ブックタイトル実装技術2月号2015年特別編集版

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概要

実装技術2月号2015年特別編集版

37いえる。筆者は本方式を2 年前に発見し、その後、RL負荷とモータ負荷を駆動する実証実験を行ってきた。その過程で変換器の一般特性を評価すると同時に入出力電流・電圧波形を観測して転流失敗と思われる破綻が生じないかを繰り返し検証してきたが、そのような現象はなかった。現在、本方式の製品への適用を進めている段階である。 本稿では、まず電力変換の良好な結果を示し、次に変調理論と拡張による更なる成果を示す。2. 実証試験結果1.RL負荷試験(1)回路図 図1は、三相電源にマトリクスコンバータを接続して三相RL負荷を駆動する回路である。電源入力にキャリア周波数成分減衰用のリアクトルとコンデンサを接続し、マトリクスコンバータパワーモジュールを接続する。出力側に負荷の回生電流吸収用スナバと電流方向を検出する電流方向検出器がある。マトリクスコンバータパワーモジュールは、図2 のように双方向スイッチを入力三相と出力三相間に接続した構成となっている。ここで、双方向スイッチは、2個の逆阻止IGBTを逆並列に接続した回路(図3a)、またはIGBTとダイオードを逆接続した回路をさらに直列に接続した回路(図3b)で構成される。電流方向検出器は、各出力相の入力側の電源選択の切替順序の選択用に使用される。キャリア発生部は、変調と駆動パルスを生成する機能を含む。詳細は後述する。入力電圧の同期信号から特殊なキャリアを生成(キャリア周波数は約10kHz)し、このキャリアと三相出力電圧の正弦波指令信号をコンパレートする。コンパレートの結果からパルス分配回路でパルスの状態を決定し、駆動回路でパルスを発生する。双方向スイッチを切り替える場合は、電流方向検出器の結果を見て予め決められた順序で切り替えを行う。DCインバータとの相違点は、キャリアが入力電圧位相に依存して変化することと駆動パルスの切り替えが電流方向に依存することである。 この回路で注意すべきことは、入力電圧の同期信号と出力電流方向検出のデジタル量以外は検出していないこと、アナログ量の検出がないことである。(2)運転方法  今回の実験装置には周波数設定用と電圧設定用のデジタルスイッチがあり、キャリア発生部内にある押しボタンスイッチをONすると周波数用デジタルスイッチの周波数で、電圧用デジタルスイッチで指定された電圧までソフトスタートで電圧を発生させる。(3)電圧・電流波形 図4(a、b)は、三相200V50Hzの商用電源で、低負荷と高負荷を接続した時のそれぞれの入力電流、出力電流、出力線間電圧の計測波形である。低負荷、高負荷の両方とも入力電流と出力電流の波形は正弦波状となっている。図4 RL負荷試験(上:入力電流、中:出力電流、下:出力線間電圧)図3 双方向スイッチング回路図2 マトリクスコンバータパワモジュール双方向素子を9 個使用したマトリクスコンバータパワーモジュール逆阻止IGBT(RBIGBT)を使用した双方向スイッチ(a)IGBTとダイオード4 個を使用した双方向スイッチ(b)