ブックタイトル実装技術7月号2016年特別編集版

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概要

実装技術7月号2016年特別編集版

173次元電気系CAD『CR-8000』による次世代設計・シミュレーションへの取り組み設計・解析・シミュレーションに工夫して設計するかという、高度な知識と運用技術の提案も重要である。   設計~ものづくり現場での課題 現在の設計環境にCADは必須であるが、有効に使いきれていない場合も多い。CADの基本機能は「データを入力する」「データを計算・編集する」「編集したデータを表示する」「データを保存する」「データを出力する」である(図2)。基本機能を満たすという意味では、30 年前のCADも、フリーで公開されているCADでも同じである。CADには設計者を支援する様々な機能が搭載されており、設計時間の短縮、設計ミスの削減、コスト削減に貢献している。しかし、これらの便利な機能はどんな機器やシステムの設計にも使える万能なものではなく、ある程度特定した条件に合わせて開発されているため、設計する機器・システムによって、別のCADを使うことになる。たとえば、プリント配線板の設計と自動車のボディー設計では使うCADがまったく異なる。プリント配線板用のCADは、電気の経路である配線や層間を接続するビアを描くためのCADであり、電気的な接続情報をもったある意味特殊用途のCADである。これに対して自動車のボディー設計にはメカ系のCADが使われ、ボディーや各種部品の形状を3 次元で正確に描くことができる。 この場合の多くの課題は、使っているCADが異なるため、データの互換性がなく、データの再利用や協調した設計が難しいことにある。これらデータの互換性がないことはCADとシミュレータ、CADと製造装置の間でも同様である。   これからのものづくりに   壁などいらない 「これからのものづくりに、壁などいらない。」これは、『CR-8000』のビジョンのひとつである。プリント配線板用のCAD開発を続けて40年、長い歴史の中でお客様から期待されているキーワードでもある。高密度化と高機能化が進むモジュールや小型電子機器。もはや1枚の基板や単体のモジュールだけを設計しても、製品設計は完結できない。うちは「プリント配線板設計部門」なので、うちは「パッケージ設計部門」なので、うちは「筐体設計部門」なのでという部門間のコミュニケーション不足は、設計マージンを過大に取り過ぎたり、責任分担が曖昧だったり、システム全体の設計効率を悪化させてしまう。また使用しているCADの違いでデータの参照や流用ができないということは、部門間の協調設計を妨げるだけでなく、同じようなデータ作成作業を双方で行うという、極めて効率の悪い設計工程といえる。 大きな手戻りをなくして、競争に勝ち残る独自性の高い製品をタイムリーに実現するためには、設計初期段階での、各分野のエキスパートによるシステム全体の最適化設計やレビュー、そしてシミュレーション技術が鍵を握る。これを実現するためにはチップ/パッケージ/複数のプリント配線板/筐体のデータをひとつのCAD環境で扱うこと(図3)ができ、接続部分を含むシステム全体を3次元で表示できるのが望ましい。各専門分野での分業による深掘りと、各分野のバウンダリーを越えた協調設計や並行設計が次世代設計に必要な環境である。(株)図研23図2 CADに必要な機能のイメージ図3 チップ/パッケージ/ボードを一元表示