ブックタイトル実装技術6月号2014年特別編集版

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概要

実装技術6月号2014年特別編集版

これあれ塾前田真一の最新実装技術連 載第39回 IBISのPackage Model1. 伝送線路の等価回路 KHz代やそれ以下の信号では配線を伝送線路としては考えません。しかし、数十MHzや100MHzを超えるような信号では配線を伝送線路として考えることが常識となっています。 一般に回路図では、図1のように配線は直線で書きますが、配線を伝送線路として考える時には伝送線路として、一般の配線とは区別して書くようにします(図2)。一般の配線では信号は配線の途中で劣化せず、配線のどこでも同じ波形が保存されると考えます(図3)。 ところが、伝送線路では、配線はあるインピーダンスをもち、配線の状況によって波形が変化しますし、配線の長さに応じて信号の遅延が生じます(図4)。つまり、配線の途中では、場所によって、波形が変化してゆきます。 伝送線路を一般の回路素子で等価的な回路に現すと図5のようにLとCが梯子(ラダー)状に並んだ回路で表せます。これは、配線がもつ単位長さあたりのLとC の値で、特性インピーダンスは L/Cとなります。このLとCの並びにより、信号の位相も少しずつ遅れ、これが遅延になります。信号の伝播速度は1/ (L・C)となります。真空中の光の速度の信号が高速になり、損失の影響を考慮する必要がある伝送線路ではこれにRとGが加わります(図6)。このLとC の(とRとG)1 組の組み合わせを段(ラダー)と呼びます。 伝送線路を表すとき、この段数が多ければ多いほど伝送線路がスムーズに、誤差なく表現できます。本来、伝送線路は非常に短い区間でLとCを表現し、微小区間が無限に連続していると考えています。2. PackageのR、L、C定義 ここでIBIS のPackage 定義を見ると、1段のR、L、Cの回路になっています。しかし、長さ情報がありません。これは伝送線路に回路ではなく、遅延のない、単純なアナログ回路となっています。配線を伝送線路として考慮しなければならないのか、遅延のない理想線路として考えて良いのかは、信号の立ち上がり、立ち下がり速度と、配線の長さの関係で決まります。 一般的には信号の立ち上がり、立ち下がり時間が1nS 程度であれば、配線長が2.5cm程度以下であれば、伝送線路として考えなくても良いといわれています(図7)。 IBIS 規格をはじめて制定したときは、PCI並列バスをターゲットに開発されていました。そのときのPCIバスクロックは33MHzで将来構想としても66MHzが想定されていました。その、33MHz、66MHz の信号の立ち56図3 理想配線では波形歪みがない図7 伝送線路として考える必要がある配線図5 伝送線路の等価回路図6 損失がある伝送線路の等価回路図4 伝送線路での波形歪み図2 伝送線路の回路図図1 理想配線の回路図