ブックタイトル実装技術10月号2016年特別編集版

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概要

実装技術10月号2016年特別編集版

22電子部品の発展が実現する新技術 1  はじめに(=非接触給電の概要)1. 非接触給電が求められる社会 (身近なところ?将来的な社会) 「非接触給電」は各方面で十数年前から期待が大きくなってきている。 防水性の確保・電線配線(たこ足配線)の削除、さらには銅資源の削減に大きな効果がある。特に少電力、防水性を求められるもの、または長期信頼性確保のため接触電極部を排除した製品が従来の主なものである。 近年の自然環境への配慮、利便性、安全性への配慮、PHV、EV、ロボットの普及に伴い、将来的に移動体への大電力「非接触給電」開発が急速に進んでいる。 半導体素子の特性も向上し、大電力でも小型で高効率のインバータを構成できる。(Sic GaN半導体)この技術により、高周波による数~数十kWの電力給電への応用技術が整ってきている。2. 非接触給電の各種方式と長所・短所 上記環境で使用される非接触給電で現在利用・研究されている方式は表1の通りで、合わせて、それぞれの特徴をまとめた。 上記方式のなかでも、スミダが開発を進めている「電界結合方式」について紹介する。   「電界結合方式」とは? 電界結合方式とは、電極間の静電容量を通じて電力を伝送する方式である。 静電容量を通じて電力を伝送するためには、交流により電極間で電荷を移動させ、電力を送る。 交流周波数は電極の大きさで決定される。スミダはA4大程度の電極を想定して技術検討を進めている。低い周波数で大電力を伝送しようとした場合、電極間に加わる電圧が高くなる。電極間の耐電圧による伝送電力が制限されてしまう。同じ静電容量でより大きな電力を伝送しようとした場合、周波数を上げて(電極間インピーダンスを下げて)耐電圧を下げるなどの工夫が必要である(電極インピーダンス:Z0=1/JωCωを大きくすることでZ0は下る)。周波数と耐電圧のバランスが重要なファクタになる。 なぜ「電界結合」か?電界結合方式は他の方式に比べ、 ① 給電部、受電部が軽量 ② 電極板設置の自由度が高い ③ 水平方向の位置決めがラフ ④ 電磁輻射ノイズが少ないなどの優位性がある。 電磁誘導方式、磁気共鳴方式はコイル間での電力伝送となるため、大電力を扱う場合、大型(大重量)のコイルが必要となる。 これらを移動体の充電用途に搭載することを想定した場合に、通常時に使用しない大型のコイルを搭載しておくことは、非効率である。 電界結合方式の場合、コイルではなく電極板での電力伝送であるため、搭載するのは電極板のみである。このため軽量であり、どの場所でも設置可能なため、設計の自由度が高い電界結合による非接触給電への期待と方向性~スミダが目指す究極の非接触給電(電力伝送)システム~スミダ電機(株) / 上田穂積、 山田孝男、 宮崎弘行2表1