実装技術1月号2013年特別編集版

実装技術1月号2013年特別編集版 page 50/62

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66 このため、多くの新しい考えや技術の改善を行い、それらを一つ一つ積み上げて消費電力の低減を行っています。 その中でも実装にとって特に気になる機能に、次のような記述があります。“ ……Haswell has on-di....

66 このため、多くの新しい考えや技術の改善を行い、それらを一つ一つ積み上げて消費電力の低減を行っています。 その中でも実装にとって特に気になる機能に、次のような記述があります。“ ……Haswell has on-die voltage regulator…… ”。 LSI 内部にレギュレータ回路を実装したものをオンチップ・レギュレータと呼び、ここ数年、研究されてきています。インテル社でも、数年前からこの技術を研究していて、その成果などを発表していました。 そしてついにHaswellにこの機能が実装されるようになったものです。 まだ、Haswellにどのような回路が実装されるのか、どの程度の容量の電源がいくつ実装かされるなど、発表はされていませんが、これが電源の新しい時代を迎える第一歩になることは間違えないでしょう5.オンチップ・レギュレータ オンチップ・レギュレータには大きく3つのメリットがあります。しかし、技術的な困難のため、なかなか実際のLSIには実装することができません。 まず第1のメリットは、基板実装面積の縮小とコストダウンです。現在は、LSI 電源の多様化が進み、ことなるLSIではことなる電源電圧を使う場合が多くなってきています。さらに、他のICとのデータ授受や、標準インタフェースのため、1つのLSIでも多くの電圧を使っています。 現在は、基板上でおのおののLSI の近くに電源回路を組み、おのおののLSIに供給しています。このため、基板上には多くの電源回路が存在し、電源回路のコストと、基板上で電源回路が占める領域は無視できません(図6)。 ICがおのおの、自分で使用する電圧の電源を自分で作成できるようになれば、基板面積と電源回路用の部品コストを大幅に削減できます。 第2 のメリットは、電源変動への対策です。 SSOノイズとして知られるLSI の電源変動が大きな問題となったのは、2つの原因があります。LSI回路の大規模化による消費電力の増大による、変動の増大と信号の高速化による、消費電力変動の高速化です。 LSI の消費電力増大は、そのまま消費電力変動の増大になり、対策部品である、バイパスコンデンサの増大を招きました(図7)。 LSI の消費電力変動の高速化は電源変動の高速化を招き、電源供給ライン(PDN)のL成分の低下や、バイパスコンデンサ自身のL 成分の低減を要求しました。 これらの理由から、SSOノイズの変動を抑えるため、PI(Power Integrity)解析という新しい考えが生まれ、PDN のインピーダンス解析や基板の電源/GNDプレーンの設計や、バイパスコンデンサの配置、数などの決定に最新の注意を払う必要が出てきました。 これら電源系統の解析、設計には高価な専用ツールと多くのコスト、時間がかかっています。さらに多くのバイパスコンデンサの配置や、プレーン層の追加などにより、基板や部品のコストに多大な費用がかかっています。 また、電源のノイズは、単に信号ノイズやタイミングノイズとして信号の伝送品質を下げるだけではなく、電磁放射(EMI)ノイズの大きな原因となります。 現在の電子機器ではEMI対策には大きなコストが費やされています(図8)。 基板上に電源を配置すると、基板配線やビアがもつL 成分のため、LSI 電源の変動を完全に抑えることはできません。このため、現在は、よりLSIに近いパッケージ上にコンデンサを載せたり、さらにはLSI 内部にまでコンデンサを作り込んだりして対応しています。前田真一の最新実装技術 あれこれ塾図8 EMI 対策部品(任天堂のHPより) 図9 ループが小さいとレスポンスが速い図7 大量のバイパスコンデンサ図6 基板上の電源回路