ブックタイトル実装技術1月号2017年特別編集版

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概要

実装技術1月号2017年特別編集版

47量産現場における問題と対策はんだ関連技術き起こし、フィレット光沢を失わせているのである。鉛フリーはんだであっても、適切な加熱によるはんだ付けをすれば、設計の影響などを除き、いずれもすずのきれいな光沢で滑らかなフィレットになる(図1)。光沢不足は加熱状態が適切でないことを示しているが、これはフラックスにたいする熱影響で劣化傾向である。 図2は同じ温度プロファイルで鉛はんだと鉛フリーはんだを実装した基板であるが、はんだフィレットの光沢に差はほとんど見られない。 現場での初期判断はフラックス残渣の形状やフィレット表面の滑らかさ、及び光沢を基準にすることで速やかに良否判断を下すことができ、場合によってはラインをすぐに止め、不良品の流出を抑えて、製造後の修正作業や回収負担を抑えることができる。 フィレット光沢ははんだの組成に微量の元素を加えてある場合や金めっきなど、基板側のめっき状態の影響を大きく受けるので、良否の判断基準としては弱い。同様にフィレット形状も、長いプリヒートでフラックス効果を減退させた後ではんだを溶融させると、フィレット形状ははんだの印刷状態のままになるが、ぬれ不足で接合強度に問題が残る(図3)。 外観観察では良好に見えるがリードはランド側に密着せずはんだの上に付着状態になっている。この状態は自動外観検査機や目視でも良否判断できない(図4)。そこで判断基準となるのが、フラックスの状態とフィレットの滑らかさ不足である。 製造現場は海外や協力工場に移管されている現状では、日々の現場のライン状況を知ることはできないので、管理数値以外に、補完的に、より明確な判断基準を決めておく必要がある。 特に海外工場のはんだ付け技術は鉛フリー導入の初期段階で止まっていることが多く、その後の品質向上があまり見られない。実装技術アドバイザー / 河合 一男図4図3簡単に剥がれた部品。表面的なぬれ性はよさそうでも、はんだの流動性が失われ大きなボイドがある(左)はんだ量が多くリード上面まで上がっているがぬれ性不足 (中)N2を使用してもフラックスが劣化している (右)良好なぬれ性の断面状態