ブックタイトル実装技術5月号2020年特別編集版

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概要

実装技術5月号2020年特別編集版

41子を非球形にする、導体の粒度分布を非正規分布にするなどの措置により、導電率の向上がはかられた。また、マトリックス材料としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの有機材料が導入され、150℃以下の低温での焼成が可能になり、PETフィルムのような廉価な汎用プラスチックをベース材料として使えるようになった。PETフィルムは、はんだ付けができるほどの耐熱性はないが、80~90 ℃ぐらいまではそこそこの機械的な強度をもっており、大型のフレキシブル基板を低いコストで形成できることが示された。最初の量産用途として試みられたのが電子レンジの操作パネルとして使われるメンブレンスイッチであった(図2)。電子レンジの操作パネルは比較的大面積で、意匠性が求められ、かつ耐油性、耐水性が必要であったが、PETフィルムベースのメンブレンスイッチは、このような用途にうってつけであった。スイッチの配列の自由度は大きく、デザイナーのグラフィックデザインを、そのままパネル上に表現できることは、製品設計の可能性を大きく広げた。電子レンジは北米や日本で1980年代に急速に普及するが、操作パネルとしては、厚膜印刷回路で形成されたメンブレンスイッチが早い時期から主流となった。 次いで、当時急激に立ち上がりつつあった、パーソナルコンピュータのキーボード用メンブレンスイッチが業界を牽引することになる。それまでのキーボードスイッチといえば、硬質基板に形成された櫛形電極の上に、導電性のゴムパッドを配置したものであった(図3)。 このような構成では、キーボードの厚さを薄くするのに限界があり、コストの低減も難しかった。パーソナルコンピュータのフルキーボードに搭載されるキースイッチの数は100 個にもおよび、これに使われる硬質プリント基板はかなり大きなサイズにせざるを得なかったためである。このような用途において、廉価なPETフィルムをベースするメンブレンスイッチは、まさに最適のデバイスであったといってよいであろう(図4)。材料費は飛躍的に安くなり、かつ回路加工、実装組み立ては単純で安価になり、しかも、キーボードは薄く、軽量化が可能になった。時代は、ノートブックPCに移りつつあり、部品モジュールの軽量化、薄型化は喫緊の課題であったために、キーボードのスイッチングモジュールが、厚膜印刷法によるPETフィルムベースのメンブレンスイッチに置き換わるのにそれほど時間はかからなかった。 1990 年代に入ると、あらゆる場面でエレクトロニクス化、デジタル化が進んだが、特にオフィス、家庭の室内、医療現場で使われる様々な機器にメンブレンスイッチが使われるよう図3 従来のキーボードスイッチ機構 図4 キーボード用メンブレンスイッチ図2 電子レンジのタッチパネルスイッチ