ブックタイトル実装技術5月号20015年特別編集版

ページ
23/34

このページは 実装技術5月号20015年特別編集版 の電子ブックに掲載されている23ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

実装技術5月号20015年特別編集版

33合金である黄銅を母材とし、その上にAgめっきを施したものである。リード先端面は切断されて母材が剥き出しになっていたため、ぬれ上がりが不十分であったと考えられる。一般に室温環境下での金属酸化物の標準自由生成エネルギーはAg>Cu>Bi>Sn>Znであり、はんだの構成元素であるSn、Biや基板のパターン構成元素であるCuに比べてZnの酸化物は還元されにくい。よって、ZnOに対する活性力不足がぬれ上がり不足の原因であると推測された。そこでフラックス成分である活性剤の最適化に取り組んだ。 SnO、CuOに対してのカルボン酸系活性剤として一般的に知られているAおよびBの2種類の量をそれぞれ増やし、CuOに対する活性力を上げることによりぬれ上がり性能改善を試みた。図3、図4にそれぞれA、B の量を変化させた際のスイッチ足部に対するぬれ上がり性能を示す。A 及びBを増量してもスイッチぬれ上がり性能が向上していないことがわかる。これにより、黄銅の構成要素であるCu(実際はCuO)に対する活性力を増強しても、ほとんど効果がないことが示された。 一般的にはんだ付けで有効な活性剤としてはカルボン酸系活性剤、ハロゲン系活性剤、アミン系活性剤の3種が挙げられる3)。パインソルダー『XFP LF138』では環境負荷低減のためにハロゲンフリーを大きな特徴としているため、ハロゲン系活性剤は対象外とした。そこで、アミン系活性剤のスクリーニングを行った。黄銅板上に はんだを印刷し、その上に各種活性剤を添加後溶融させ、ぬれ広がり具合を評価した。その中で、不ぬれが見られず、塗布面積以上にぬれ広がった活性剤を採用した。 次に実際にペースト化してスイッチ部品に対するぬれ上がりを評価した。これらの結果より、図5に示したように前述の活性剤を添加したフラックス組成のペーストでは初期のペーストよりもスイッチ部品に対するぬれ上がりが格段に向上した。アミン系活性剤単体では活性作用はないことを確認しており、カルボン酸と併用することによりカルボン酸の活性力を強める働きがあるものと思われる。 カルボン酸と2価酸化金属との反応は一般的に金属のカルボン酸塩を形成する。ここにアミンが加わることによ図4 B量によるスイッチ部品ぬれ上がり性能図5 各ペーストのスイッチ部品に対するぬれ上がりとぬれ上がり率図3 A量によるスイッチ部品ぬれ上がり性能