路を形成しているようなものである。当然のこととあるが、同じ断面積の導体でも、電流容量ははるかに小さくなってしまう。回路によっては、その点を十分に配慮しておかなければならない。 銅箔をエッチング加工して形成する回路の導体断面は、ほぼ長方形といってよい(図1)。導体の厚さは、銅箔の厚さそのものであり、回路幅はサイドエッチングされた凹面の平均点で近似できる。導体の断面積と長さががわかれば、導体抵抗は次の式で簡単に計算できる(図2)。 R = ρ*L/S ρ : 導体材料に固有の係数 L : 導体の長さ S : 導体の断面積 わかりやすい厚膜印刷回路入門~初歩から最新技術まで~第3回 片面回路DKNリサーチ / 沼倉 研史図1 銅箔エッチングで形成される導体の断面構造図2 回路導体の導体抵抗