ブックタイトル実装技術9月号2015年特別編集版

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概要

実装技術9月号2015年特別編集版

32 CMOS LSI のパターン微細化は、波長193nm のArFエキシマレーザを用いたステッパにより、限界値40nmまで進歩するといわれていたが、実際はダブルパターン技術により20nmの生産導入が実現し、さらには10nm台も望まれている。これにより、ムーアの法則がまだまだ健在である。 この微細化の進歩を支えてきたのが、フォトレジスト材料の革新にあったことは当然であり、東京応化工業(株)(以下、TOKと略称する)が、その中心となって活躍されてきた。 TOK の歴史は、1936 年に設立の東京応化研究所が元になり、1940 年に東京応化工業(株)と改組されて今日に至っている。 フォトレジストの歴史を振り返れば、1960 年にコダック社がフォトレジストを開発・販売され、半導体プロセスに採用されて半導体の微細化が始まったわけであるが、初期のころのフォトレジストは基板との密着が十分でなく、サイドエッチが多発して使いにくかった。TOKでは、1962 年にプリント基板用のフォトレジストを開発され、1968年に半導体微細加工用天然ゴム系フォトレジスト「OMR」を開発され、以来、半導体パターンの微細化の進展に対応して次々に新しいフォトレジストを開発されてきた。 今月は、TOK の会社紹介、製品紹介とともに、フォトレジスト技術について勉強することにしよう。1. パターン微細化の指針 ステッパの解像度を表すレーリーの式はごぞんじであろう。 解像度=k1・λ/ NA k1はプロセス条件や光学系で決まる定数。λは露光光の波長。NAはレンズの開口数で、仮にk1=0.3、λ=193nm、NA=1.0なら、解像度=58nmとなる。 これまで微細化のため、k1、λ、NAが改善されてきた。k1ファクタの改善 ① PSM(Phase Shift Mask:位相シフトマスク)は、隣り合ったスリットからの光の位相を反転させることにより、解像度及び DOF(焦点深度)の向上を図る技術。② OPC(Optical Proximity Correction:光学近接効果補正)は、近接するパターンの影響で形状が変化してしまうため、マスク上に微細な補正パターンを入れる。その他、③変形照明やSMO(Source Mask Optimization)と呼ばれる技術。④レジストの改善や反射防止膜(BARC、TARC)などで、k1 値が下がってきた。波長λの改善 水銀ランプのg線(436nm)、i 線(365nm)、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)と、短波長化が進められ、次はEUV(13.5nm)が話題になっている。Excimer Laserとは、Excited Dimer Laser の略で、通常はどんな原子とも化合物を形成しない不活性ガスのArやKrも、FやClのようなハロゲン原子と混合してパルス放電を与えると励起状態になって特定の波長のパルス光を放射する。NAの改善 レンズとレジストの間に空気(屈折率N=1)ではなく、水(N=1.44)を満たすことにより、NA が1.35 ~1.4の装置が実用になり、液浸ステッパと呼ばれ、微細化時代の主役になっている。ダブルパターニング 図1 のように2 回露厚木エレクトロニクス / 加藤 俊夫シリーズ・企業訪問 きらりと光る優良企業(第9回)フォトレジスト技術でムーアの法則の進展を支える東京応化工業(株)図1 2回露光による1/2パターンの実現