ブックタイトルメカトロニクス7月号2019年

ページ
11/52

このページは メカトロニクス7月号2019年 の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

メカトロニクス7月号2019年

MECHATRONICS 2019.7 11所在地:U R L:事業内容:東京都大田区(中央事業所)https://www.piezo-sonic.com超音波モータの開発/製造/販売、モータ制御機器の開発/製造/販売、センサとネットワークを利用したIoTデバイスの開発、新サービス開発コンサルティング。株式会社 Piezo Sonic・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ころ従業員は、私を含めて3 名とアルバイト/パートさん数名、外部のオンラインアシスタント1 名の小規模体制ですが、最近ではエンジニアの求人を開始し、徐々に会社の規模も大きくなっています。 さらに、取り引きしている協力メーカーも30 社ほどになり、個人的につながりがある数社以外、ほとんどが当社を設立してから新規にお付き合いさせて頂いている企業です。協力メーカーとは、それぞれの専門分野をお任せして当社の従業員と同等の立場で設計/開発、試作/量産などを行っていただく、「共創」関係を築いており、それが当社のビジネススタイルにもなっています。 御社のコアとなる超音波モータについ てお聞かせください多田 : 超音波モータは、他のモータと比べて低速/高トルク、小型/軽量であり、高い位置制御性を有するといった特徴があります。また、種類としては大きく分けて2つあり、1つは直進運動の「直動型」と、もう1つは回転運動の「回転型」です。その中で当社は、さらに枝分かれした「高トルク型」と呼ばれる回転型超音波モータの中でも、特に難易度の高い超音波モータをメインにしたビジネス展開をしています。 超音波モータの原理は、直動型も回転型も基本的に一緒で、通常のDCモータなどにあるようなマグネットやコイルは使用せず、その代わりに電圧を加えると伸びたり縮んだりする圧電セラミックを使用します。その圧電セラミックに、プラスとマイナスの電圧が交互に変化する交流信号を加えて連続した伸縮運動発生させます。 さらに、この伸縮運動を金属で増幅させると、金属表面が海の波面のような動きをつくり出します。素材は金属ですが、イメージとしてはちょうど海の波のような状態です。海の波にビーチボールを投げ込むと、行ったり来たりしますが、例えばそのビーチボールがずっと連なっていると、向こうに行ってまたこっちに戻ってくる動作をします。その運動を360度ぐるっと金属表面で行っているのが、回転型超音波モータの回転原理になっています(写真1)。 回転型超音波モータでは、このビーチボールの代わりにロータと呼ばれる回転体をステータと呼ばれる波面運動をしている金属表面に押しつけ、ロータ・ステータ間の摩擦力を利用して回転しています。この摩擦力というものは、まだ学問としても正確には解明されておらず、摩擦係数も様々な環境で変化するので、同じ素材だからとか同じロットだから同じ摩擦になるかというとそうではなく、素材面や材料面でのノウハウを自社で蓄える必要があります。さらに、最終的に圧電セラミックを効果的に動かすための電気回路の知識も必要になります。 このように、回転型超音波モータを開発、製造するためには「素材」、「構造」、「回路」、「摩擦」といった4つの知識とノウハウが必要となり、どれか1つだけ優れていてもバランスが崩れて上手く回らないというのが、このモータの特徴にもなっています。 また、これらの原理を指し示すような書物なども存在しないので、開発しているメーカーはワールドワイドでみてもほとんどなく、高トルク型に関しては、私の知る限り当社を含め3社ほどです。特許についても、何点か出願されていますが、実際に肝となる部分はある意味それが書物となり残ってしまうので、当社もそうですがどのメーカーも特許として出願せずに独自のコア技術として活かしています。 御社製品の特徴やラインアップについ てお聞かせください多田 : 先程、超音波モータは摩擦で動くとお話しましたが、そのため従来のDCモータなどと比べて、素材の摩耗に起因して寿命が短いと思われていました。それにより、工業用途では限られた条件下で利用されていました。しかし、当社では長年の研究成果からどういう部分を強化すべきだとか、どういう部分の材料をどのように変更すべきなのかということに知見や経験があります。 それが当社の強みであり、新しい製品ラインアップである『PSM60シリーズ』にも採用することで、従来製品に比べて寿命が2倍以上となる約3000時間以上の保証値になっており、また寿命だけでなくトルクについてもさらに20%以上向上することに成功しています。加えて、サイズ、重量についても15 %以上、小型化しました。 そうした成果が評価され、『PSM60シリーズ』は2018年度の精密工学会「ものづくり賞」に受賞しています。また、大田区産業振興協会が推進する大田区ビジネスプランコンテストにおいても、協賛されている城南信用金庫から賞を賜りました。ただ、これはあくまで現状の実験結果によるもので、実際はさらに寿命が延びる可能性を秘めており、引き続き協力メーカーと共同で実験を行っています。 この『PSM60シリーズ』には、一般環境用と磁場環境用の2つのタイプがあり、MRI 内で利用される搬送装置や半導体製造装置で利用される高精度位置決めステージなどの位置決め装置用モータなどに適しています(写真2)。また、装置を小型化したいというニーズ向けに、もう少し径を小さくした『PSM40シリーズ』も開発しており、現状は受注生産品の段階ですが今後は主力製品にしていきたいと考えています(写真3)。 さらに、モータを動かすドライバ製品も、アナログコントロールタイプやアナログ/デジタルの両方をコントロールできるタイプをラインアップし、超音波モータとセットで提供しています(写真4)。 それから、当社事業のもう1つの柱となる超音波モータを応用した自律移動ロボットについても、色々と展開しています。最近では、大田区の助成金事業として、歩道を走行する自律走行モビリティの開発を行っています(写真5)。これは、大田区の幅の狭い道や未舗装の道でも目的地に到達することができるようにするため、月面探査ロボットのノウハウを応用した市街地走行に適した自律走行モビリティの開発プロジェクトで、今年の3月に第一期目が終了しています。 この成果を活かし、今度は北海道の企業と共同で、農業支援ロボットの開発プロジェクトをスタートさせる所です。 今後の展開についてお聞かせください多田 : 超音波モータについては、さらにライアップの拡充を図っていきたいと考えています。現状では、中空タイプなど、お客様からの要望が強い製品の完成を急ぎ、順次ラインアップに追加していきます。 それから、ただ単にラインアップを増やすだけでなく、「どう使えるか」ということにもスポットを当て、モータといった部材のレベルではなく、ギヤユニットやモータユニットなど装置として提供することが重要だと考えています。それにより、超音波モータ事業とロボット事業がさらにリンクしていくと思うので、それを実現するために当社だけでなく、協力メーカーも含めた体制づくりを強化していきます。 あとは、当社の知名度をさらにアップさせるため、展示会などの出展も増やしていく予定です。本日はお忙しい中、ありがとうございました。写真3 小型タイプの『PSM40シリーズ』写真5 自律走行モビリティ写真4 ドライバのラインアップ