実装技術9月号2012年特別編集版

実装技術9月号2012年特別編集版 page 30/44

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321.はじめに 近年のエレクトロニクス産業において、スマートフォンなどの電子機器の小型軽量化に伴い、3 次元実装をはじめとする電子部品の小型化・薄型化の技術進展がめざましい。しかし、同時に技術課題も複雑化....

321.はじめに 近年のエレクトロニクス産業において、スマートフォンなどの電子機器の小型軽量化に伴い、3 次元実装をはじめとする電子部品の小型化・薄型化の技術進展がめざましい。しかし、同時に技術課題も複雑化しており、電子部品の生産工程や実装工程においてIC の端子コプラナリティ、半導体パッケージの反り、印刷クリームはんだなどの形状をミクロンオーダで把握したいという3次元計測の要求が強くなっている。 エレクトロニクス分野での3次元計測では、非接触・非破壊といった特徴をもつ、光を用いたさまざまな3 次元計測方法が提案、製品化されているが、それらの方法は、測定物体上をスキャンさせ3 次元計測データを得るため、計測時間が長くなるという課題があり、生産技術開発などオフラインでの計測用途が主であった。 この課題を克服するために、一回の測定で瞬時に3 次元計測データを得ることができる、モアレ法を応用した反射型位相シフトモアレ技術を新たに開発した。これにより、生産ライン内での計測にも使用できる計測時間を達成した。さらに、新技術CIOS(Complimentary IrisesOptical System)光学系により、測定対象の色や表面粗さに影響されにくい計測を同時に実現した。本稿では、本3次元計測技術について紹介し、その特徴を述べる。2.エレクトロニクス分野での3次元計測法の比較 エレクトロニクス分野で使われている非接触3 次元計測法には、主として三角測距法、光切断法、共焦点式がある。これらの方式は1 点の高さ(光切断法の場合は直線状の多点高さ) を計測する手法で、3次元計測(面の高さ計測)を行うためにはセンサヘッドまたは測定対象をスキャンさせる必要があり、長い測定時間を要していた。また、このスキャンをさせるためのメカ機構の誤差が計測の誤差に重畳するため、3 次元計測器のスキャン機構設計には注意を要する。 一方、モアレ法は、画像として高さ情報を取り込むことができるため、スキャン機構が不要であり、測定時間が短く、3次元計測精度がメカ機構の精度に依存されないといった特徴をもつ。 しかし、従来のモアレ法では測定物体への入射光として拡散光を用いていたため、正反射成分が主体となる鏡面物体には適用が難しく、かつ精度も十分ではなかった。そこで、反射型位相シフトモアレ技術の採用により、鏡面物体に対応できるミクロンオーダの3 次計測技術を実現した。表1 に各計測原理を比較したものを示す。 反射型位相シフトモアレ技術は、短い計測時間で、高分解能計測にすぐれており、かつ鏡面を中心とした測定物体の測定が可能なため、様々な用途への応用が期待される。3.原理1.反射型位相シフトモアレ法 モアレとは、格子状の透過パターンを2 枚重ね合わせた時に、別の縞模様ができる現象のことで、この縞模様をモアレ縞という。このモアレを用いて、物体の形状を等高線として表示させることができる。図1 がモアレを利用した3アズビル(株)/ 藤原 久利、村井 定一ミクロンオーダの3次元計測技術表1 3次元計測法比較