ブックタイトル実装技術6月号2014年特別編集版

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概要

実装技術6月号2014年特別編集版

上がり、立ち下がり時間は1nS 程度が想定されていました。その当時はパッケージ内配線の長さはせいぜい1cm程度で、パッケージ内は、伝送線路として考えない領域でした。このためIBISモデルのパッケージモデルは、R、L、Cの集中定数モデルとして考えるのが適当でした。しかし、この20年で信号速度は100 倍に高速化しました(図8)。 逆に、ICの集積度の向上により、ICのピン数が増大し、パッケージ内基板(インタポーザ基板)の配線長が増大しました。現在の高速信号では、パッケージ内配線は、伝送線路として解析しないと、正しい信号化波形の解析は行えません。多くの伝送線路解析シミュレータでは、ICチップのパッド波形とICパッケージのピン波形の両方をシミュレーションする機能があります。これは、基板内の配線を伝送線路として考える必要がある場合では、基板内の配線によりICチップでの波形と、ICパッケージピンでの波形が異なるからです(図9)。 信号の立ち上がり、立ち下がりが遅く、パッケージ内配線が短い場合には、ICチップのパッド波形とICパッケージのピン波形は同じになります(図10)。 標準のIBIS Packageモデルは、パッケージピントチップパッドの波形には違いは生じないという前提で考えられています。基板上で波形観測をする場合、ICの部品ピン波形は何とか測定できますが、ICパッケージ内部のチップのパッド波形の測定は困難です(図11)。 回路が正常に動作するか、誤動作するかの波形評価は、ICチップのパッド波形のほうが精度が高いのは、当然です。ICパッケージピンの測定波形とシミュレーション波形が同じであれば、ICチップのパッド波形はシミュレーション波形で推測ができます。IBISでもその後のバージョンアップで、基板内配線を伝送線路として解析できるようなオプション機能が追加されましたが、残念ながら一部を除いて、このオプション機能を使ったIBISモデルは存在していません。IBISの次のバージョンでは、このPackageモデルが精度の高い伝送線路モデルとして定義される予定です。3. IBISのPackage定義 IBISモデルでは、どのバージョンでも完全な双方向の互換性が取られています。これは、IBIS Version1(1992)で規定された規格は必須なのですが、その後、バージョンアップで規定された内容はすべてがオプション扱いになります。信号の高速化に応じて、より解析精度を上げるために後から追加された規格はすべてオプション扱いとなります。これまで説明してきた長さのないR、L、C のIBIS Package モデルの定義もVersion1の必須規格のことです。 IBISでもVersion2 以降、信号の高速化に対応して、パッケージモデルの定義も改善してはきましたが、オプション扱いで定義も面倒なので、普及していないのが現状です。Version1では、パッケージはR、L、Cが各1つのモデルとして定義されます(図12)。前田真一の最新実装技術 あれこれ塾57図9 ピン波形とダイ波形の違い図10 ピン波形とダイ波形が変化しない場合図12 IBIS のパッケージモデル図8 信号速度の変遷図11 パッケージの内部は実測できない