ブックタイトルメカトロニクス2月号2019年

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概要

メカトロニクス2月号2019年

MECHATRONICS 2019.2 11所在地:U R L:事業内容:東京都立川市https://www.cosmotec.ne.jp粘着製品の印刷/加工/開発および製造販売、粘着シート/テープの開発および製造販売、印刷インクの開発製造、転写シール(熱/溶剤/感圧)の開発および製造販売、取り扱い製品関連のコンサルティング。株式会社 コスモテック・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・のために粘着テープを開発しています。そのため、単に粘着テープを売ることが目的ではなく、その粘着テープによりお客様の生産プロセスや製品が改善できるか、または新製品の開発が上手くいくかということを目的にしています。 原反フィルムの販売だけでなく、加工品の販売を行う理由はここにあり、加工部門ではお客様が新製品を設計する時に、他社の既存テープを加工すれば間に合うケースが多くあるため、そのような提案を行っています。当社は、大手テープメーカーや機能性フィルムメーカーとの繋がりが色々とあるのでこのようなことができ、どこにもマッチするような既存テープがないようなら、我々で開発を行っています。 当社では、このような上流から下流までの一貫したソリューション型のビジネスモデルを展開し、大手テープメーカーや機能性フィルムメーカーからみると我々は加工屋というイメージがあるので、競合することもなく協力関係を築くことが可能であり、他社が手掛けないような分野に関しては独自に事業展開しています。 では、加工技術を活かした事業展開に ついてお聞かせください高見澤:基本的には、ディスプレイ関連や電子部品関連の産業分野を中心に展開していますが、産業分野以外でも幅広い分野に視野を向け、魅力ある活気溢れる市場に色々とチャレンジしています。 例えば、肌用転写シールもその1つになります(写真5)。この製品は、水を使わずに簡単に貼れて水や摩擦などでは容易に剥がれず、一度貼ると10日ほど貼った状態を保てます。勿論、お風呂で擦っても容易に剥がれませんが、剥がしたい時は専用のリムーバなどを使用せず、簡単に剥がすことができます。また、人体に安全なので安心して使用でき、デザインや色、大きさも自由に設定できます。 この肌用転写シール事業は、当社のグループ会社である株式会社フェイスラボで行っており、このビジネスを展開するために同社を設立しました。現状では、タトゥーシールといったファッションアイテム、イベント向けグッズ、キャラクターグッズなど、色々な用途に展開しています。 それから、このような新しいビジネスへの取り組みは、我々だけではある程度の限界が見えてしまうので、色々な外部機関や外部企業と連携しながら行っており、最近では東京都と連携して行うケースが多くなっています。例えば、東京都が主催する「東京ビジネスデザインアワード」に応募したのもその一環になります。 この「東京ビジネスデザインアワード」は、東京都内のものづくり中小企業と優れた課題解決力/提案力を併せもつデザイナーとが協働することを目的とした、企業参加型のデザイン/事業提案コンペティションで、最終的には事業化が目標になっています。ただ、実際に事業化までたどり着くのは、受賞した中の約2 割程度のようです。 当社は、肌用転写シールの技術で応募し、あるデザイン会社と知り合ったことで、「肌に貼れるシールがあるなら、それをメモ帳代わりに使ってみればよいのでは」というアイデアを頂き、技術的には簡単につくれるものだったので、それを提案して優秀賞を受賞しました。そして、ここからが本題の事業化にどう繋げていくかになるのですが、我々は引き続きアイデアを頂いたデザイン会社と1 年間のコンサルタント的な契約を結び、まず事業化に向けた製品の改良を行いました。それは、シールのように貼るものではなく、「シリコンバンドを使って身につけるメモはどうだろう」というコンセプトでスタートし、腕に巻き付けるようなシリコンバンドは以前からあったので、そのような形状のシリコンバンドをメモとして使えるように、ペンなどで文字が書ける製品の開発を進めました。 そして、バンド型の身につけるメモ帳『wemo』が誕生しました(写真6)。この製品には、当社の肌用転写シールを応用した印刷技術とコーティング技術など独自の表面処理が使われています。主な特徴としては、①油性ボールペンで書けて消しゴムで消すことも可能なので何度でも使用できる、②水に濡れても消えないので装着したまま手洗いや水中での作業も可能、③現場での記憶に対するストレスを軽減し、業務への集中に貢献、などが挙げられます。 この製品は、幅広い分野で活用できると考えており、スタンダードの「バンドタイプ」以外に、「パッドタイプ」、「ケースタイプ」などバリエーションを増やしています。 また、当社の技術を活かして、他社のビジネスをフォローしていくような取り組みも行っています。例えば、異業種のイベントで知り合ったセキュリティ関連の会社からの依頼で、同社の製品を使用して、ユニークで特殊なセキュリティラベルの開発に協力しており、ようやく製品化へのメドが立ち販売を開始できる状況です。さらに、もし海外での販売を計画された場合には、我々は中国に拠点があるので色々とネットワークをもっており、中国での展開については販売代理店としてお手伝いできるのではと考えています。 今後の展開についてお聞かせください高見澤:当社が今まで存続して来れたのは、この小さな会社の規模が関係していたと思っています。大手メーカーは、どちらかというと競争が非常に厳しい環境に身を置き、如何に良い製品をカタログに載せてそれをお客様に見て頂いて採用に繋げるかという世界で展開していますが、我々はそのような世界に存在せず、とにかくお客様に密着して困っていることを解決するのが我々の仕事だと考えています。 そのため、カタログを使ったビジネスではなく、お客様にマッチする提案をするビジネスを行っています。このようなビジネスができたのは、規模が小さいことが大きな要因だったと考えており、ニッチな市場になりますが、今後もこのようなビジネスモデルを継続していきたいと思っています。 それから、当社はディスプレイ関連や電子部品関連の産業分野がビジネスの中心になっていますが、我々が思い描いているのは機能性フィルムに関するソリューションの提案型企業という位置付けになるので、どのような業界でも接点ができれば、独自のコア技術を活かしてチャレンジしていきたいと考えています。 そのために、関係する展示会やイベントにはできるだけ足を運んでおり、現状では医療/ヘルスケアといった分野に注目していますが、勿論大手メーカーも色々と展開しているので、大手メーカーがあまり気に留めないようなニーズを探すために、色々と準備を進めている状況です。 そして、これらのビジネスは国内だけでなく、国内の企業が海外に進出する時、または海外の企業にも対応できるように、海外展開も進めています。本日はお忙しい中、ありがとうございました。写真4 “COSMOTAC”ブランドの原反製品一例写真6 バンド型のメモ帳『wemo バンドタイプ』写真5 肌用転写シールの一例