ブックタイトル実装技術8月号2019年特別編集版

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概要

実装技術8月号2019年特別編集版

35ムに絞ることはできないので、ある程度の広がりを持って対象物にあたり、対象物の形状を解像度よく検出することは困難である。そこで、音源は移動しながら多数の音波を放射し、その反射音波をコンピュータで解析することにより、きわめて狭い範囲の情報を得ることができる。これが合成開口ソナーの原理である。 音波の発信源は、音響機器のスピーカーにあたる振動板で、圧電素子(PZT)を用いて1000Vという高圧で発信させている。周波数は100kHzで、音量は200dBであるから、ジェット機の轟音(120dB)どころではない大音響である。受信はマイクロフォンに相当し、発信と同様の圧電素子が用いられ、せいぜい1V の信号を増幅しなければならない。これで100m先の物体を50cmの解像度で検出できる。図2はソナーの実物写真で、長さは約1mほどである。 実際に用いる場合は、水中を移動する曳航船やロボットにつけて広範囲の海底を探査するのに有効である。数km の広範囲の中にある熱水噴出などを発見することができる。2. 鹿児島湾での観測 鹿児島湾北部に位置する姶良カルデラは、その南にある桜島火山と同じマグマ供給源と考えられる噴気活動が観測されている。桜島の活動状況を観測するのと同時に姶良カルデラ内の噴気活動の観測も、この一帯の火山活動の監視のためには非常に重要である。また、熱水噴出の観測は新たな資源が得られる可能性があり、地下の物質流動や鉱床形成過程の研究にも大いに役立つと期待されている。 これまでも潜水艇による調査は行われてきたが、調査は極く限られた範囲でしかできなかった。広範囲の海底を調査するには光・電磁波では不可能で、合成開口ソナーの出番である。高精度な動揺補正処理機能を実装したビームステアリング合成開口ソナーを、小型軽量の中性浮力曳航体に搭載して観測した。 ビームステアリングとは、複数の素子をもつアンテナにおいて、送信や受信のタイミングをわずかにずらすことで、音波ビームの方向を変化させる手法である。鋭い音響ビームが作り出せる。 図3に、曳航型合成開口ソナー調査の様子を示す。図4は、観測された熱水噴出の様子である。表1は、ビームステアリング合成開口ソナーと他の方式の比較で、解像度や探査面積が広くて優れていることが分かる。温泉国の日本には、近海に熱水噴出箇所が非常に多くあると考えられるので、この合成開口ソナーにより熱水噴出地図が作成できることが期待される。表1 ??????メラ????????????ー??????????????ーの比較(????????TE??????)図4 ??????????????????に????フ??ラメント??に??????????????る(????????TE??????)図2 ????????????ーの写真(????????TE??????)図3 ??????????????????ー????の????図(????????TE??????)小型船舶(作業兼用漁船)合成開口ソナー曳航兼電力用ケーブル (中性浮力曳航体に搭載)おもり光学カメラ従来型ソナービームステアリング合成開口ソナー解像度(m) 0.002×0.002 6.5×0.05 0.09×0.09探査面積(m2/h) 864 540万1080万探査画素数(pixel/h) 2 億1600万1660万13億3000 万