ブックタイトル実装技術12月号2019年特別編集版

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概要

実装技術12月号2019年特別編集版

47 図2は、IMPACTという数値モデルで解析した結果、鉄溶解率が高い観測データを再現している。人間の活動の影響を強く受けた北半球で、鉄溶存率が高い値を示しているのが分かる。 自然起源の酸化鉄とは異なる人為起源の化石燃料などから発生するエアロゾルが、陸から遠く離れた海洋生態系へ栄養塩をもたらす重要な役割を果たすことを示唆しており、海の生物の栄養素として意外な効果があることが分かった(詳細については、https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20190502/)。3. 雲が温暖化を進行させる可能性 熱帯域の背の高い積乱雲群に伴って大気上層に発達する上層雲の広がりの変化は、地球の昇温量を見積もる上で重要であり、積乱雲が組織化(より狭い領域に集中して発達)するとその周辺では晴天域が増えることになる。晴天域が増えると、上層雲に遮られることなく、地球の熱を赤外放射によって効率的に宇宙へ放出することができる。その逆に雲の組織化が弱まると雲が広い領域にわたり分散して地球を覆うことで、宇宙への赤外放射が弱められ、温暖化を強めることになる。 JAMSTECでは、雲の運動を地球全域で直接計算できる全球大気モデルNICAMによって、約100 年後を想定した地球大気の高解像度シミュレーションデータを用いて、雲の組織化を表す指数を評価した。熱帯域をおよそ1000km四方の領域に分けて、それぞれの領域ごとの雲の組織化の度合いを調べた結果、赤道周辺のインド洋や東南アジアといった特に対流活動が活発に起きている領域の赤道上で、この数値が減少することが分かった。 雲の下にできる冷気塊もまた、雲の組織化の強さを反映している現象の1つで、熱帯域の冷気塊のサイズ分賦を比較したところ、温暖化した大気ではより小さなサイズの冷気塊の個数が増加し、より大きなサイズの冷気塊の個数が減少しているので、雲の組織化が弱化していることが確認された。 地球は宇宙に赤外線を射出することで自分自身を冷やそうとしている。雲が非組織化すると雲の分布が散逸的になり、小さな積乱雲群の数が増加することで大気は雲でより覆われ、赤外放射を妨げて温室効果を強めることにより、温暖化がより進む可能性が示唆される(図3)(詳細については、http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20190913/)。4. 北極海の海氷融解の生物への影響 北極海では1982年以降2017年までに表層水温が2.7℃上昇し、急速な海氷融解が進んでいる。海氷が減少すると、太陽光による海中光量が増加し、植物プランクトンによる炭素固定量が増加傾向にある。もともと低水温のため二酸化炭素を吸収する能力が高いことに加えて、海氷融解による淡水量の増加が炭酸イオンを希釈し、炭酸塩飽和度が未飽和な状態になると、炭酸塩の殻を持つ生物の殻形成に影響を及ぼすだけでなく、それ以外の生物の成長速度や生存率に影響を及ぼすことが明らかになっている。 海洋の生物において、アンモニアや硝酸・亜硝酸などの窒素は重要な栄養素である。有機物から分解されたアンモニアが、微生物の活動を介して亜硝酸や硝酸へと無機窒素に変換する硝化反応が起きている。この硝化反応はアンモニアの濃度や光量、pHによって制御されることが知られている。 JAMSTECでは、海洋地球研究船「みらい」を用いて、西部北極海チュクチ海の陸棚域と海盆域にて硝化反応が光量とpHに対してどのように応答しているのか観測した。その結果、pHの低下により硝化速度が減少しているが、その程度は図2 ??????の化??????????????し??????????の??????????の??合(??)(????????AMS????C??????????????????????し??)図3 ??????、????????に????して??る??と??れらの????放??の????図(??AMS????C????の??????、??????????????????に??????し??)IMPAC??に??る??????に????る??合